今更聞けないIT業界「NFTの何がスゴイのか」
NFT(非代替性トークン)という言葉をIT業界のニュースなどでよく耳にするようになりました。最近ではゲーム・コンテンツ事業会社のスクエア・エニックスがデジタルシールを発売したり、NFTゲーム「アクシー・インフィニティ」が170億円を調達したりしています。
具体的な活用イメージがイマイチ沸かずふんわりしていたので、話題になっている事例などを調べてまとめてみました。
NFTとは何か?
NFTはNon Fungible Tokenの略、日本語にすると非代替性トークンと言われます。名称の意味でそのまま説明しようとすると「代替できないようにしるしが付けられる機能」みたいな感じでしょうか。
こちらの記事では「偽造不可な鑑定書&所有証明書付きのデジタルデータ」と表現されていました。複製が前提だったデジタルデータにおいて、そのオリジナルの権利を所有できるという点が画期的なのです。
何に使えるのか?
アナログ世界のアート作品に置き換えて考えてみると理解がしやすそうです。
例えばゴッホの名作「ひまわり」は1987年の英クリステーズオークションで53億円(当時為替レート)で落札されています。
「ひまわり」には複製画が多数存在しますが、精巧に描かれて一見本物と見分けがつかないものでも20万円程度で購入することができます。(複製画の一例)
この価値の差は何でしょうか。アートは機能的な価値やその技術によって価値が決まるわけではありません。「ひまわり」についても、ただ見た目が好き、部屋に飾りたい、という人は少ないでしょう。アーティスト自身が哲学や思想を込めて作品を生み出していること、アーティストが作品を作った歴史的背景などの物語に価値がついているのです。
これをデジタルの世界に置き換えて考えてみます。アーティストがその哲学や思想を込めて、一つのデジタル映像作品を作ったとします。このデジタル映像作品は簡単にコピーが可能です。しかし、NFTを使えばオリジナル作品を定義することができます。このオリジナル作品はアーティストの哲学に共感した人には価値があるものになることは理解できます。すなわちアナログの世界と同様にオリジナル作品が唯一無二な資産となるのです。
NFTの事例
NFTという言葉が出てき始めた時に話題になった事例としては
などがあります。
アクシー・インフィニティ
特に私がNFTの事例で特に気になっているのは、冒頭でも触れたNFTゲーム「アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)」です。
アクシー・インフィニティとはゲーム内で仮想通貨を入手したり、NFTを売ったりすることで稼ぐことができるNFTゲームです。ゲーム内容はAxie(アクシー)というモンスターを使って戦うバトルゲームです。
このゲームの特徴はブロックチェーンの技術を使うことで、ゲーム内のアイテムの数を限定、もしくは「世界に一つしかない」などの唯一性を持たせていることです。これによりアイテムを資産化することができ、ゲーム外の世界でも資産として売買することができます。
これもアナログの世界に置き換えて考えるとわかりやすいですね。例えば1998年からバンダイで発売されたバトルカードゲーム「遊戯王OCG」では世界に1枚しかないステンレス製のカードが約10億円で出品されたこともあるそうです。(参照)
従来型のアイテムを課金するようなゲームでは、アイテムはそのゲーム内でしか価値がないものでした。ゲームで活躍して手に入れたアイテムをゲーム外の世界でも資産化して扱える、というのは新しい体験だなと思います。