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マクシミリアン・アーノルト(アルノルト)とVfLヴォルフスブルク FOKUS Bundesliga!!! #2

マクシミリアン・アーノルト

Maximilian Arnold
生年月日:1994年 5月27日
出生地:ドイツ ザクセン州 マイセン郡 リーザ
身長:184cm 利き足:左足
ブンデスリーガ通算記録:347試合 41ゴール(2023/24シーズン終了時点)




Ⅰ. ポジションと能力

Ⅰ-1.  ポジション

アーノルトは技術力の高い左利きのミッドフィルダーだ。本職はトップ下だが、必要に応じて右サイドハーフやセントラル・ミッドフィルダーとしてプレーし、2014/15シーズン以降はセントラル・ミッドフィルダーが主戦場となっている。

アーノルトの中盤での役割は、プレスを引き受けながら、ボールを展開することが中心。正確な速いパスを味方に送ることができ、機を見てゴール前への飛び出しを行うことも特徴。反対にスペースを残すスタイルのため、ジョシュア・ギラヴォギザヴェル・シュラーガーなどディエルの勝率の高さと運動量でカバーできる選手とコンビを組むことが多い。 

Ⅰ-2. 能力

アーノルト最大の武器は、ブンデスリーガ最高といっても過言ではない左足の技術力にある。威力を抑えたスピードのあるパスを出すことができ、フリーキックを含めたセットプレー時は相手GKが対応できないようなボールを送る。

必然的に相手はアーノルトにボールが渡ることやセットプレーを与えることを避けなければならない。結果としてヴォルフスブルクの選手にスペースができ、優位な状態を創出することができる。守備時には前に出て相手の中盤ボールホルダーの選択肢を減らすことを優先する。足元での駆け引きが非常にうまいので、ボールを奪ってしまうこともできる。

Ⅱ. 選手としての経歴

Ⅱ-1. プロ以前のキャリア

アーノルトはザクセン州の州都ドレスデンから北西に40kmほど離れたリーザという町の出身。2006年、当時12歳だった彼は東ドイツ屈指の名門クラブ、ディナモ・ドレスデンのユースチームに加入。同クラブで4年の期間を過ごしたのち、2009年にヴォルフスブルクのユースチームへと移籍した。

アーノルトがブンデスリーガでデビューしたのは、2011年11月26日のアウクスブルク戦。当時のヴォルフスブルクの監督は2度目の就任となったフェリックス・マガトで、17歳のアーノルトは86分、長谷部誠との交代での出場となった。2011/12シーズンのリーグ戦は2試合の出場に留まったアーノルトに、翌シーズン、転機が訪れる。

Ⅱ-2. 訪れた最初の転機

2012年12月22日、不調15位だったヴォルフスブルクの新監督として、ディーター・へキンクが招聘された。アーノルトは4月6日に行われた第28節レヴァークーゼン戦でブンデスリーガ初先発を果たすと、続く3試合すべてで先制点を挙げる活躍をみせる。とくにクーン・カステールス相手に左足を一閃して決めたリーグ戦初ゴールはアーノルトらしい得点だった。

ヘキンク監督の信頼を得たアーノルトは2013/14シーズンも素晴らしい活躍をみせる。第9節のアウクスブルク戦でトップ下の位置で出場して得点を挙げてから、9試合連続で先発出場し、5ゴールを挙げたのだ。そんなアーノルトにふたたび転機が訪れる。2014年1月、ヴォルフスブルクにケビン・デ・ブライネが加入したのだ。

Ⅱ-3. スーパースターの加入とクラブの成功

第17節までヴォルフスブルクのトップ下の1番手として活躍したアーノルトもデ・ブライネにはポジションを譲らざるを得なかった。1列下のボランチや右のサイドハーフにポジションを移動しながら、アーノルトは第18節以降のすべてのリーグ戦の試合に先発で出場した。

2013/14シーズンを5位で終えたヴォルフスブルクは、翌シーズンに2008/09シーズン以来となる絶頂期を迎える。バス・ドストイヴァン・ペリシッチダニエル・カリジューリ、ケビン・デ・ブライネなどの最前線と2列目の選手が躍動し、首位バイエルンと同じく5敗と安定した成績もあって、2014/15シーズンのリーグ戦で2位となった。

ヴォルフスブルクにとって、2014/15シーズンのリーグ戦のハイライトは、4-1で勝利した第18節のバイエルン戦だろう。先制点を含む2ゴールを挙げたバス・ドストの得点力と、アーノルトの素晴らしい左足のアシストから2ゴールを挙げたデ・ブライネはペップ・グアルディオラ監督率いるバイエルンを文字通り「粉砕」した。

Ⅱ-4. 2015年のDFBポカール

2014/15シーズンがヴォルフスブルクにとって重要であるのは、リーグ戦で躍進したからだけではない。よりヴォルフスブルクにとって大事だったのは、DFBポカールでの成功だった。

ダルムシュタットとの初戦はPK戦までもつれ込むも、GKマックス・グリューンの活躍もあり勝利。続くハイデンハイム戦、RBライプツィヒ戦、フライブルク戦、そして準決勝ビーレフェルト戦に勝利したことでヴォルフスブルクは決勝に進出した。アーノルトは準決勝のビーレフェルト戦で先制点を含む2ゴールを挙げ、クラブの決勝進出に貢献した。

ヴォルフスブルクは2015年を哀しみで迎えた。1月10日、ベルギーの若手有望株であったジュニオール・マランダが自動車事故で亡くなったためである。アーノルトと同じ1994年生まれであったマランダの事故死はヴォルフスブルクに結束力を与えた。

DFBポカール決勝で、ヴォルフスブルクが名将ユルゲン・クロップ監督率いるドルトムント相手に完璧な勝利を挙げたのは、そういった理由があったからかもしれない。オーバメヤンに先制点を許すも、ルイス・グスタボ、デ・ブライネ、バス・ドストが前半の間に得点を挙げたことで試合は完全に決した。アーノルト擁するヴォルフスブルクが3-1で勝利し、DFBポカールの王者となった。

Ⅱ-5. クラブの急激な失速と増す存在感

2015/16シーズン、ヴォルフスブルクは8位へ転落する。前シーズン、20勝9分5敗と好成績を残したのに対し、12勝9分13敗と低迷したのだ。退団した主要な選手はデ・ブライネとペリシッチのみで、彼らの後釜にユリアン・ドラクスラーマックス・クルーゼが補強できたもののチームにフィットできず、大幅な戦力ダウンとなった。

低迷したヴォルフスブルクのなかでアーノルトは安定して出場機会を得る。22試合の先発出場を含む31試合に出場し、3ゴールを挙げた。チャンピオンズリーグのベスト8でもレアル・マドリード相手に得点するなど、印象に残るプレーを披露した。

再起を図るヴォルフスブルクは2016/17シーズンに大型補強を敢行する。ドストやナウド、カリジューリなどの功労者に加え、クルーゼやシュールレを放出し、マリオ・ゴメスユヌス・マッリなどを獲得したのだ。しかしチームの大幅な刷新が裏目に出る。

Ⅱ-6. 凋落したヴォルフスブルク

2016/17シーズンと2017/18シーズンはヴォルフスブルクにとって非常に苦しい時期となった。両シーズンともに16位となり、ブラウンシュヴァイクホルシュタイン・キールと降格プレーオフで争うこととなる。

沈むチームの中で孤軍奮闘したのがアーノルトだった。2016年2月に契約を延長したアーノルトはバイエルン相手にフリーキックから得点を挙げるなど活躍する。とくにホルシュタイン・キールとの降格プレーオフでは第1試合と第2試合ともにキャプテンとして出場して残留に貢献した。

2018/19シーズンのヴォルフスブルクはブルーノ・ラバディア監督のもとで6位となるなど、復調をみせる。最前線のヴェホルストが決定力を発揮した。アーノルトは累積警告で出場できなかった第28節のハノーファー戦を除くすべてのリーグ戦で先発出場を果たすなど、クラブの絶対的選手となる。

Ⅱ-7. シュマトゥケとグラスナー

2018年、スポーツディレクターがクラウス・アロフスからヨルク・シュマトゥケに代わったヴォルフスブルクは新しい監督を求めていた。そんななかで白羽の矢が立ったのが、オリバー・グラスナー。レッドブル・グループの影響を受けたサッカーを展開し、LASKをオーストリア1部昇格に導いた名将だ。

グラスナー監督率いる2019/20シーズンのヴォルフスブルクでも、アーノルトは中心選手となる。2019年8月に父親となったアーノルトは、前シーズンと同じく累積警告で出られなかった1試合を除くすべてのリーグ戦に出場。第1節のケルン戦の先制点を含む4ゴールを挙げるなど、突出した成績を残し続けた。

グラスナーがアーノルトの相棒に選んだシュラーガーもチームを支えた。コロナ禍を乗り越えたヴォルフスブルクは2020-21シーズンリーグ戦を4位で終え、チャンピオンズリーグへのチケットを再び獲得することになる。

Ⅱ-8. ファン・ボメルとニコ・コヴァチ

2021年、アーノルトはクラブとの2026年までの契約にサインした。ヴォルフスブルクはシュマトゥケの不和に伴い、グラスナーを解任。後任となったのはマルク・ファン・ボメルだった。就任前から結果を残せるのか懐疑的に見られていたファン・ボメルは第4節終了時に解任される。

後任としてフローリアン・コーフェルトが起用されるもチームを立て直せなかった。冬にはヴェホルストがバーンリーに引き抜かれたこともあり、12位でシーズンを終える。チームの不調にもかかわらず、アーノルトはブンデスリーガ全試合で先発出場し、4ゴールを挙げるなど貢献した。

2022年、コーフェルトの後任としてヴォルフスブルクの監督に就任したニコ・コヴァチはアーノルトをキャプテンに任命。2011年のデビューから11シーズンにわたってクラブを支えた28歳がチームを牽引するときが訪れたのだ。クラブはヨナス・ヴィントの活躍もあり、8位でシーズンを終える。翌シーズンは再度12位に後退したが、アーノルトはキャプテンとして献身的にチームを支えている。

参考文献:


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