物理で群論はこう使う〜"数学な群論"に手を出すな
これは備忘録。 ※ わたしはアマゾンレビュア 雑学家さんではありません。
前編はこちら。
この記事での対象となる方
下記の方を対象にしています。
非 旧帝 レベル
物理・工学・情報系向け
少なくとも数学科ではない
博士後期課程には進まない
プロにはならない
学生、社会人を含む独学者
講義を受けている方も
イントロダクション ~魔のささやき
"数学な群論"に手を出すな
理論物理を学んでいると、「これ群論だよ。」と耳にするようになります。
たとえば、量子力学の角運動量・スピンでのSO(3)やU(2)、そしてスピノール。角運動量・スピンは球面調和関数の代数的表現ともいえて、ド直球なバズワードたちが並ぶタイトルの本があります。
非常に高度な内容。量子力学で球面調和関数(ルジャンドル陪関数など)に興味を持ったとしても手を出さないほうがいい。
「そうか群論、いや代数学か」と、
を読んでみると、
「(初めあたりでは)これって当たり前のことじゃないか?」
「置換群って美味しいのか?」(物理では使いません)
が連なり、興味を保てないままに、本を投げてしまう。
わたしの経験上、数学の方の講義・専門書は、物理での需要を満たしてくれません。一所懸命に数学の専門書を読んでも、物理には使えません。
興が乗じて
本間泰史『スピン幾何学:スピノール場の数学』,森北出版,2016
目次には気になる用語(クリフォード,スピノール,ディラック,共変微分,接続,キリング,ツイスター)が載っている。
を開いてはいけない。
一転して、数学者による専門書ではなく、物理学者による専門書、
ジョージァイ 『物理学におけるリ-代数: アイソスピンから統一理論へ(原書第2版)』,吉岡書店,2010
ハワード・ジョージアイ(Howard Georgi)先生は、群構造により相互作用を分類したGeorgi–Glashow modelの提唱者。
「で、群論で物理はどう使われるのか?」に答えてくれない。たんに読みこなせてないだけかもしれないけど。
ほかにも参考になるであろう群論書籍はあります。
多くは本巻末の参考文献に挙げられています。その中には
実際の出版年は1960年です。
2巨頭 『一般力学』の山内恭彦 先生、『解析入門』の杉浦光夫 先生による「連続群論」
プレミアな価格で入手しなくてもいいですよ。
もあります。多くは"これ物群"の本の著者が学んだ本です。
そもそも群論とは、物理を楽するために導入されたのではありません。
さきに物理で苦労してから、別ルートとして群論を利用するのが正統な学びです。
物理を高めてから、(物理のための)群論を学んでも、間に合います。
手を出さないほうがいいかもしれないリスト
※ 指導者がいるなら適う人もいるかもしれません。
物理から群論を学ぶ
群論とタイトルにない本でも、群論による必要最低限の説明が載っている本が多くあります。
素粒子理論(ハドロンの分類/ローレンツ群)
量子力学と角運動量・スピン
群論を表立って扱っていませんが、スピンに特化した隠れ良書です。
分子・結晶構造(量子化学の本に詳しい)
その他
プレミアム価格がついています。図書館などで探してみてください。
講義が公開されています
京都大学 雪江先生(先掲『代数学』日本評論社)によるアドバンスドな群論の(非専門学生向け?)講義(Kyoto-U OCW)がYouTubeで公開されています。
京都大学理学部「基礎数学からの展開A」雪江 明彦(理学研究科 教授)(全7回)
わたしはこの講義だけでは理解できませんでした。
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