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自分から水晶と同じ波動が出ている?

母の友人は小さな喫茶店のママさんで、お店の片隅でパワーストーンのブレスレットを売っていた。彼女はどうやらサイキック感覚が強い人だったようだ。石の能書きを説明して売るだけではなく、ブレスレットをお客さんに持たせ、その人と石との相性を波動で観察していた。

そうやって石との相性を見ていくと、お客が何に悩んでいるのか言わなくてもわかるのだと言う。相性の良い石を探しながら、占い師のようにアドバイスをいくつかする。鑑定料のようなものはとくにもらわず、ブレスレットの代金のみを受け取っていた。

母は付き合いでいくつかブレスレットを買っていた。当時まだ中学生だった私にも石を買ってくれると言うので、興味本位で見てもらったんだ。

ママさんは銀色のクッキーの缶みたいなものにぎっしりつまった石たちから、次々にいろんなブレスレットを選んで私の手のひらにのせていく。

「うーん……これは違う」
「……これも違う」
「これも……」

なかなか私に合う石は見つからない。すべての石をのせ終えた後、ママさんは両手を挙げて「だめだ、降参!」と首を振った。

「あなたは、クラスタークォーツと同じ波動が出てる」

クラスタークォーツって、小さな結晶がしめじみたいににょきにょき生えてるやつかな。

「水晶、好きでしょ」と、ママさんは言った。

「うん、好き」
「ずっと大事にしてる水晶、ある?」
「ある」

「だから、あなたも水晶に気に入られているみたい。水晶と波長が合ってるから、身につけなくても自分から水晶みたいなパワーが出るし、他の石を身につけたところでただのアクセサリーにしかならないのよ。あー、くやしい! 高い石を売りつけてあなたのお母さんからがぽり稼ごうと思ってたのに!」

ママさんは笑いながら、冗談だか本気だかわからない感じで言った。

「ひとりだけ、あなたと同じ様なお客さんがいたわ。彼女はパールの輸入を仕事にしていて、パールにとても愛されていたの。パールと同じ波動を持っていたから、他のどんな石を身につけてもただの飾りにしかならなかった」

そして、ふと思いついたみたいに、こう付け加えた。

「あなたも、水晶に関わる仕事をすればいいんじゃない?」

その頃、私はもう、漫画か小説を書いて生きていこうと思うようになっていたから、全然ピンと来なかった。宝石商とか興味無いし、あとはそうだな、占い師? そんないかがわしい仕事、嫌だなぁ……なんて思っていた。でも、ママさんの言葉はなんとなく胸にひっかかっていたのだ。

時は流れ、2018年。心身を壊して会社を辞めた私は、何の仕事をすればいいのか迷っていた。そして、ママさんの言葉を思い出した。ふうむ、水晶ね……鎌倉にたくさんあるパワーストーンのお店でバイトでもしてみるか? それとも水晶占いとか習ってみる? うーん、やっぱりいかがわしいよなぁ。

「うつ病で急に仕事を辞めたあげく、スピリチュアルなんてあやしい道に走った」って噂が流れたらどうしよう。でも、もういいか。なんと言われようと、誰に嫌われようとバカにされようと、関心が向くならもうやってしまえ。それで仲間に迷惑を掛けるような場所にはもう立っていないのだから。

そう覚悟を決めたまさにその後、「この人なら」と思える師と出逢う機会がやってきたのだ。つづきます。


『霊視とは?』目次

みあんご!(野原ミア)です
ガイド(守護霊)が無理に強制終了をできなくなってきている
働かざる者、おおいに食えよ。
絶対にやりたくない!と思っているものほど人生を変える。
自分から水晶と同じ波動が出ている?
いかがわしくてウサンクサイ、水晶に関わる仕事ってこれか……!
The Rock Girl®(ロックガール)との出逢い

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みあんご!鎌倉と宮古島の占い師
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