私が出逢った2匹の仔猫

今からちょうど20年前。

打ち合わせが終わり神田駅へ向かう途中のスタバに人だかりができていた。
「??  何事だろう??」
覗き込んでみるとスタバの店員さんが手のひらにすっぽり収まる位小さな仔猫を抱っこしていた。
「!!!!  かわいい!!」
しばらくその小さな仔猫を見つめていたが、会社に戻らなくちゃ、とまた歩き出した。
しばらく歩いたところで赤信号。
どうしよう…
駅まであとわずかだが、やっぱりどうしても気になって走って引き返した。

「すみません、抱っこさせて下さい」
思い切って店員さんに言ってみた。
笑顔で店員のお兄さんがその小さな仔猫を手のひらにそっと乗せてくれた。
産まれたてのようなちっちゃな赤ちゃん仔猫はじんわり温かくてしあわせな気持ちにさせてくれた。

抱っこさせてもらっている間、店員のお兄さんが話してくれた。
スタバとすぐ隣のビルの狭い隙間に仔猫が2匹ミャーミャー泣いており、おそらく親猫は前日に目の前の道路ではねられたらしいんです。
車も多い場所だけに、早くもらってくれる方が見つかるといいんですが…。

その時そばにいたチャキチャキ江戸ッ子のようなおばさまがこう言われた。

「産まれてくるからには何らかの使命があるんだよ。動物も同じだよ」

その言葉を聞いた瞬間、何故かわからないけど反射的に「私が引き取ります」と言ってしまった。
けれどそれしか選択肢がなかったのだ。
手のひらに乗っている温かな小さな命を守りたいと強く思った。
飼うことは出来ないけど、しばらく家で預かり、飼い主さんを探す事なら出来るはず。
突然とはいえ守るべき存在が現れ、自分でも驚く程一瞬にして強い気持ちになれた。

だが、現実はこれから会社に戻らなくていけない状況。仔猫は連れていけないし、どうしよう…。
そんな状況を察したかの様にスタバの店員さんが「実は僕30分前に勤務終わったんですけど、仔猫がかわいくてなかなか帰れなくて…
まだ当分いるので仕事終わられるまでよかったら仔猫預かっておきますよ」
そう優しい笑顔で言ってくれた。
そして、その申し出を有難く頂戴する事にした。

仕事が終わり、四谷から中央線に飛び乗り神田で降りるとスタバまで全速力で息を切らしながら走った。
スタバの店員のお兄さんが同じバイトの女の子達と喋りながら、外で待ってくれていた。
私に気付くとみんな笑顔で話しかけてくれて、仔猫が入った手作りの小さなダンボールハウスを手渡してくれた。
そして「これ私達から差し入れです。ネコちゃん達を引き取ってくれてありがとうございます」そう言ってスタバのスイーツをプレゼントしてくれた。
なんて温かくて優しい人達なんだろう…
ジーンとしながら駅へと向かい中央線へと向かった。

がしかし。
神田から吉祥寺までは結構長いことを忘れていた。
「ミャー」と何度も泣いてはモグラ叩きの様にダンボールから勢いよく頭を出す仔猫ちゃん達に、飛び出していかないかと冷や汗でフラフラになりながら吉祥寺の1Kの我が家へと辿り着いたのだった。

そして、この日からほんの短い間だったが、幸せいっぱいの仔猫と私の生活が始まる。

続く…

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