「普通ってなんなん?」友人からのカミングアウトがわたしの心を潤した話
「実は、5年前パートナーシップ制度を結んでて。
うん、つまりそういうこと」
先日、ちょうど3年ぶりに友人に会い、現地集合した青森旅でのことだった。
友人歴は約15年。新卒時代の同期だ。
1日目の夜。
お互いかなりお酒を飲んで、そろそろお開きしよか〜という終盤戦。
笑いながら、最後の一口を流し込んで彼女は冒頭の言葉を発した。
...きょとん。
とするわたしの目をまっすぐ見て、こう続ける。
「みりこにだったら言えると思った。
男とは、女とは、結婚とは、女の人生とはとか、
そういう固執した価値観がやっぱりない人だな~って改めて感じて」
彼女はアラフォーとは思えないほど童顔で、
スレンダーで、
笑顔が素敵な人。
それはそれは、
昔からまったく変わらない。
複数人の男性からわたしを介して
「あのこ今彼氏おるん?」
「アドレス教えてもらえん?」
「飲み会ひらいて欲しい」
と、何回も言われるぐらいに。
男性がほっとかないほど、
可愛くて気さくで、魅力的な人なのだ。
そんな彼女からいわゆるカミングアウトを受けて、
わたしは心の底から嬉しかった。
さらに、心がぷるんっと潤った感覚になった。
実は、
わたしは子どもがいない夫婦であること、
転勤族のため持ち家がないこと、
フリーランスであることなどにより
「普通ってなんなん?」と考えさせられる出来事が結構ある。
例えば、印象的だったことは、
子育て中の知人が以前ポロッと言ったこと。
今でも小骨が歯に引っかかったような感覚を思い出す。
わたしに子どもの有無を聞き、
「いないよ。けれど毎日は充実している」
っと答えた後に、その人自身の意見を語られたのである。
「世の中の人は、『多数派=普通』という概念や、それが当たり前だと信じて疑わない傾向があるよね。
老若男女大体の人が、
結婚して、家を建てて、子ども生んで、
大学or会社に入って~が世代で回るのが普通やん?
だから少数派の意見は言葉通り少ないから、
ピックアップされにくいし『普通じゃない』と思われやすい」
ふむふむ。
「世の中は、普通の人中心で回っている。
多数派は多い分共感も得られやすいけど、
少数派は共感を得られにくい。
少数派の意見だけで世の中は回りにくいよね。
でも、いいことあるよ!頑張ってね!」
おやおや。
最初は「どゆこと?」と感じたけど、
こんな内容を突きつけられた。
それに対してわたしの返答は
「ありがと〜。心配せんでも、世のために税金は払ってるよ〜」で終わった気がする。
どうやらその人は「自分は普通」と遠回しに言いたいんだな~って気がしてならなかった。
なんの心配をしてくれているのか分からないが、
気まずい空気を撒き散らし、
意見という意見を投げかけられた。
そしてわたしの第一の発言を聞き、
「普通からはみ出ている人=少数派」に勝手に分類されて、
意味もなく応援されたのだ。
それを受けて、
多数か少数かで物ごとを『普通かどうか』判断するものさしは、
ちょっと危ういのではないかと思った記憶がある。
それと同時に、
「あなたには分からないわよね」的にも聞こえ、
(そう意味じゃないかもやけど)
心がカサついた感覚になった。
しかし、
これはどうしようもないこと。
感情がともなうこと。
「焼肉キライな人とか、信じられなーい!普通好きだよね?」みたいに、
食べ物の好き嫌いとはまったく次元が違う。
こんなことを一周ぐるり〜と思い出した後、
「教えてくれて嬉しい」
と、心から彼女に伝えた。
お酒のせいか、涙腺もゆるむ。
「生きにくいと思ってたけど、一周まわって生きやすいとも思ってる。
だって、こうやって人に言える時代やで?
それだけでも幸せ。
自分らしく生きられる環境で、自分の人生をクリエイトできるから!」
可愛いらしい笑顔でそう語る彼女。
その顔を見ると、
もう多数派とか少数派とか、普通とか、当たり前とか、
そんなのどうでもよくなった。
勝手に思いたい人や
ものさしで1つ1つ測りたい人は
そうすればいい。
相変わらずスケールが大きく、
人生を前向きに楽しんでいる彼女の姿を見て、
友人として誇らしかった。
それと同時に、
「普通とは」的なことを思考するわたしを肯定してくれた気もした。
小骨が刺さってる違和感にスルーできないこと。
今の仕事や夫の転勤を経て、一周まわって生きやすいと感じていること。
流れに乗る人生ではなく、創っていく人生でいいということ。
彼女のカミングアウトは、
わたしを信頼してくれた証でもあり、
わたしの生き方すらも肯定してくれた。
そんな旅の初日。
言うまでもなく、青森旅は最高の連続だった。
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