煮物と合気道
美しくない写真ですが、なすびの煮びたしの冷たいヤツです。
料理して出来立てが美味いモノと時間を置いた方が美味いモノがありますよね。
これは冷蔵庫で冷やしておきました。
肉じゃがは鍋に一晩置いて温め直しました。
年齢を考え、塩分控えめな料理を最近作っています。
味を染み込ませるのにはやはり時間が必要です。
素材の味を引き出してくれる塩加減は難しいですが時間がなんとかしてくれたりします。
モノゴトを考えるのと一緒ですね。
ひとつのことを一気に考えて詰めてしまうより、複数の案件を一度に抱えて期限ギリギリまで置いておいたほうがいい考えにたどり着いたりします。
少しの熟成期間を置き、いろんな方向から見て、たえず考えるやり方が私には合っているようです。
合気道にも似たようなところがあると思っています。
昨日は仕事を終え、道着だけ取りに帰って稽古に向かいました。
こんな時期にどうしても始めてみたいと言って中年の女性がジャージ姿で来てくれていました。
私とほぼ同年齢の方です。若者と同じような稽古をしてもらうわけにはいきません。まずは基礎体力作りからでしょう。そしてご自身の残りの運動可能な年数を考えてあげなければなりません。
いつもそんな方には考えることから入ってもらいます。
基本動作の意味、体の部位の動き、骨格などの話をしながら『だから、こうなる』と技の仕組みを伝えます。
それを理解してもらい、納得してもらって、『じゃあ、やってみます』となって、それから受け身の稽古です。
受け身の必要性がわからぬままに、やみ雲に受け身の稽古ばかりしても面白くはなく、続く稽古も続きません。
まずは漠然とでもそんなことか、と理解してもらい、しばらくは多くの時間を面白くない基本動作の反復練習に当ててもらいます。
ここでの考えが料理の『置く』時間と似ているように思います。
いつの日にか自ずと体が動くようになった日に一つ一つの動きの意味が腑に落ちることと思います。
そこまでの指導が私の責務だと思っています。