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あなたが決めなさい

先日


「先生!渾身の一枚がやっと書けました!」


と、自宅で書いた書を喜び勇んで書道教室に持って行った。展覧会に出品する用の作品を。


すると、それを見た先生



ここが変。
この字はもっと大きく。
ここハネてないのはおかしい。
これ誤字じゃない?辞書引いたの?
この字、曲がってるじゃない!
ここはいらない線。
こっちが太くてこっちが細いっておかしいでしょ!
ここ、もっと余白あければ良かったのに。




これでもかとダメ出し。



あぁ、渾身の一枚だったのに。
また書き直しか。。
これで何回目だろう。。
やっぱり私、才能ないのかな。。


そう思いながらしょんぼりしていたら



「はい、ご苦労さんでした!」



先生はそう言って私の作品を回収、展覧会行きの封筒にしまいはじめた。つまり、その作品を展覧会に出品するのだ。



「え?先生いいんですか、これで!?」と聞くと




「あなたこれ以上のもの書けるの?」と鋭い返し。



ぎくっ
さすが先生。



今の私にはこれが精一杯。


もちろん、先生が指摘した所は改善すべきかもしれない。けれどその部分を何度も何度も練習し、改めて作品として仕上げたとする。すると今度は、今まで上手く書けていた箇所がおかしくなる、そんな気がした。
さらに言うと、この作品は正直もう書きたくないと思っていた。それぐらい練習したからだ。
先生はきっと、それらを分かっていたのかもしれない。



「あなたがよければそれでいいの。私の言う事なんていちいち聞かなくていいの。あなたの作品なんだもの、あなたが決めなさい。でもね、一応私は仕事だから、"ここがおかしい"、"あそこがおかしい"って言ってるの。それを全部受け止めてたら作品なんて出品できなくなるわよ。もっと気楽に考えなさい。これで人生終わる訳じゃない、まだ展覧会はたくさんあるんだから。はい、じゃあ来週もお稽古待ってますからね!」



そう言って先生は私の元を去っていったと思ったら、今度は別の生徒さんの作品に対して「書き出しが変!これは誤字。ここ曲がってない?この字は筆を引っ掛けてから書く!」



怒涛の先生チェックは続く。




本当はもう自分の中で答えが出ているはずなのに、周りの情報や意見に左右されてなかなか結論が出ない、そんな時は


これ以上のもの書けるの?

あなたが決めなさい。

あなたの作品なんだから。




この言葉を思い出すようにしている。


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さなえ
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