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2024/25シーズン前半戦のブンデスリーガ・ベストイレブン FOKUS Bundesliga!!! #38


前書き

12月22日、2024年のドイツ・ブンデスリーガが幕を閉じた。今季もブンデスリーガでは様々な選手が輝きを放ち、監督も独自の戦術で選手たちの能力を引き出した。本テキストでは、今季ここまで素晴らしい輝きを放った選手のなかでも特に素晴らしいプレーを見せた選手を、ポジション毎に分けてベストイレブンとして紹介する。




TOR(GK)

GK:ニコラ・ヴァシリ(FCザンクトパウリ)

Nikola Vasilj
ボスニア・ヘルツェゴビナ代表
生年月日:1995年 12月2日(29歳)
身長:193cm

今季の前半戦も、ブンデスリーガのGKは素晴らしい活躍を披露した。FCアウクスブルクのネディリコ・ラブロヴィッチ、ボルシア・メンヘングラートバッハのモリッツ・ニコラス、RBライプツィヒのペーテル・グラ―チなどはセービング能力が冴え渡ったが、なかでも印象を残したのはザンクトパウリの守護神ニコラ・ヴァシリだ。

ヴァシリはザンクトパウリの戦術を支えている。足元の技術が高く、チームのビルドアップをサポートできるうえに、セービング能力が非常に高い。今季2度直面したPKはどちらも止めたうえ、オープンプレーでの1対1にも強い。シーズン前にファビアン・ヒュルツェラー監督を引き抜かれた昇格組のザンクトパウリがここまで戦えているのは、ヴァシリの存在あってこそだ。


ABWEHR(DF)

LSB:アルフォンソ・デイヴィス(FCバイエルン・ミュンヘン)

Alphonso Boyle Davies
カナダ代表
生年月日:2000年 11月2日(24歳)
身長:185cm

アルフォンソ・デイヴィスは、ヴァンサン・コンパニ新監督のもとで再び輝きを取り戻した。FCバイエルン・ミュンヘンの左サイドバックであるデイヴィスはボール保持時、左インサイドハーフの位置に進出して、ボールの流れをより円滑にする役割を担う。ボールを奪われた際にはプレスの実行役となり、驚異的なスプリント能力で相手のカウンターの芽を摘んでしまうのだ。

ハンジ・フリック政権下でもそうであったように、デイヴィスの魅力は相手選手に追いついてしまう「プレスバック」能力にある。デイヴィスのプレスバックは彼の純粋な身体能力に裏打ちされているため、単純に身体能力で上回るか、人数をかけて突破するかの2択しか対策方法がない。デイヴィスは、「ポゼッション・マシン」と化したコンパニ・バイエルンのキーマンの1人だった。


LCB:ニコ・シュロッターベック(ボルシア・ドルトムント)

Nico Cedric Schlotterbeck
ドイツ代表
生年月日:1999年 12月1日(25歳)
身長:191cm

今季前半のデア・クラシカーにおけるMOMを選ぶなら、それは間違いなくニコ・シュロッタ―ベックだっただろう。SCフライブルク時代から将来を渇望された左利きのセンターバックであるニコは、マッツ・フンメルスという守備の要を失ったボルシア・ドルトムントで大きく成長し、安定したパフォーマンスで好調とはいえないクラブを支えている。

ニコの最大の魅力は、左足から繰り出される正確なフィード能力。中盤を省略してウイングの選手にボールを供給するため、相手は対応に苦慮する。またスプリント能力を活かしたインターセプトやマーキングもニコの特徴だ。広いエリアをカバーできる能力を駆使し、左サイドを攻守でコントロールした。ドイツ代表も含め、更なる活躍を期待したい。


RCB:ダヨ・ウパメカノ(FCバイエルン・ミュンヘン)

Dayotchanculle Oswald Upamecano
フランス代表
生年月日:1998年 10月27日(26歳)
身長:186cm

今季ここまでのリーグ戦でのウパメカノのプレーぶりは、完璧といって差し支えないだろう。守備面では快足を活かした対応で相手のカウンターを封殺し、攻撃時には縦パスからチャンスを創出するのだ。コンビを組むキム・ミンジェが堅実で、よりディフェンスに特化したプレーを見せるのに対し、ウパメカノは攻撃の起点になり続けた。

コンパニ監督率いるバイエルンは保持時にハーフラインを大きく超えてボールを持つうえに、2センターバックだけが最終ラインに残るという超攻撃型の布陣になる。それにも関わらず失点数がリーグ最少の13点なのは、ウパメカノの好調ぶりの何よりの証だ。彼が冬明け以降もこの好調ぶりを維持し、バイエルンをリーグ優勝に導けるのか注目したい。


RSB:ミッチェル・ヴァイザー(SVヴェルダー・ブレーメン)

Mitchell-Elijah Weiser
ドイツ

生年月日:1994年 4月21日(30歳)
身長:177cm

オーレ・ヴェルナー監督率いるヴェルダー・ブレーメンは素晴らしいチームだ。キャプテンのマルコ・フリードル、TSGホッフェンハイム戦でハットトリックを挙げたイェンス・ステーイ、絶対的エースのマーヴィン・ドゥクシュなど、実力ある選手たちが揃っているのだ。なかでもコンスタントに高質なプレーを披露するのがミッチェル・ヴァイザーだ。

3-4-2-1の右ウイングバックとしてプレーするヴァイザーは、持ち前のテクニックを武器に、得点につながるようなチャンスを創出した。第1節のFCアウクスブルク戦で2アシストを記録するなど右足のクロスは正確で、近い距離の味方と連携しながら突破を図ることもできる。第7節のVfLヴォルフスブルク戦ではドゥクシュのクロスから今季初ゴールを挙げた。ヴァイザーはブレーメンで欠かせない存在となっている。


MITTELFELD(MF)

CMF:ヨシュア・キミッヒ(FCバイエルン・ミュンヘン)

Joshua Walter Kimmich
ドイツ代表
生年月日:1995年 2月8日(29歳)
身長:177cm

冷遇されたトーマス・トゥヘル監督時代と打って変わり、ヨシュア・キミッヒはバイエルンの中盤で欠かせない選手となっている。後方の2人のCBとともに攻撃の方向を決める役割を務め、ときには前線に進出してミドルシュートを放ち、ときには右SBの位置に降りてビルドアップをサポートした。コンビを組んだアレクサンデル・パブロヴィッチとの補完関係も見事だった。

ユリアン・ナーゲルスマン監督率いるドイツ代表でもキャプテンに就任するなど、キミッヒはキャリアの最盛期を迎えつつある。バイエルンで絶対的な存在となっているトーマス・ミュラーマヌエル・ノイアーの2選手に取って代わることができるキャプテンシーの持ち主は彼を置いて他にいない。契約延長を含め、キミッヒがどれほど影響力を強めるのか注目したい。


CMF:アントン・シュタッハ(TSG1899ホッフェンハイム)

Anton Levi Stach
ドイツ代表

生年月日:1998年 11月15日(26歳)
身長:194cm

経営層の問題もあり、絶不調のTSGホッフェンハイムで、アントン・シュタッハは傑出したプレーを披露した。身長194cmと大柄ながら豊富な運動量を誇るシュタッハは、守備面で驚異的なスタッツを記録している。タックルや空中戦を活かした今季これまでのボールリカバリー回数は87回で、リーグ内における「ツヴァイカンプフの王様」となっている。

またシュタッハは複数のポジションに適応した。ペジェグリーノ・マタラッツォ監督のもとでは3バックの中央として相手CFと対峙する役割を担い、クリスチャン・イルツァーに監督が交代して以降は、ディアディ・サマセックと中盤でコンビを組んだ。俊英トム・ビショフとの連携は見事で、運動量を武器に中盤で躍動している。


OMF:ジャマル・ムシアラ(FCバイエルン・ミュンヘン)

Jamal Musiala
ドイツ代表
生年月日:2003年 2月26日(21歳)
身長:184cm

ドイツ代表の2列目は世界一。そういっても過言ではない。ブンデスリーガでプレーする選手でさえ、ジャマル・ムシアラフローリアン・ヴィルツパウル・ネ―ベルトム・ビショフなど、25歳以下の才能に溢れる選手が目白押しなのだ。なかでも最高の輝きを放つのがムシアラだ。2024年のドイツ代表のMVPに彼が選ばれたのも当然だろう。ユーロはもちろん、それ以降の代表の試合でも圧倒的な輝きを放ったのだ。

当然の如く、今季のFCバイエルン・ミュンヘンでもチーム最高の選手は彼以外にはいない。2列目でボールを持つと、屈強な相手DFを躱してシュートを放ち、得点して見せるのだ。もはやムシアラがいない状態のバイエルンはあり得ないと言いたくなる状態だ。9ゴール2アシストという記録はもちろんのこと、中央からドリブルで突破できる彼の存在が相手DFを混乱に陥れた。

フローリアン・ヴィルツも今季、リーグ最優秀選手に選ばれた昨シーズン以上の輝きを放っている。7ゴール7アシストという見事なまでの結果や試合中に終始見せる発想力はリーグ随一だ。ヴィルツとムシアラ。この2人が同時期にプレーしていること自体が、現在のブンデスリーガ最大の魅力であることに間違いない。


ANGRIFF(FW)

LWG:オマル・マルムシュ(アイントラハト・フランクフルト)

Omar Khaled Mohamed Abd Elsala Marmoush
エジプト代表
生年月日:1999年 2月7日(歳)
身長:183cm

今季のドイツ・ブンデスリーガ前半のMVPは、オマル・マルムシュ以外にあり得ない。それほどまでにマルムシュのプレーぶりは圧倒的である。13ゴール7アシストという数字はもちろん、プレーの1つ1つがあまりに傑出しているのだ。第6節バイエルン戦の試合終了間際に見せた得点でもわかるように、トップスピードに乗った状態のマルムシュを止められるDFはブンデスリーガにはいない。

VfLボーフム戦、スラヴィア・プラハ戦、VfBシュツットガルト戦と3試合連続で決めた直接フリーキックも見事だった。既に発揮していた類稀なスピードに加えて、得点能力にも磨きをかけた今季のマルムシュは、2008年頃のクリスティアーノ・ロナウドさえ彷彿とさせる。今後のリーグ戦でも、彼がどれほどの輝きを放つのか注目したい。


ST:ヨナタン・ブルカルト(FSVマインツ05)

Jonathan Michael Burkardt
ドイツ代表

生年月日:2000年 7月11日(24歳)
身長:181cm

今季のマインツが第15節終了時点で勝ち点25を獲得し、5位の位置にいると想像した人がどれほどいただろうか。昨季は降格プレーオフを争ったVfLボーフムと勝ち点差2で13位だったうえ、トム・クラウスレアンドロ・バレイロブラヤン・グルダなどの主力を引き抜かれたのだ。そんなクラブがバイエルン戦の勝利を含む6勝4分4敗の成績を残しているのだ。ボ・ヘンリクセン監督の手腕には感嘆するしかない。

現在のFSVマインツ05の象徴といえる選手が、ヨナタン・ブルカルトだ。ユース出身の24歳は、今季のリーグ戦で14試合10ゴールを挙げるなど躍動している。パウル・ネーベルイ・ジェソンとの連携も見事で、素晴らしい活躍を見せた。今季前半のブンデスリーガにおける最高のストライカーは間違いなくブルカルトだ。

次点を挙げるなら、ボルシア・メンヘングラートバッハ所属のティム・クラインディーンスト以外にいない。豊富な運動量、天才的なワンタッチパスによるチャンスメイク、すべてのプレーが傑出していた。


RWG:モハメド・アムラ(VfLヴォルフスブルク)

Mohamed El Amine Amoura
アルジェリア代表
生年月日:2000年 5月9日(24歳)
身長:170cm

今夏、ユニオン・サンジロワーズから買い取りオプション付きのレンタルでVfLヴォルフスブルクへ加入したアムラは、既にチームの中心的存在だ。前線での豊富な運動量とスプリント能力を活かしたドリブルや抜け出しで、相手DFを混乱に陥れ、守備時にはプレスの先鋒となった。プレッシングスタイルの信奉者であるラルフ・ハーゼンヒュットル監督から重宝されるのも当然だろう。

既に4ゴール5アシストを記録するなど得点に関わる能力も優れており、とくに第5節のVfBシュツットガルト戦では見事な得点を挙げた。チアゴ・トマスヨナス・ヴィントとも好連携を見せる。ピッチ上ではガッツを見せる彼だが、自身を恥ずかしがり屋と評するなど人の良さも垣間見える。ヴォルフスブルクで攻撃の中心となる背番号24番に注目したい。


今季前半のブンデスリーガ・ベストイレブン

後書き

今季ここまでのブンデスリーガで1位に輝くのは、FCバイエルン・ミュンヘン。リーグ最多の47得点、リーグ最少の13失点という完璧な形でクリスマスを迎えられたのは、ヴァンサン・コンパニの見事な手腕によるものだ。一方で2位はシャビ・アロンソ監督率いる昨シーズン王者レヴァークーゼン。中盤とディフェンスラインが整理され、安定して勝ち点を挙げるようになった。後半もこの2クラブが優勝を争うだろう。

期待されるのは、やはりこの2クラブ同士の直接対決。リーグ戦では1-1の引き分け、DFBポカールでの対戦ではマヌエル・ノイアーの退場もあり、レヴァークーゼンが勝利した。ここまでの勝ち点差はわずか4。後半戦の対決を制した方が今季のマイスターシャーレに手をかけるのは間違いない。


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