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展示にこだわらなかったら、すごい気合の入った展示ができました~中学校ABDレポート2024 Vol.3
さて、今年度のABD授業もいよいよ佳境です。
前回のレポートでは、みんなが各自読みたい本を選び、その中から二冊を使って実際にABDを企画、実施するまでを記録しました。
全8回ある授業のうち、今回は、展示作成した第7回から最終回の様子までをレポートします。
また、展示発表をした文化祭の風景もご紹介します。
第7回:それぞれがそれぞれにつくる展示
そもそも「文化祭で展示」という形式は、塩尻中学校の総合学習である「地域ふれあい学習」の流れで決まっているものです。
他の講座には、和太鼓や生花などがあり、文化祭のステージや展示こそが明確な目標になっているものも少なくありません。
そんな中、本講座はABDそのものが目的の講座です。
基本的には、何を展示するも自由。
だから展示準備回である第7回は、みんなの創意工夫に任せて展示を作ってもらいました。
その上で、目指して欲しいこととして2つの点を挙げました。
すなわち「ABD講座がどんな講座か、来た人にわかるようにすること」と、
「この講座で自分たちが何を学んだかを発表すること」です。
ABD講座は基本的に紙の成果物が大量に発生するので、基本的にはそれをベースに、グループで模造紙を清書したり、リレー・プレゼンで使った用紙を壁面に展示したりしてもらいます。これは、例年通りです。
加えて、今年は塩尻市立図書館からお借りした本も展示できることになりました。なので、生徒と相談し、選んだ本のポップを書いてもらいました。
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また、一人の生徒から「展示の際に動画を再生してはどうか」という提案があり、前回のABDでは携帯するクロームブックで急遽動画を回しました。
提案した生徒は、教室の片隅でもくもくと動画編集をしてくれました。
そして、自分のチームの清書が早々に終わってしまい、時間を持て余している数名に、”動画再生中の札”も作ってもらいました。
これは、様子を見ていた先生の提案です。
あとで聞くと、「そういうのが得意な子たちなんですよ」とのこと。
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文化祭のようす
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そして迎えた文化祭では、いつの間にか展示導線まで考えられ、正直、ここ数年で一番気合が入った展示になったと思います。
「ABDがどんな講座か」は、ABDで書いたリレープレゼン用の用紙や、動画の発表ぶりから、例年よりも何をしたのかをイメージしやすくなったのではないでしょうか。
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また「何を学んだか」に対する展示は、模造紙や本の展示からみて取れます。
今年は読解力もダイアローグも得意な生徒たちでしたので、本の内容を自分なりに理解し、それを元に自分の意見を話すダイアローグは、両チームともに盛り上がっていました。
その成果である模造紙は、みた人にとっても本から学んだことがとてもわかりやすくなっています。
また、自分が選んだ本とその理由を書いたPOPも、各自の個性を表現する手段になりました。
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この講座では展示を目指さないとは思っていたものの、結果としてこれまでの授業の成果がたくさん詰まった展示になりました。
どこが成長した?自己評価
第7回(展示準備の回)の終わりに、こんなアンケートをとりました。
「授業での自分を振り返って、できた、成長したと思うポイントを3つ挙げてください。」
ちなみにこの「成長したポイント」は、私が1回のABDでこれだけたくさん能力を使うよなーと思ってリストアップしているものです。
ABDはほどんどの生徒たちにとって初めての経験です。1回の授業では初めてのことだらけで必死で、一体何をしているのか?はよくわからないかもしれません。
なので、一旦落ち着いて全体を振り返り、自分が何を学んだかを私が細分化して提示する機会を設けます。
生徒にとっては自分が何を学んだか、何を頑張ったかを言語化するヒントになるかと思い、毎年最後こうした質問を投げかけています。
さて、今年の結果がこちら。
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まず私のミスなのですが、Google Formで上限が設定できず「とりあえず3つ」としたら、それ以上挙げていた生徒が。しかも一人ではなく複数人(笑)
ただ、それは自信がついたものが多い証拠でもあるので、まぁいいか。
最初から「できたもの全部」にすればよかったなと後悔しました。
改めてデータに目を戻すと、コ・サマライズ、リレープレゼン、ダイアローグというABDのプロセスを授業で何回も行ったことで、ABD必須能力とも言える①〜④は多くの生徒が成長を自覚していました。
しかし、今年はそれだけに集中していません。
「⑰知らない人と対話する勇気」「⑧他人に説明する力」「⑬対話スキル」と、他の人と協力することに達成感を感じた人が多くいました。
もともと対話スキルが初回から高い彼らにとっては、得意なことをさらに伸ばす機会になったようです。
実際、同じアンケートで生徒からはこんなコメントがありました。
・要約力が上がったような気がする。みんなで意見を出し合ったり、でた意見をまとめたりできた。
・人前での発表が得意ではなかったが、授業を通して少しだけ人前での発表が楽になった
・分厚くて字が多くて細かい本は難しそうな印象だったけれど、読んでみると中身がとても面白い本がたくさんあった。今後は勉強のコツの本などを読んでみたいと思った。
・誰かに伝わりやすいようにプレゼンテーションを工夫したりファシリテーターとして周りに気を使いながら様々のことを勧めていくことは難しかったけれども同時に楽しくもありました。
やってみたらできた、苦手だったけど少しマシになった、など、どれも大きな学びです。
それぞれ、こちらの想定よりも言葉を尽くして書いてくれています。
講師にとっては生徒が何に自信がついたのかを知る機会になるので、講座にはこうしたアンケートはとてもおすすめです。
第8回:生徒の最終まとめ
また第8回、講座の閉校式では、学校所定のフォーマットで自己評価を行なっています。
その結果をグラフにしてみました。
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4つの質問に共通して、「できなかった」の回答は0名でした。
また、4つの質問の中で「同じ講座の友達と協力して活動できたか」は、「とてもよくできた」が一番が多く、唯一「あまりできなかった」がある項目です。ここについては協力がさかんな一方、他人と比較して自分は・・・と思う瞬間があったかもしれません。
しかし、私の意識も講座を始めた4年前と少し変わってきました。
以前は「できた!」という自覚がほとんどを占めていることがいいのかな、と思っていました。
しかし今は、現時点でできないと感じることには、何の問題も感じていません。
講座では「自分の学んだことを自覚する」が目的なので、「現時点で達成すること」には重きを置いていないのです。
繰り返しになりますが、ABD講座で行うことは、ほとんど初めてやる人が多いです。
20分間で本を読むことも、紙2枚に要約することも、1分の間プレゼンも、異学年と話すことも、通常授業ではそれほどないはず。
ほとんどが初めての中「やってみたら楽しかったこと」もあるけど、
逆に「やってみてもやっぱり苦手」なこともあったかもしれません。
ただ、苦手があったとしても、途中で大きく脱落せずに、
講座を最後まで完走したことが、とても意味のあることだと思っています。
たとえ苦手なことがあっても、
自分のかかわりしろ(興味のある範囲とか、できる範囲)を見つけて、
その範囲で協力して、みんなで一つの講座を作り上げた経験があるということは、人生でも大事なことだと思うからです。
そして、展示準備の風景や文化祭当日の様子を見ていて、
それは全員できたなぁ、と感じています。
だれしも、苦手なことを持っています。
「苦手があるからやらない」「やったことないからうまくできない、だからやらない」といつも逃げていては、何も学べないし、生きづらくなってしまう。
だからこそ、こうした機会に「何を学んだか」を自分で実感して、
それを忘れずにいてほしいというのが、私の願いです。
追伸:まとめをまとめたい!
今年はABD授業も4年目になりました。
毎年同じことも、違うこともあるので、まとめをまとめたい!
取り急ぎ、4年間の振り返り結果を次回の記事にしたいと思います。
できればほかの方と語る機会も欲しいのですが、それはおいおい企画していきます!