見出し画像

第36回カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - 基数の格変化(単数)

---
カレリア語のうち、本カレリア方言-ヴィエナ方言を学ぶページです。
方言分類に関してはこちらの記事をご参照ください。
---

第10回で数詞(基数)を学びました。

今回は、この基数の格変化(単数形)について学びます。

基数の格変化(単数)

各基数の語幹をまとめたのがこちら。

それぞれの語幹の作り方を確認していきます。
比較にあげる名詞のタイプに関しては第12回を復習してください。

1)yksi, kakši

-si/-ši で終わっている数詞で、基本的には名詞のタイプのうち 3-5)-siで終わる語に該当しますが、-k- が -h- に変化する少々例外的なパターンなのでこのまま覚えてしまいましょう。
    語幹        属格    分格
yksi   yhte-  : yhe-   yhe-n    yh-tä
kakši    kahte-  :  kahe-   kahe-n     kah-ta

2)kolme

-e で終わっている語ですが、 3-2) -i- が -e- に変化 のタイプに該当し、基本的に単数主格=単数語幹となります。
    語幹    属格    分格
kolme kolme-   kolme-n    kolmi-e

3)nellä

名詞のタイプ 2)長母音・二重母音(-ie, -ua, -uo, -iä)で終わる語 に該当します。このタイプは単数主格=単数語幹でしたね。
   語幹   属格    分格
nellä nellä-   nellä-n   nelly-ä

4)viisi, kuuši

こちらも 1) 同様、名詞のタイプ 3-5)-siで終わる語に該当します。子音交替には注意が必要ですね。
    語幹          属格     分格
viisi   viite-  : viije-      viije-n     viit-tä
kuuši    kuute-  :  kuuvve-     kuuvve-n     kuut-ta

5) šeiččemen, kahekšan, yhekšän, kymmenen

名詞のタイプに準ぜず、単数主格から最後の -n をとった形が語幹となります。
        語幹     属格      分格
šeiččemen  šeiččeme-    šeiččeme-n   šeiččemy-ä
kahekšan    kahekša-   kahekša-n     kahekšu-ä
yhekšän      yhekšä-     yhekšä-n    yhekšy-ä
kymmenen    kymmene-   kymmene-n    kymmen-tä

kymmenen の単数分格は例外的に kymmen-tä となります。

6) šata

nellä同様、名詞のタイプ 2)長母音・二重母音(-ie, -ua, -uo, -iä)で終わる語 に該当します。ただし子音交替( t : 消失)、ならびに母音交替(a > ua-)があるので要注意。
   語幹       属格     分格
šata šata- : šua-  šua-n      šatu-a

7) tuhat

tuhat の語幹は不規則な変化となるので、覚えてしまいましょう。
    語幹           属格     分格
tuhat tuhante- : tuhanne-  tuhanne-n    tuhat-ta

8) 11~19 

「11」から「19」の基数は1の位の数詞に -toista をつけて作りましたが、格変化させるときに -toista の部分は変化しません。つまり、-toista の前にある1の位の数字のみ変化させます。
          語幹            属格    分格
yksitoista      yhte-toista :   yhe-toista  yhe-n|toista yh-ta|toista
kakšitoista    kahte-toista : kahe-toista   kahe-ntoista kah-ta|toista
kolmetoista     kolme-toista         kolme-ntoista
nellätoista     nellä-toista
viisitoista    viite-      : viije-
kuušitoista    kuute-       :   kuuvve-
šeiččementoista šeiččeme-
kahekšantoista   kahekša-
yhekšäntoista  yhekšä-

9) 複合数詞

「20」より大きい、複数の数詞から成る基数が格変化するときには、基本的には、すべての基数の要素を格変化させる必要があります。

例)
21 kakšikymmentäyksi
語幹:kahe- | kymmene- | yhe-
属格:kahe-n | kymmene-n | yhe-n
分格:kah-ta | kymmen-tä | yh-tä

350 kolmešatuaviisi
語幹:kolme- | šata- | viite- :kolme- | šua- | viije-
属格:kolme-n | šua-n | viije-n
分格:kolmi-e | šatu-a | viit-tä

4867 nellätuhattakahekšanšatuakuušikymmentäšeiččemen
語幹:nellä- | tuhante- | kahekša- | šata- | kuute- | kymmene- | šeiččeme-
   nellä- | tuhanne- | kahekša- | šua- | kuvve- | kymmene- | šeiččeme-
属格: nellä-n| tuhanne-n| kahekša-n| šua-n| kuvve-n| kymmene-n| šeiččeme-n
分格: nelly-ä| tuhanne-tta| kahekšu-ä| šatu-a| kuut-ta| kymmen-tä| šeiččemy-ä

上記では分かりやすく間に区切りマークを入れていますが、基本は一続きに書きます。長ったらしくて訳が分からなくなりますね・・。

例文

Lähen tiältä kahen päivän peräštä.
私は2日後にここから出発します

Kauppa on auki yhekšästä kahekšahtoista.
お店は9時から18時まで開いている

Nousen huomenekšella aina viijeltä.
私はいつも5時に起きる

Lapši jo šuattau laškie yheštä kymmeneh.
子どもはもう1から10まで数えることができる

学習後のつぶやき

カレリア語はやはり、語幹をつくる際の母音交替がやっかいですね。ついつい忘れてしまいがちです。

フィンランド語もそうですが数字を文字で書くと、とにかく長い。構成する数の間に区切りもないので、慣れるまで判別が難しいです。おまけに格変化させる時には、構成する数すべてが変化するので更に長くなる。
対してロシア語では、構成する数の間はスペースが入るし、格変化は最小単位の数のみ。うらやましい。

次回は序数の格変化の予定ですが、これまで紹介し忘れていた人称代名詞、疑問詞の格変化にするかもしれません。

>> カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - もくじ

いいなと思ったら応援しよう!