漢字に変換されない単語。
パッケージには色々な種類があるのですが、
その中でもマイナーな存在なのが『貼箱』。
はりばこ、と読みます。
お使いの日本語IMEによっては変換されるかもしれませんが
ワタシが使用している、かわせみ2では変換できません。
この箱は、ボール紙(bordがなまってボールと呼ばれてしまった厚くて硬い紙、板紙とも呼ばれます)を芯材として、薄い紙や布を貼り付けて仕上げます。
主に、アクセサリーや革製品などの高級品のパッケージとして使われます。
フランスにはCartonnageという工芸があるそうです。
そのせいか、ヨーロッパのワインやショコラのパッケージには
貼箱を見かけることが多いような気がします。
PIERRE HERMÉの2020年パッケージ(貼箱)。
これは「貼箱」で、手にした時にしっかりとした作りを感じることが出来ます。作りは単純なのですが、貼り合わせるときに「ニカワ」を使用するため、箱自体の強度があがります。
紙を内側に延ばして貼り付けるため、10ミリ程度模様などが続くのが特徴です。場合によってはもっと紙を長くしている事もあります。
一般的に目にするのは「トムソン」と呼ばれる、抜き加工によって作られる箱です。自由度が高いので、色々な加工が可能。
これもPIERRE HERMÉの2020年パッケージ(トムソン)。
スリーブと内箱で構成されています。上記の貼箱と似ていますが、まったく違うものです。ここから読み取れる事が、変わってきます。
貼箱 → 型などを作らずにすむため、少数でも作りやすい。ほぼ手作りに近いため、そこはかとなく高級感も漂う。特別なものが入っているんですよ、というメッセージが込められる。使い終わったら取っておきたくなる。
トムソン → 型をつくって印刷された紙を抜いて箱にするため、大量に作ることが出来る(少量だと高くなってしまう)。紙の厚さもある程度はバリエーションが出せる。使い終わったら「ごみに出すときは市町村の区分に従ってください」。
毎年、2月になるとサロン・デュ・ショコラという祭典が日本のデパートを巡回します。これはワタシにとっては「箱の祭典」、世界中のイケてる箱に出会えるチャンスです。しかも、マイナーな貼箱たちが胸をはって並んでいます。
今年は売り場に行くことを諦めて、さまざまなメーカーのオンラインサイトを巡っては「貼箱か、否か」だけを目を皿のようにして見ていました。が、写真だけでは区別つかないことが多いので購入は断念。あの現場の熱気が無いと買いにくい値段であることも、大きな理由ですが。
というわけでオリジナルの箱をつくり始めました。変換されない=検索されない箱をちまちまと。
5月、母の日に向けて、もらったら取っておきたくなるような箱になるよう、ただいま設計中。