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期待のエース

日曜日の昨日、仕事を終えて合気道の稽古に向かった。
子どもたちの昇級審査と大人の昇級審査だった。
大人のお一人は70才で稽古を始め、今年75歳の後期高齢者の男性である。
事情で途中一年間近く休まれていたが今回やっと一級の審査を無事終えることが出来た。

突出した運動歴をお持ちの方ではない。
一念発起して五年前にいらっしゃった時に、阿倍野区のスポーツセンターでトレーニングはされているとは聞いており、多少の年齢以上の基礎体力はお持ちの方ではあった。
まずは受け身を取れるようになるかが心配であったが、時間はかかったものの前受け身も後ろ受け身も取れるようになった。
一回り以上年下の私はたまたま合気道のベテランかも知れない、でもその方は人生の大先輩である。
それなりの礼は尽くして厳しいことを言っている。
長く生きてきた人生を鼻にかけることなく私の指導に従ってくれる。
このことが、その方の優れたところなのである。

技や、合気道の動きの理屈は理解できたとしても出来るかどうかは本人の向き不向き、稽古量に比例してくる。
どうも、ご自宅でも一人で動きを練習しているようであった。

若い時期に始めて時間があったから、私は40年間の稽古を積むことが出来た。
しかし70歳でスタートした先輩に同じことをやってもらおうなんて、私の頭には毛頭も無い。
40年間で分かったことすべてを凝縮して道場で話している。
それを理解して、出来るようになるか否かは、本人の努力次第なのである。

世にいる指導者の中にはすべてを言わない方もいると思う。
商売と考えるならばそれも否定はしない。
『盗め!』と言われた我々世代の鍛えられ方も間違いではないと思う。
しかし、時代は違い、ケースで考えるべきであろう。
この先輩方が年齢なりの合気道をやり、日々の稽古に遣り甲斐や生き甲斐を見出し、健康をつかんでくれたら最高のことだと思う。

この方が、我が道場の期待のエースだと思っている。
もうあと一年近く頑張って稽古してもらい、晴れて初段、黒帯を締めてもらいたい。
あとを追って私は稽古していくつもりである。


余談になるが、銀座の宝石箱であるA.C.T.Y plains GINZAさんの note では、時々もとサラリーマンだったという宝飾品細工職人の田村師匠の動画を無料で公開している。
いつも見て、『同じ考え』なんだろなと思っていた。
我が同志だと思っていた。
その技術は私たちの合気道以上に売り物のはずだろうから。
見ただけで自分のものになど出来るはずないであろうから。
商売の元をフリーで世界に向けて公開されているこのアクティさんの考え方には共感を覚えつつ頭が下がるばかりである。


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