HBRメモ_企業の信頼はガバナンス経営から始まる(冨山和彦氏)_人材育成_タレントマネジメント_サクセションプラン
以下、抜粋メモ。
●経営人材にはタフ・アサインメントを
日本には、将来のリーダー層をどうやって育成、あるいは獲得していくのかというサクセッションプランについて、あまりにも無頓着な企業が多い。
日本経済が右肩上がりだった時代には、サラリーマン共同体の中で周囲との軋轢を生まず、そつなく仕事をこなす人が世代順送りで経営陣の座に収まり、それでも企業は成長することができた。
しかし、いまはそのような時代ではない。環境変化やさまざまな利害関係の摩擦と軋轢が常態化する強いプレッシャーの中で、冷静で的確な意思決定ができるタフな経営人材を、明確な方針の下に育成・獲得していくシステムを構築することが必要だ。
ソフトバンクグループやファーストリテイリング、日本電産のように、バブル経済崩壊後の厳しい経営環境の中でもグローバルに成長を続けている企業には、創業(もしくは一族)経営者が陣頭指揮を執り続けている例が目立つ。
創業経営者はお金も人材も信用もない、非常にタフな環境の中で真剣勝負を生き抜くことで鍛え上げられている。だから、強いのだ。したがって、経営人材候補には、タフ・アサインメントによって真剣勝負の機会を与えるのが最も効果的だ。
グローバルリーダーへの道を歩む意志と能力がある若い人たちを選抜し、経営人材候補のプールをつくる。その候補者たちを新興国市場や資金も人材も足りない子会社などに送り込み、修羅場をくぐり抜ける経験をさせるのだ。そして、結果を残した者をさらに引き上げていき、最終的に彼ら、彼女らの中から次期CxOを選抜する。
人材プールは常に一定である必要はなく、メンバーを入れ替えることで、意志と能力さえあれば、誰でも候補者になれるチャンスがあることを示す。同時に誰が経営人材プールに選抜されているかを社内で明らかにし、その人たちの人事権は直属の上司にはないことをはっきりさせておいたほうがいい。そうでないと、有能な人材を手放さない上司が必ず出てくるからだ。
オムロンや日立製作所などでは、実際にこうした選抜システムを運用している。このように透明性が高く、誰にでもチャンスが開かれた選抜システムがあれば、グローバルマーケットで有能な人材を獲得する際にも有利に働く。国籍や社歴の長さなどに関係なく、実績と努力次第で自分が望むポジションに就けることが明示されていないと、欧米や新興国の有能な人材は来てくれないのである。
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