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心の中の宝もの

友人が、朝の光の中のカフェでサンドイッチをほおばりつつ、レモネードを飲みながら、暮しの手帖を読んでいた。
「このスープ美味しそうだなぁ、この本を取り寄せようかしら?と思ってよくよく見たら、これ三和ちゃんじゃないの?」
まさか、この素敵な雑誌に私が登場しているとは?と思ったのかどうかはわからないけど、びっくりしていた。

世間の流行とか、そういうところをターゲットにした本ではない生活のいろいろの工夫や提案やちょっとしたことを丁寧に扱う雑誌。読者層がSNSの人たちとは違うかもなので、知らない人も多いだろうけど、私の中ではこの本にレシピを書けたことは一番嬉しい出来事のひとつでもある。「密かな自慢」なのだ。わざわざいつでも話すようなことではないから、友人でも知らなかったのは当然のこと。でも気づいてくれてうれしい。
「実はね、その前にサンドイッチのレシピも書いたんやで。ほら!」ってその半年前の春号に乗った記事も見せたら「わ〜すごいすごい!」って褒めてくれた。
「この頃の編集長は松浦弥太郎さんね?」
「そうなんよ。弥太郎さんだったから私を見つけてくれたんやと思うわ。」

日々、お店を動かしていくことで精一杯で、体力も気力もキープするのがギリギリで、自分を自分で引き上げるのにも限界を感じる時がある。
仕事終わりにプールで泳ぐのはひとつの「引き上げ行為」でもある。泳ぐとスッキリするしポジティブな気分になるからだ。
この日のプール帰りに、この自分のご褒美みたいな過去(暮しの手帖)を思い出して「こういうこともあったのだから、認められたという自信を自分の中に取り戻すことでエネルギーを作っていこう。」って夜空を見ながらふと思っていた。

帰宅してビールを呑んで夕食を作って食べて、何気にInstagramを開けたらちょうど松浦弥太郎さんが「初めてのインスタライブです。」と話し始めた。
「あらあら!」今日の話題の松浦さんや!と何気に見ていたら
「僕は毎日走るんだけど・・15キロとか、10キロとか体調にあわせて走るつもりがつい、もうちょっともうちょっとって走るんです。」お、私のプールと同じや!
「昨日、走っていたら村上春樹さんに会って。声なんてかけられないけど会えたことがとても嬉しくて。そうしたら今日も会えて、もう奇跡のようだった。」と。

その話がまるで私にとっての暮しの手帖の連続掲載や!と思って嬉しくなった。
ちょうど今回の村上ラジオを3通り(同じ番組を3回も)聴いたところだったので、村上春樹さんも私の近く(頭の中)にいたものだから、この偶然な感じはこれはどうしたらいいんだ!と、じっとしていられなくなった。
「このまま放置しておいたら宇宙の法則に反するぜ!」と気がついたら松浦さんにメールをしていた。(以前にメールをいただいたことがあるので)
インスタライブの感想と、お店の場所が移転したことなどを短文で書いた。

松浦さんは有名人だし、もう私のことは忘れてるだろうし、返事が来なくても全然平気!ただお礼の気持ちを伝えるのは悪くないはず。私も本や文章についての感想文をもらうととっても嬉しいから。

次の日、返事が来た。「そうですか。移転したのですか。行かないと!ですね。」
から文章がはじまった。「人生いろいろあるけれど、乗り越えていくしかないですね。」とか。

自分の中の宇宙の法則に従って行動すると、素敵なことが起こる。ただ、それだけだけど、ひとつまた心の中に宝が増える。

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