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トム・ビショフ(Tom Bischof):黄金の左足をもつドイツ期待の若手逸材に与えられた「試練」 FOKUS Bundesliga!!! #41


トム・ビショフ Tom Bischof

現所属:TSG1899ホッフェンハイム
生年月日:2005年 6月28日
身長:176cm 利き足:左足
出身地:アシャッフェンブルク, バイエルン州
主なポジション:トップ下, セントラル・ミッドフィールダー


ビショフのプレースタイル

まだ19歳の、あどけない容貌の青年ビショフは、ドイツでもっとも将来を期待されるサッカー選手の1人だ。トップ下あるいは中盤中央の選手である彼は、敵と敵の間でプレーすることを得意としており、味方と連携しながらマークをかわし、好機を演出する。

また利き足である左足の技術力も大きな特徴だ。ドリブルや精度の高いスルーパスを繰り出すことができ、今季リーグ戦の第11節RBライプツィヒ戦では直接フリーキックから得点を決めた。ビショフにとって、ブンデスリーガ1部での初ゴールだった。


ビショフの初期キャリア

ビショフは2011年、6歳でホッフェンハイムのユースに加入した。2015年に正式にホッフェンハイムの選手となった彼は、その能力の高さから年上のカテゴリーでプレー。大きな怪我なく成長したビショフは、2021年8月14日、当時16歳ながら南部/南西部のU19ブンデスリーガでデビューを飾る。

マルセル・ラップ(現ホルシュタイン・キール監督)に率いられた当時のホッフェンハイムU19チームは、リーグ戦第1節でカイザースラウンテルンU19と対戦。同試合でデビューしたビショフは、得意の左足でのミドルシュートから得点を挙げた。


ビショフのブンデスリーガ1部デビュー

歳上のカテゴリーであるU19に定着したビショフは、同じくU19でプレーする天才ウムト・トフムチュとともに、ホッフェンハイムの未来を担う存在として大きな注目が集まった。そんな彼にトップチームデビューのときが訪れるのは、時間の問題だった。

2022年3月19日、リーグ戦第27節アウェーのヘルタ・ベルリン戦で、ビショフはブンデスリーガ1部でのデビューを飾る。77分、ジョルジニオ・ラターとの交代での出場だった。クラブと2025年夏までの契約を交わしたビショフは、ホッフェンハイムのトップチームで地位を確立したいと考えていた。


トップチームでのポジション争い

しかし2022/23シーズン、順風満帆だったビショフのキャリアに試練が訪れる。セバスティアン・へーネスの後任として招聘されたアンドレ・ブライテンライター監督に率いられたホッフェンハイムは、リーグ戦第19節時点で5勝4分10敗と低迷したのだ。

2022/23シーズンの冬の移籍市場で、クラブがラターをリーズ・ユナイテッドに放出したこともあり、ビショフは少しずつ出場時間を得た。しかし実力者のグリシャ・プレーメルと定位置を争う形となったために、ペジェグリーノ・マタラッツォ新監督から与えられた機会は限られていた。


ビショフに訪れた最大の試練

そしてビショフにとっての最大の試練となったのは、2023/24シーズンだった。すでに在籍したプレーメルに加え、FSVマインツ05からアントン・シュタッハAFCアヤックスからフローリアン・グリリッチュがチームの中盤に加わったことで、トップチームでほとんど出場機会を得られなかったのだ。

加えてマタラッツォは、ビショフと同世代のトフムチュを重用。ビショフは出場した13試合で先発が1試合のみだったのに対し、トフムチュは12試合に先発で出場した。トップチームで機会を得られなかったビショフの主戦場は、ドイツ4部相当のレギオナルリーガ・ズートウェストに所属するセカンドチームとなった。


セカンドチームでの転機

ビショフは当初、セカンドチームでのプレーに乗り気ではなかった。それまで順風満帆なキャリアを過ごしただけに、焦りもあったかもしれない。しかしセカンドチームでのプレーは、ビショフの飛躍に欠かせないものだった。ビショフはドイツ4部で傑出したプレーを披露したのだ。

第29節のTSGバーリンゲン戦では1ゴール2アシストを記録するなど、ビショフはホッフェンハイムⅡで中心選手となった。クラブ内のインタビューで、ビショフは以下のように語っている。「最初の2、3週間は、U23(ホッフェンハイムⅡ)でプレーすることにあまり情熱的になれませんでした。しかし、私はすぐにそこから多くのものを得ていることに気づきました。出場時間を得られた上に自分の実力を証明できたのです。」


ビショフに贈られたユース最高の栄誉

また同時期のビショフにとって重要な出場機会となったのが、19歳以下のドイツ代表の試合だった。クリスティアン・ヴァーンズ監督からキャプテンに任命されたビショフは、チームの中心として攻守に躍動した。とくに攻撃面では味方からパスを引き出し、出場した10試合で5ゴールを挙げた。

そして迎えた2024/25シーズン、ビショフはホッフェンハイムで主力となった。経営層の問題もあり、チームが絶不調に陥るなかで、第4節以降の15試合すべてで先発出場。監督交代後も先発に留まり続けている。また2024年10月、ビショフはDFBがユース代表で活躍した優秀な若手選手に贈るなかでも最高の賞である、金のフリッツ・ヴァルター・メダル(U19)を受賞した。ドイツの未来を担う存在として太鼓判を押された形だった。

今季限りで契約が切れるビショフには、盟主FCバイエルン・ミュンヘンが触手を伸ばしている。それも当然だろう。ビショフはすでにフローリアン・ヴィルツジャマル・ムシアラアレクサンデル・パブロヴィッチなどと並び、ドイツ代表での未来を嘱望される存在なのだ。ビショフの今後の活躍に目が離せない。


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