人の心は強くなることはない

正月明けの新宿駅の目の前で男性の首つりがあったそうですね。

聞いた話だとその男性は無事だったそうですが、

首つりの間大勢の人にスマホで写真やら動画を撮られたそうで。

なんで真っ先に助けたり降ろそうとしないのか

不思議でしょうがないですね。

まず彼はどうして自殺をしようとしたのでしょうか?

彼の心が弱かったから?

私は心の強さはみな同じだと思います。

人の心の強さに優劣は無いと考えているのです。

それがどういうことなのかを私の実体験を

ふまえながらお話ししたいと思います。


心がある程度まともな状態

私がまだ"まとも"だったころは

職がありました。彼女もいました。

仕事やプライベートの傍ら音楽活動もしていました。

色々苦難はありましたが、どれもある程度順調だったと思います。

私はそうなる前に一度職を失っており、

自分の自信を完全に失っていました。

そこから約3年で立ち直り、

職を失う前の自分と比べてさらに精神的に

強く成長したと思っていました。


心がまた弱くなっていく日々

ですが、一つの転機が訪れました。

音楽活動に一つの満足感を覚えてしまい、

自分の音楽活動の意味が分からなくなってきました。

それと同時に仕事もやりがいを完全に見失っていました。

(仕事は元々3年ぐらいで辞めようと思っていました。)

私は今の自分なら音楽のプロを目指せるのではないかと思い、

仕事を辞め、自分の音楽活動もストップし、

『プロになるための音楽』を始めました。

その生活を始めた2週間後

彼女に振られました。

理由は彼女が自分のことで精いっぱいだから

という理由でした。

それからというもの

自分の思考が

一度職を失い自信を失ったときの

自分に近づいていくような感覚がありました。

例えば、SNSで人の成功を見かけて妬むようになったり、

酒に酔うことが好きになったり。

まるで自分の精神が巻き戻しを

されているような感覚に陥りました。

そしてついに、

自分の心が弱くなる

決定的な出来事が起こりました。

『プロになるための音楽』生活を始めて

3か月がたった頃、

作曲の先生に呼び出され、抜き打ちの音感テストを受けました。

当時私は耳コピがどうしても上手くいかなくてすごい悩んでいて、

先生もどうしてうまくいかないのか分からなかったので一度自分の実力を

もう一度試そうという結論に至ったそうです。

音感テストの結果は本当にひどいもので

音楽家としては絶望的だと言われました。

私はそれを機に『プロになるための音楽』すら辞め、

なにもかもが無くなりました。

それからというもの

電話が怖い

人と話すのが怖い

人と会う約束をすると動悸がする

など明らかに一度職を失った時よりも

心は弱くなっていました。

一度は挫折を乗り越え強くなったと思っていた心。

どうしてここまでひどくなってしまったのか?

私の心は強くなってなどいなかった。

心は成長することなどないんだ。

そう悟りました。

この悟りがどういうことなのか。

さらに詳しく解説していきます。


人の心は鎧を着ているだけ

モンスターハンターってゲームありますよね?

あれってモンスターを倒して、

倒したモンスターの素材で”装備”を揃えて

強くなっていくじゃないですか。

そのようなことが人の心には起こっているのです。

シリアスな展開から急にごめんなさい。

でも、真面目に解説するにはこの例えが一番なんです。


人は肩書きや過去の体験から

自分がどんな人間なのかを作り上げます。

仕事をしていれば『仕事をしている自分』が、

彼女がいれば『彼女のいる自分』が

心の中で出来上がります。

人とのコミュニケーションの成功体験が多い人は

『コミュニケーション能力の高い自分』が心に残ります。

そのような多種多様な『自分』が心に出来上がることで

人の心は豊かになり、強くなっていくのです。

まさにそれがモンスターハンターでいう”装備”です。

ですが、その”装備”が外されたらどうでしょう?

モンスターハンターであれば、

装備を外せばその分”防御力”が落ちます。

ハンター(プレイヤー)自体が強くなることはありません。

なので、装備が薄くなればなるほど

モンスターの攻撃から受けるダメージが大きくなります。

このハンターが人間でいう『心』なのです。

私の体験で言えば

仕事を辞めたことで

『仕事をしている自分』の装備を外しました。

彼女と別れたことで

『彼女がいる自分』の装備を外しました。

『プロになるための音楽』の生活をしていて

家にいることが多くなったことで

他にも様々な自分が知らず知らずのうちに

心から外されていったのでしょう。

そうしていくともちろん外からの刺激に対する”防御力”が下がるわけです。

そして、装備している本人は強くなることはありません。

最終的に私は多くの『自分』(装備)を失い、

外からの刺激に対して貧弱になってしまったのです。


心はいくらでも装備できる

『心が強くなることはない』という意味を

ご理解いただけましたでしょうか?

今のあなたはどうですか?

自分の心は強いと思いますか?

逆に弱いと思いますか?

強いと思っているなら今自分の周りにあるものに感謝してください。

それがあなたを強くしているものだから。

逆に弱いと思っているなら安心してください。

あなたにぴったりの装備がこの世界のどこかにあるはずです。

私もまだまだ探している途中です。

お互い頑張りましょう。