受入れ枠を増やしたところで…。

地方の受入れ枠拡大

育成就労制度下、優良な受入企業(地方)の受入れ枠を拡大する方向

現在、有識者懇談会で検討が進んでいる育成就労制度の中身の中で、
・地方の優良企業の受入れ人数枠を拡大する
・都市部の受入れ企業の”転籍”受入れ人数枠を制限する
等の方向で進んでいますが、正味意味のない方向性だと感じます。

送出し各国に海外就労希望者が行先を決める要因

①待遇
②職種
③都道府県
この辺りが選択に影響を与えますが、①が高ければ、③の優先度合はそこまで高くありません。
例えば、鹿児島で基本給23万円、手取り18万円+残業と東京で基本給20万円、手取り15万円であれば、職種にもよりますが、前者を選ぶ割合は確実に上がります。待遇も職種も同じであれば、家族・恋人が鹿児島にいる等の特別な理由がない限り、当然東京を選びます。
受入れ枠を広げたところで、①が不十分なら誰も来ません。都市部の狭き門に応募者が殺到するだけです。

地方で不人気職種(建設・農業)は死に体か⁇

労働者を呼べるだけの、呼んだ労働者を留めおける(定着)だけの待遇を準備するだけです。
ベトナムのSNS上の実習生募集グループでは、未だに基本給18万円未満の建設業の求人を見かけることがあり、年齢も18~27歳と最早、送出機関に対する嫌がらせかと感じるような水準です。
東京・大阪の最低賃金でも建設業の実習生募集は困難を極めている状況において、ベトナムは建設業×18万円未満の待遇がどうこうできる時代は大昔に終了しています。

結局、彼ら・彼女らは稼ぎに来るんです。

出国費用の上限を定めようが、転籍制限を緩和しようが、日本語要件を課そうが、人材の質が下がったと言われようが、労働者が満足できるだけの待遇を準備すれば、受入れ企業が納得できる人材の採用は今のベトナムでも十分に可能です。
日本に行く為に100万円かかろうが、3年で300万円以上稼げるなら払ってしまう国ですし、転籍がしやすくなっても稼げる受入れ企業なら転籍しないですし、日本語を課しても、その企業・日本で働き続けたいと思えば100時間の勉強機会を提供しなくても労働者が勝手に勉強しますし、十分な待遇で求人を出せば質の高い人材を余裕で採用できますし、十分な待遇・昇給であれば、3年後も特定技能1号で延長もするでしょう。

結局、労働者が求めるものを提供できているかどうかが問題であり、受入れ枠が多かろうが、求めるものを提供できていない企業の求人には応募なんぞありません。


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