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笑いの科学的分析

笑いに関する以下の2冊が面白かったので、その分析や方法をピックアップしてみる。

  • 「科学で読み解く笑いの方程式」小林亮

  • 「「笑い」の解剖:経済学者が解く50の疑問」中島 隆信

笑いとは

笑いとは、無害かつ親しみやすい不自然さを認識することで生じる身体的反応である。脳科学的には情報伝達が、記憶を司る海馬、偏桃体、快楽を感じる側坐核、緊張を緩和する視床下部、そして顔面神経や橋(呼吸を調整する部位)へと進み、笑いの表情や呼吸が引き起こされる。この一連のプロセスは、不確定性の高い情報が海馬で連合されるときに発生する。

笑いは「単純接触効果」と「情報の不確定性」で説明される。単純接触効果とは、同じものに繰り返し触れることで好感度が上がる心理現象で、情報の不確定性とは、予測しにくさであり、それが高ければ笑いを引き起こす。

笑いの方程式

笑いの発生量は、①連合される情報間の距離(不確定性の大きさ)と、②潜在的な副交感神経の優位性(リラックス状態)の指数によってモデル化される。

  • ①情報の距離(不確定性)
    長期記憶はシナプスを介して(情報に対応するシナプス前のゲートが開放され、記憶たんぱく質がシナプスに到達することで)保存されるが、予測しにくい組み合わせは、脳内で距離的に遠くに位置している。但し、繰り返し連合が発生するとつながりが強化され、情報の不確定性は低くなる。笑いは、距離が遠く、つながりが弱い組み合わせについて、記憶の連合が発生するときに起こる。

  • ②潜在性副交感神経系優位指数(PPDI)
    PPDIは、自律神経系において副交感神経がどれくらい優位に働きやすい状態かを示す指数。副交感神経が優位になるほどリラックスし、笑いが起きやすい状態となる。

笑いの種類

  1. 創作型認知の笑い:予想外の情報に対する反応(例:ハプニングやボケ)

  2. 共感型認知の笑い:懐かしさを感じさせる情報に対する反応(例:モノマネ)

これらは一見異なる笑いの種類だが、共通して「不確定性の高い情報が連合される」という点で一致している。

お笑いの構造と方法

お笑いにおける役割

  • フリ
    ボケの前段階で、質問やお題、モノマネなどを通して次の展開を予測させる。

  • ボケ
    予想を外れた行動や発言を行うことで、不確定性を生み出し笑いを誘発する。

  • ツッコミ
    ボケによって生じた不自然さや違和感を際立たせる役割を果たす。

お笑いの形式

  • 大喜利:お題(フリ)→ボケ

  • 漫談:フリ→オチ(ボケ)→ツッコミ

  • 漫才:フリ→ボケ→ツッコミ

笑いをつくる方法

  • フリ
    質問やお題を提示したり、モノマネやロープレを行う。

  • ボケ
    通常予測される展開をあえて外したり、連想されるが一般的ではないアイデアを提示する。

  • ツッコミ
    ボケの不自然さを強調する(例:〇〇かい)
    説明する(例:それ〇〇なやつな)
    さらにちょっとずらす(ボケツッコミ)
    毒を中和する(例:「ちゃうやろ」といって冗談っぽくする)

これで笑いが解明できた気がするだろうか。――いや、まだまだ謎だらけだ。笑いって予想外が連鎖する爆弾みたいなものだし、リラックスしてないと受け止められない。心に余裕があると「なんで今それやる?」って感じでツッコめる。でも、余裕がなければただのパニックだ。
だから、今日もリラックスして笑いを楽しもう。もちろん、ボケもツッコミも忘れずに。誰もツッコんでくれないと、ただの変な人になるからね。