2024/25シーズン開幕!今季のブンデスリーガ注目クラブの展望とピックアップ選手 FOKUS Bundesliga!!! #13
前書き
2024年8月23日、ファンが待ち望んだ2024/25シーズンのブンデスリーガが幕を開けた。前シーズンの王者レヴァークーゼンと対戦したのはボルシア・メンヘングラードバッハ。ノルトライン=ヴェストファーレン州の雄である両クラブの対戦はシャビ・アロンソ率いるチームが得意のアディショナル・タイムでの得点で勝利した。
本テキストでは個人的に注目するブンデスリーガのクラブと所属選手を紹介する。62シーズン目を迎えたブンデスリーガがどのような展開をみせるのか楽しみでならない。
注目クラブ紹介
FCバイエルン・ミュンヘン
ドイツの盟主バイエルンは毎シーズン欧州屈指の陣容を揃えてみせるが、今シーズンの陣容もリーグ内で突出している。昨シーズンの豪華なスカッドに、プレミアリーグのクラブからマイケル・オリーセとジョアン・パリーニャを加え、選手層を充実させた。
クラブが目指すのは、マイスター・シャーレの奪還である。いくつか失敗はあったが、マックス・エバールとクリストフ・フロイントは素晴らしい仕事をした。次に試されるのはヴァンサン・コンパニ監督の手腕だ。「ヘアプストマイスター(秋の王者)」で冬を迎えることができるかどうかが彼に与えられた最初の試練だ。
ピックアップ選手:ヨシュア・キミッヒ
昨シーズン、中盤の定位置を追われたキミッヒは右SBへポジションを移して活躍した。ドイツ代表でみせたプレーぶりからもわかるように、キミッヒには「キャプテンの腕章」を巻く資格がある。彼に期待されるのはクラブを勝利に導く役割だ。彼の活躍次第で、バイエルンが再びドイツの盟主に返り咲けるかが決まるだろう。
RBライプツィヒ
冷静に陣容や戦術の浸透度を考えれば、RBライプツィヒは24/25シーズンのマイスター・シャーレ獲得に非常に近い位置にいるクラブだろう。ダニ・オルモの退団は大きなマイナスだが、彼に代わる存在としてアントニオ・ヌサとアサン・ウエドラオゴという特別なタレントを獲得したのは見事だった。
充実した陣容、ポカール2連覇を果たした実績を考えても、彼らのリーグ優勝を阻む存在はバイエルンとレヴァークーゼン以外にない。とくに昨シーズンのリーグ戦で2敗を喫したレヴァークーゼンとの試合は見物だ。ドイツの「嫌われ者」の活躍に注目だ。
ピックアップ選手:ニコラス・ザイヴァルト
才能あるザイヴァルトにとって、昨シーズンは不甲斐ないシーズンだっただろう。リーグ戦で出場した21試合のうち、15試合が途中出場だった。彼に求められるのは奮起だ。ザヴェル・シュラーガ―とともに「レッドブルスタイルの体現者」として活躍することが期待される。
アイントラハト・フランクフルト
フレディ・ボビッチがSDを務めて以降、フランクフルトが移籍市場でみせる立ち回りは見事という他ない。なかでもロビン・コッホをフリーで獲得し、アルトゥール・テアテも加えたCBの陣容はリーグ屈指だろう。マルクス・クレーシェ現SDの手腕はあまりに見事だ。
就任2年目のディノ・トップメラーに求められる結果はチャンピオンズリーグ出場権の獲得だろう。マリオ・ゲッツェやエリス・スキリ、ケヴィン・トラップ擁する現在の陣容はドイツ屈指だ。明確な結果を残すことができるかどうかが、ディノの進退を決めるだろう。
ピックアップ選手:ウーゴ・エキティケ
ランダル・コロ=ムアニと入れ替わる形で昨冬に加入した逸材がその真価を発揮し始めた。長身でしなやかなフィジカルと得点力を武器にするエキティケ。昨シーズン時点で才能の片鱗はみせた彼がどのような活躍を見せるのか楽しみでならない。
ボルシア・ドルトムント
今夏の移籍市場で最も不可解な立ち回りを見せたブンデスリーガのクラブは、ボルシア・ドルトムントだろう。セバスティアン・アレ、ニクラス・フュルクルクというリーグ屈指のCFを擁しながら、新たにセール・ギラシー、マクシミリアン・バイアーを国内クラブから引き抜いたのだ。
加えて気になるのは、ヌリ・シャヒン新監督が採用するフォーメーション。3-4-2-1の布陣を基本とする現在の戦い方を継続するには明らかにディフェンスラインの選手層が不足している。第1節フランクフルト戦では相手を圧倒してみせたが、シーズンを通じて同様の戦い方を披露するのは難しいだろう。
ピックアップ選手:ジェイミー・ギッテンス
言うまでもなく、今シーズンのドルトムントにおけるブレイク候補筆頭はギッテンスだろう。マンチェスター・シティのユース出身である彼は第1節フランクフルト戦で途中出場ながら2ゴールを挙げ、チームを勝利に導いた。カリム・アデイェミとギッテンスの活躍次第でクラブの順位は大きく変動するだろう。
SCフライブルク
13シーズンの間、クラブを率いたクリスティアン・シュトライヒがフライブルクの監督を退任したことは昨シーズン最大のサプライズの1つだった。クラブが後任に据えたのはユリアン・シュスター。10シーズンに渡って選手として活躍し、引退後は同クラブでユース選手の昇格をサポートした。
シュスターに求められる仕事はシンプルだ。ユース出身者を含むドイツ人選手に加え、新星チュクビケ・アダムや堂安律など外国人タレント擁する現在の陣容は国内屈指。前任者がすでに完成させたチームに少しずつ新たな色を加え、安定したシーズンを送ることが新監督にとって最初の仕事だろう。
ピックアップ選手:マーリン・レール
レールはフロリアン・ヴィルツやジャマル・ムシアラに匹敵するタレントの持ち主だ。伸びやかなドリブルを得意とするレールは24/25シーズンの第1節シュツットガルト戦でも才能の片鱗をみせた。フライブルクでトップ下の1番手になるであろう今シーズン、レールの活躍に期待せずにはいられない。
ウニオン・ベルリン
クラブをCL出場に導いたウルス・フィッシャー監督とオリバー・ルーネルトSDが去ったウニオン・ベルリンは、新たにボ・スヴェンソン監督とホルスト・ヘルトSDを招聘した。マインツで実績のある新監督は得意とする3バック戦術を駆使し、グライフスヴァルトとのポカール1回戦を制した。
クラブの今シーズンの目標は再び欧州リーグへの出場権を獲得することだろう。リュカ・トゥザールやロビン・ゴセンス、功労者のクリストファー・トリンメルなど十分なタレントは擁している。1部と2部を含め唯一となった旧DDRオーバーリーガのクラブとして維持をみせたい。
ピックアップ選手:ラースロー・ベネス
昨シーズン、得点力不足を課題としたウニオン・ベルリンは、その解決策としてスロバキア人MFベネスを獲得した。ハンブルガーSVに所属した昨シーズン、べネスはブンデスリーガ2部で13ゴール11ゴールを記録する活躍をみせた。彼の得点能力をチームに組み込むことが新監督最初の仕事だ。
ホルシュタイン・キール
マルセル・ラップ監督率いるクラブは素晴らしいチームだ。3-4-1-2という布陣を主体としながら、カウンターとポゼッションを両立したような特殊な攻撃を展開し、得点を奪って見せるのだ。ホッフェンハイムのユースを長年に渡り率いた同監督の色が如実に表れたサッカーを展開して見せるのだ。
トップ下の町野修斗が攻撃の起点となり勝利したポカールのアーヘン戦も見事というほかなかった。コリン・クライネ=ベケルやポカールで2ゴールを挙げたラッセ・ローゼンブームなど注目したい若手選手も擁している。リーグ最北の雄の躍進が楽しみでならない。
ピックアップ選手:ルイス・ホルトビー
現在のホルシュタイン・キールの中心的存在であり、かつ戦術の要ともいえるのがホルトビーだ。ディフェンスラインからボールを引き出し、巧みな左足のキックを駆使して攻撃の起点となる。2009年のフリッツ・ヴァルター・メダル金賞の受賞者であり、知名度と実績を誇る同選手が再び1部で輝きを放つ姿を見られることは多くのファンの楽しみの1つだろう。
マインツ
ブラヤン・グルダのブライトン移籍はマインツの1部残留を困難にすると同時に、クラブにとって「予想できたこと」でもあっただろう。マインツは非常に不思議なクラブだ。チームの絶対的主柱を引き抜かれて苦しいシーズンを送っても、最後には1部に残留してみせる。
しかし今シーズン、ユルゲン・クロップの古巣クラブには暗雲が立ち込める。あまりに多くの中心選手がクラブを離れたのだ。とくにレアンドロ・バレイロとトム・クラウスを失った中盤は厳しい状態にある。彼らに代わる存在として補強した選手が既にファンからブーイングを受ける現状もとても良いとは思えない。
ピックアップ選手:ヨナタン・ブルカルト
クラブを残留に導くことができるのは、この24歳以外にいない。単独でドリブルを仕掛け、得点を挙げることができるブルカルトに訪れるチャンスは決して多くないだろう。彼が活躍できるかどうかがマインツの今シーズンを決するだろう。
VfLボーフム
ボーフムが来シーズンもブンデスリーガ1部に残る可能性は限りなく低いだろう。浅野琢磨やパトリック・オスターハーゲ、ケヴェン・シュロッタ―ベックなど残留に貢献した選手の多くがクラブを去った。加えてマヌエル・リーマンとフロント陣の対立が状況をより最悪にしている。
ダニー・デ・ウィットやマイロン・ボアドゥは素晴らしい補強だが、現状の陣容を考えれば、前線のタレントが持ち味を活かせる形でボールを受けることはほとんどないだろう。ラングニック流の体現者であるペーター・ツァイドラー監督のもと残留を果たすことが最大の目標だ。
ピックアップ選手:アントニー・ロジラ
現状のチームをまとめることができる選手はロジラ以外にいないだろう。既に大ベテランの域に差し掛かる同選手がディフェンスラインを支えてくれるだろうことがチーム唯一の救いだ。素晴らしいタックルを活かした「ボールハンター」の活躍がチームの浮沈を決める最大のカギとなる。
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