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洞窟の影 #15

今日のテストを全て受け終え、駐輪所にある自転車にまたがった。丁度テストの問題用紙の分だけ重くなった二年半使っているメッセンジャーバッグは僕の体にとてもフィットした。全く疲れていないのに、部活をしていた頃よりなぜだか重くなった一漕ぎ目に全体重を乗せてグッと動かした。“おーい、しっかり取れよー”“わりぃ、わりぃ”などの緩み切った掛け声を上げながら趣味の延長戦で活動しているテニス部を横目に学校の門をくぐった。もともと城跡に建てられたこの高校は辺りを堀が囲んでおり小さな橋で繋がれていることが多かった。橋から見下ろす眼下には多くの人が使う電車が通っている。田舎の電車らしく車両数が少なく、速度もだいぶ遅い気がした。どんなに横柄でたちが悪く威張っている奴でも電車の時間を気にして行動する姿は僕にとって痛快だった。逆に尊敬し、憧れていた先輩が同様の理由で急いでいる様子を見るとヒーローの日常を目撃してしまった様な気がしてどこか罪悪感を覚えずにはいられなかった。

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