シニアのピアノ教室だけど 子どものレッスンもしています
久しぶりの子どもレッスン
シニアのピアノ教室をしていますが、初めからシニアに的を絞って教室を開いたわけではありません。長い年月のあいだに自然とそうなっていきました。
では子どもは受け入れていないかというとそんなことはなく、現在は、ひとりだけ小1の子がお母さんと来ています。
お母さんが変則勤務のお仕事なので、曜日を固定せずにその都度次回を決める形です。
年中さんの夏に突然ご依頼があったとき、ずいぶんと子どものレッスンから離れていたのでとっさに迷いました。
「どんなふうにやっていこう?」
「教材なに使おう?」
同時に、ずっと憧れをもって見続けていた、師匠の谷中みかさんの「おやこおとあそび」というレッスンがあって、もっと小さい乳幼児向けのようですが、熱心な早期教育とは反対側のところで、きくこと、かんじることを大切にじっくりと時間をかけて素朴な音楽と馴染んでいくことを目指しているレッスンです。
いつか再び小さな子とご縁ができたらああいうのがやりたい、と思っていたことをハッキリと思い出しました。
いまがその「いつか」なのか?
本当に私にできるのか?
、、、身震いしました。
半月の準備期間をいただき、親子で来ていただくことになりました。
音楽とのふれあいの入り口
話は少しそれますが、いま家の中でも街に出てもどこでも音に溢れていて、もちろん耳に心地よかったり楽しい気持ちになったり救われることもたくさんあるんだけども、私にとってどうか少し容量オーバー気味で「うーん」と思うときもあり、「かなわんなー」と感じてしまうことがあります。
可能ならばTVを消すか違う部屋に行くか、さっさと買い物を済ませて自分が場所を移動すれば済むことなのでどうにかなりますが。
自分にそんな傾向があるせいか、レッスンをどういう時間にしよう?と考えたときに、楽しげな音楽をこちらからどさっと与えて、それに合わせて身体を動かすとか、どうかそういうやり方に気持ちがどうしても馴染まない。
世間にはすでに賑やかな音楽がたくさんありますから、教室ではできるだけ素朴なものを、お母さんの呼ぶ声のような2音の上がり下がりに耳を澄ませる、うたう、といったことから入っていきたいと思いました。
昔はなんの迷いもなく既存の子ども向けピアノ教材をいきなり始めていました。それしか知らなかった、というのもあります。せいぜいその子その子に合うものを見極めて選んでいただけでした。
わらべうた、手遊びは、日ごろ忙しく頑張っているお母さんにも不思議な癒しをもたらすようでした。
子どものレッスンにお母さんが付き添う感覚ではなくて、母も子も、ついでに私も対等な感じで、きき、うたい、たわむれる。
あと、毎回ではないですがお絵描き(utena drawing) も織りまぜます。
メリーさんのひつじとか、かたつむり、にじがでた(谷中さんのオリジナル)を書くのが好きでしたね。
師匠のHPのリンクを貼っておきますね。
https://utenamuse.jp/
毎回準備に頭を悩ませ、レッスン中は楽しいけどヒヤヒヤもし、終わって見送った後に反省ばかり。
(やっぱり子ども苦手かも。大人の方が向いている)
とか思ってしまう。
でもさ、必要として来てくださる人が目の前にいるのに、向いているも向いていないもあるかい!
と、その度自分にハッパを掛けて。
「今がすべて」
その日のレッスンでやろうと予定していたことはあくまで予定で、親子の様子を見ながら流れを変えることも多いです。
あるとき、私の誘いかけを遮ってその子は「アルプス一万尺」の手遊びをいきなりお母さんに教え始めたんです。ここではまだやっていない遊びです。
お母さんは申し訳なさそうに
「おうちでやればいいよ、先生の言うことを聞いて。」
と声掛けてくださったんですが、私、ちょっと普段にはない珍しい行動だったので気になって、お母さんに「ちょっと話を聞いてみましょう」と話し、
「保育園でやってるの?」
「誰ちゃんとよくやるのかな?」
など聞いたら、首を横にふりふり言いにくそう。どうも他の子たちがやっているのを見て少し覚えたようで、保育園では自分はやっていないようで。
私は予定していたことをほうりだして、とことん付き合うことにしました。3人で少しずつ、こうだっけ?次はこうだっけ?と、思い出しながらとことん遊びました。その時はとっさにそうすることが大事かも、と思いました。
いつも終わると玄関で靴を履き、くるりと振り向くと私の両手を掴んで振ったりして戯れて、気が済むと最後に胸に飛び込んできて、私はぎゅっとハグして頭をよしよし撫でて、さようならをします。これがいつからか恒例になってきました。
親子で通い続けてくださることに、感謝しかなく、本当にありがたいのですが、この先どうピアノに繋げていこう、ドキドキする、責任というか、、、
と報告がてら師匠にLINEしたところ、
「今がすべて、でよいかもです。」
、、、そうですね。今がすべて、か。はい。
おとえほん
そこからまたしばらく「今がすべて」を続けていくうちに、ピアノを弾くことに少し興味が出てきた様子も見え、さてどんな教材を使ってピアノ演奏に移行していこうか、という問題がちらちらしてきます。
ずっと前に谷中さんにお願いしてゆずって頂いていた、手作りの「おとえほん」というものがあります。手のひらサイズの豆本みたいな感じのものです。
手作りなので製本はその時々で違うみたいで、その子のは赤い表紙でしたが、これを試しに始めてみたら、とても愛着を感じてくれたようで繰り返し繰り返しやりました。
ひとつ出来て合格、ハイ次、ではなくて、好きな絵本のように何度も何度もめくっては繰り返す。
ここでは全音符は4つ伸ばす、とかではなくて、長いか短いかの区別として、うーんと伸びる。この「のびる」音符が好きで、ピアノにとんでいってはポーンと鳴らして音が消えるまで耳をすませて聴くのが好きでした。消えたよ!と感じた瞬間にその子の眼がキラッと光るのを見るのが、私もたまらなく好きでした。
「全音符はいちにいさんしい 、とのばすのですよ」なんて最初に教えたくないんですよね!
私にとってこの「おとえほん」は本当にありがたい教材です。
安心して自ら行きたいと思える場所に
いまはおとえほんを卒業して(レッスンバッグの中にはいつも入っているようですが笑)、師匠のオリジナル教材「ミュージックリテラシーワークブック1 おんがくのたねをそだてよう」と「ピアノの歌と練習」に入ったところです。
ワークブックは谷中さんがYouTubeで解説動画を少しずつ上げてくださっているので、勉強しながら使ってみています。
すでに面白いことが起こっていて、ワークブックの「3.のびる音」のページで、伸びる音のイメージをひとりずつ話していったときに、私やお母さんが、お餅だのゴムだの言うのに対して、その子は
「、、、草!」
さすがですわ。
ピアノも少しずつ弾き始めています。
いまは安心して自ら行きたいと思える場所になっているようです。
おんがくのたねを育てる時期。焦らずだいじにだいじに、育っていこう。お母さんも私も育ち直しをさせてもらっているところです。
今日のレッスンでまたutena drawing にじがでた をやりました。このあとピアノで音を探して弾き、音符も書きました。
今日のnoteはここまでです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。