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2021 『ジヴェルニーの食卓』を読みました

 こんにちは。白です。
 今回は『ジヴェルニーの食卓』を読んだよというお話です。

 原田マハさんの『ジヴェルニーの食卓』を読みました。
 マティス、ドガ、セザンヌ、モネの周辺の女性たちが語り手となったお話で、歴史や風俗、画家の人生などを緻密に調べて書かれています。

 『うつくしい墓』はマティスに仕えることになる若い女性の話です。マティスが絵に使っていた色紙を切る音が印象に残りました。マティスの創作を周囲の女性たちが大切に見守っていたのが伝わってきます。マグノリアと主人公のマリアをマティスに送るシーンに艶やかさを感じました。

 『エトワール』。ドガの踊り子にかける情熱を、当時の女流画家メアリー・カサットが目の当たりにするお話。
 貧しい家の出である踊り子たちがパトロンに買われて初めて幸せになるという厳しい現実と、少女たちをある種芸術のために犠牲にしているようなドガの創作の姿勢に、同じ女性としてメアリーが疑問を投げかけます。道徳と芸術のぶつかり合いを割り切れない形で描いたところに重い余韻を感じました。

 『タンギー爺さん』はセザンヌに絵の具代を請求するタンギーの娘の手紙です。ゴッホやゴーギャンが当時セザンヌに傾倒していたことや、タンギー爺さんと貧しい画家たちの交流が描かれています。若いころのゴッホの鋭い印象や、タンギー爺さんの温かい人柄を感じる短編でした。

 『ジヴェルニーの食卓』はモネと同居する義理の娘ブランシュのお話。幼いころのブランシュがモネの助手となり、モネの創作風景を活写するところや、モネの庭園や料理の描写がみずみずしいです。
 居候するブランシュの母アリスとモネの静かな恋愛も、その当時は不義の恋ですが、モネの絵のようにやわらかく穏やかに描かれています。

 文章を読んでいるとそれぞれの画家の絵が思い浮かぶのが素晴らしかったです。絵とその人の性格とは共通しているのだろうと思わせる作品集でした。

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