スタートアップにおけるデザイナーの目標設定ってどうあるべきなんだろう?
こんにちは。Voicyという音声プラットフォームのスタートアップでデザイナーをしている京谷です。
前職は大手国内メーカーでインハウスデザイナーをしており、そこからスタートアップに1人目のデザイナーとして飛び込み、今年で5年目になります。
スタートアップの目標設定は難しい?
成長に備えて会社の制度が整ってきている中で、私自身がもっとリテラシーを上げなければと課題に感じていること。それが「スタートアップにおけるデザイナーの目標設定がどうあるべきか」を設計することです。
スタートアップのマネジメントに関わっているデザイナーの方々何人かともお話しさせていただき、情報交換をさせていただいているのですが、みなさんそれぞれに課題を感じていらっしゃるようでした。
この記事では、私がデザインチームの目標設定を立てる上で課題に感じたことや、それに対して考察したことを紹介します。
特にマネジメントレイヤーのデザイナーの皆さんが目標設定について考えるきっかけになればと思います。
※Voicyの目標設定はそれぞれのdivisionに最適化された形で運用できるようになっています。この記事の内容は全社的な目標設定に対して言及しているものではなく、あくまでもデザインチームの目標設定として私が検討している内容となります。
そもそもなぜ目標設定が必要なのか?
VoicyにはToward the Goalというvalueがあります。このvalueが説明されるときアフリカの諺を引用して以下のように語られることが多くあります。
私はこの言葉を聞くといつもボートをイメージします。
ボートを一人で漕ぐのは大変ですが、自分だけの意思でゴールへ向かうことができます。一方、多人数でボートを漕ぐと馬力は一人で漕ぐ時の何倍にもなります。しかし、どのようなルートでゴールへ向かうのかすり合わせをして、掛け声で息を合わせて漕がなければゴールに辿り着くことができません。
この、ルートのすり合わせと掛け声の役割を担うのが組織における目標設定なのかなと考えています。
なぜ目標設定が難しいのか?
デザイナーの成果が定量的に測れない?
Voicyのデザイナーは、音声の文化を創出するために最高の顧客体験をデザインすることを求められています。しかし、長年UXのROIについては議論がされてきているところから見ても、UXの向上が継続理由に結び付いたのか、あるいは市場の拡大があった、など他の要因があって収益が増えただけなのかを見極めるのは非常に困難です。
また、具体的な数値目標を立てた時、その目標を達成している=良い顧客体験であるとは言いきれないところも難しいと感じます。
UXはさまざまなユーザーアクションの集合体で形成されます。そのうちの一つの目標数値に集中して全体を俯瞰できなくなってしまうことには懸念があります。
重要なのは理想の状態であり、その状態になっていることを計測するためのひとつの指標として数値目標があるのだと思います。
個人目標 VS 事業目標
デザイナーの目標設定についてあれこれ調べていると、個人のスキルをどう伸ばしていきたいか、目標を達成する=個人が成長することによって組織全体の成長につながるためのフレームワークが多く出てきました。
これについては完全に同意なのですが、事業会社かつスタートアップではその先の事業の成長が最重要視されます。つまり
目標を達成する=個人が成長する=事業が成長する
とならなければいけません。
理想の目標設定の状態
目標設定の構図を簡単な図にしてみます。
①各divisionが専門領域で力を発揮しながら事業目標を達成する
②会社のMissionが達成される
①において、デザイナーの専門スキルが上がることで事業目標の達成に寄与できるような構図になっていると良いと思いました。
今期の目標設定でやってみたこと
まずデザイナーとしてのスキル目標と、事業目標を2軸で設定することにしました。事業目標はさまざまなdivisionの総力によって達成されるものなので、それだけだとデザイナーがどれくらいそこに寄与したのかがわからないためです。2軸にすることで、事業目標達成のために専門分野でどのように貢献できたかが可視化できると考えました。
スキル目標においては、事業目標を達成するためにデザイナーがあるべき状態を言語化し、それを具体に落とし込みました。
あるべき状態になるために必要なスキルを洗い出し(WHAT)そのスキルを向上させるための具体的な行動(HOW)を目標として落とし込みます。
最後に赤枠の内容を目標として持つことになります。
まだ期中なので、今後もPDCAを回してより良い目標設定・評価の方法を探りたいと思います。
目標設定やプロダクト開発について、気軽に情報交換しませんか?よろしくお願いします!