隣人たちのおかげで今の暮らしがある
現在の家に引っ越して来てから22年がたつ。
メキシコ市シティ16区のうち、南に位置するコヨアカン区。先住民言語ナワトル語でコヨーテのいるところという意味。
実際はコヨーテは今はいなくて、犬がたくさん散歩している。
実はここに住む前、マンションの6階に住んでいた。そのころは子供たちが園児、赤ちゃんだった。
おもちゃを床に落としたり、家の中で走ったり、おまけに床はフローリング。
下の階の家族から床から届く音がうるさいと注意された。
それがかなり私のストレスとなり、原因不明の病気(体のいろいろな個所が赤くはれてかゆくなった。関節に水が溜まって、運転もできなくなるほど、重症だった。)
何人かの医者のところにも行ったが、原因不明。
でもあることをきっかけに症状が消えた。
それは引っ越ししたから。
病は気から・・・というのは本当だったと感じた昔の出来事。
今度はマンションではなく家。
同じ問題を起こさないため、その住宅に入る前に、同じ敷地ないのお隣さん家族に、やんちゃな子供たち3人をみせにいった。
(敷地に2軒、家がある。)
「いたずら大好きな男の子3人います。ここに引っ越して来て、迷惑でないでしょうか。」と勇気を出して伝えてみた。
お隣の奥さんと旦那さんは
「まあ、かわいい子供たち。どうぞ、いらしてください。よろしくね。」
と言ってくれた。
大学生の娘さんが二人いた。
4人ともとても優しかった。
入ろうとしていた家はお隣のおくさんのお兄さん家族が住んでいたが、地方に引っ越すため、そこを出ることになっていた。
メキシコ人、日本人の友人たちとも、
「同じ敷地に2家族は難しいよ、問題が起きるよ。やめたほうがいい。」
というアドバイスがほとんどだったが、私たちは引っ越した。
それから22年。
今まで一度もお隣りの家族と喧嘩したことも、問題があったこともない。
それどころか、困ったときにお互いに助け会える関係。
世界一のお隣さん に当たったと思っている。
同じ敷地のお隣さんのほか、住宅の外、両隣の一軒家のお隣家族がそれぞれ1家族づつ。
お向かいにはクリーニング屋さんとチェーン店ではないピザやさん。
22年前、引っ越して来たときに、今度は作戦をたてた。
メキシコでは引っ越しの挨拶を近所にする人はほとんどいないと聞いたけれど、日本式にご近所さんたちに果物盛り合わせのかごを作り、同じ敷地、両隣、お向かいさんたちに家族で挨拶に行った。
そういう習慣がないから、驚いていた。
それから22年、彼らとのエピソーードの一部を紹介。
同じ敷地のお隣さん。息子たちが日本人学校からメキシコの学校に転校して、宿題がわからないとき、見てくれた。
停電などでWi-Fiがなくなると、お隣のインターネットにつなげさせてくれた。お隣が停電すると、延長コードをつなげて、我が家の電気を使う。その逆もあり。
お隣さんの離れにある冷蔵庫冷凍庫に我が家の食材が多い時、物を入れさせてもらった。
数日出かけるとき、うちの留守番犬に餌をあげてくれた。
おかずがたくさんできると、お互いにおすそ分け。
片方が長期旅行に行くときは、お留守番家族が、庭の植物にみずやり。
どちらかの家に人がたくさん集まるとき、椅子、コーヒーメーカーなどを貸し出し。
庭のレモンに実が付くと、我が家に収穫したものをくださった。
年末にはポインセチア、ピニャータなど季節の飾りや花をプレゼントしあっている。
外のお隣さんの土地で根が張っているブーゲンビリア。うちの敷地で咲き乱れている。枝を切らないでずっと咲かせてくれている。向こうではその花は見ることができないのに。*一枚目の写真。
もう1家族のお隣さん。境界線の壁にハチの巣ができてしまったとき、一緒に対策を考えてくれた。
うちの木の枝が折れて、お隣に落ちてしまったとき、一緒に片付けしてくれた。
お向かいのピザやさん。息子の宿題で人にアンケートをしなければいけないとき、自ら答えてくれて、またお客さんにも協力を呼び掛けてくれた。
お向かいのクリーニングやのオーナーや従業員たち。前飼っていた犬が脱走したとき、一緒に走り回って探してくれた。
書ききれないほどのエピソード。
メキシコ人はいいかげん、嘘つき、約束守らない、仕事をさぼる・・・という人もいるけれど、我が家のお隣さんたちにはそういう人はいないので、一概にメキシコ人はどうだ…とは言えない気がする。
この国でも、隣人とうまくいかないという話、耳に入ってくる。
境界線を接すると諍いが起こるケース、多々あり。
我が家はついていた。
彼らのおかげで、今のストレスフリーの生活がある。
日lわからないことがあれば、教えてくれる親切なメキシコ人のお隣さんたち。
メキシコ生活が快適に過ごせている要因の一つはお隣さんたちとの関係だと思っている。
メキシコ旅行では気が付くことができないメキシコ。
ちょっとでも知ってもらえたら・・・と思い、書き留めてみた次第です。