サハラ砂漠の砂
6月も半ばに差し掛かると言うのに鼻のムズムズがおさまらない。
通常は4月末、5月ともなると花粉症は一旦落ち着くのだが、今年は鼻の症状が長引いている。
新たな花粉にアレルギー反応でも起こしているのか?とも思ったが、どうも花粉のムズムズと今のムズムズは質が違う気がする。
花粉はジュクジュクした感じとでも言いましょうか、目がショボショボしてくしゃみが出そうで出ない、かと思ったら出る出る何度も連続で!みたいな連鎖的で悲劇的な症状が多い。
だが今の症状は、目頭がなんだか痒いな〜カイカイ掻いていたら赤く腫れてきた、とか。急に鼻がムズムズして大きなくしゃみが一発!みたいな局所的で単発な症状が多い。
風邪?いや、でも熱も寒気もない。
これがもし花粉ではないとすると、別物の仕業か?
などとやんわりと推測をしながら過ごしていたある朝散歩へ出かけたら、路駐の車がやけに汚れているのが目についた。1台や2台なんてもんじゃない。あっちの方からこっちの方まで、道に停めてある車全てが砂まみれになっている。
砂混じりの雨が当たり、その後急速に乾燥した状態。台所の流し台の水垢のように砂がこびりついている。
寝ている間に砂まじりの雨が降ったのか?
ぬぬぬ??で思い出したのが、サハラ砂漠から飛んでくる砂のこと。
何年か前、南仏に滞在し始めの頃にどこかで誰かに聞いたことがある。
フランス南部で南風といえばアフリカ大陸から吹き寄せる風のことだと。そして大気の状態や気象の影響で、サハラ砂漠の砂が南仏まで飛んでくることがあるのだと。
わずかでも湿気が残っている砂は重くてちょっとやそっとの風では飛ばされないという。砂地の表面がカッサカサに乾燥し、細かい砂粒が軽くなった状態で強風が発生すると一斉に空中に巻き上げられて砂雲と化すらしい。
今年はその砂雲がエライ勢いでぶっ飛んできている。
日本では大陸の黄砂が西風に乗ってやってくる。春ごろがピークだったと思うが、その時期は花粉の季節と重なるので、各種症状が花粉のせいだか黄砂のせいだか訳がわけらない。
花粉症の自覚はあったが砂漠の砂にもアレルギー反応を起こす体質だったと改めて自分の体質を知ることになった。
調べてみると4月ごろから結構飛んできていたらしい。
そう言われると確かその頃、地中海を見渡す水平線がぼんやりと黄色く染まっていたのを思い出した。
私が見ていた水平線のあの先、コルシカ島のその先にはアフリカ大陸北部の国、アルジェリアがある。
その上空から風に乗ってやってくる砂雲が見えていたのだろう。
日本やアメリカにいた頃は、アフリカって遠い地の果てのようなイメージがあった。何度も飛行機を乗り継がないと辿り着けない場所だと。
だけどヨーロッパから見ると、ちょいと地中海を挟んだお向かいさん、くらいの場所にあるのだね。
今夏の南仏は乾燥した空気が流れ込む、とネットで見た長期予報に書いてあった。
今のところ気温が上がると湿度も上昇して蒸し暑くなっているけど、予報通りにカラッと暑い砂漠みたいな夏になるのだろうか?