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ノベルマガジンロクジゲン

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むつぎはじめの書いた小説が読めるマガジン。 メインはSFというかファンタジー。
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2019年9月の記事一覧

AA! アイドル スターバスター・セラの追憶 後編

承前 『AA(アーマー・アラウンド)出演開始。第二演者、スターバスター・セラ』 「私、大! 見! 参!」 「「ウオワァァァァァ!!」」 スターティングポイントから射出された私は一直線に今日の悪魔……ミノタウロスさんへと向かい、弾丸装甲(バレットシェル)を脱ぎ捨てながら大名乗りを上げた。 射出の勢いで頭から血が適度に足下へと移動し、すごく……頭がスッキリする。 「さあさあさあさあ! 私が来たからには貴方なんかまっ二つよ!」 その結果、私はいつもこんな感じで頭より先に口が動くよ

AA! アイドル スターバスター・セラの追憶 前編

『緊急警報発令。緊急警報発令。 E粒子反応増大。悪魔の出現が予想されます。誘致開始。住民は直ちに建物に避難し、観覧の準備を開始してください』 街頭スピーカーが短いサイレンと共に大音声を発し、住民達は至近のビルへと急ぐ。避難を確認された街路は沈降しカバーシャッターを閉鎖。指定された駐車場所に停めていなかったマナー違反車両はバランスを崩し傾ぎ、挟まれ前後に両断された。 『システムイージス発動。これ以降ステージ内外の行き来は原則不可能になります』 そして、漆黒の粒子が虚空の一点に凝

AA! アイドル 悪魔狩アイドル☆リボルビング・マヤンの日常

これの書き直し読み切りです。 『緊急警報発令。緊急警報発令。 E粒子反応増大。悪魔の出現が予想されます。誘致開始。住民は直ちに建物に避難し、観覧の準備を開始してください』  街頭スピーカーが短いサイレンと共に大音声を発し、住民達は至近のビルへと急ぐ。避難を確認された街路は沈降しカバーシャッターを閉鎖。指定された駐車場所に停めていなかったマナー違反車両はバランスを崩し傾ぎ、挟まれ前後に両断された。 『システム・イージス発動。これ以降ステージ内外の行き来は原則不可能になりま

AA! アイドル【パイロットフィルム】

2019/9/24追記 掌編書き上げました。 「本日はご視聴と応援、ありがとうございました〜!」  巨大な悪魔の死体の前で、ひらひらと可憐な装甲のあしらわれたステージ衣装を纏った少女……リボルビング・マヤンがペコリと頭を下げる。すると、背後に浮いていた四門の自律砲撃ユニットも追随し、ペコリと頭を下げるように砲門を傾かせた。 「マヤンさん、これで本クール早速四体目。順位も一気に二位に上がったわけですが、不動の一位、”妖精”ことSHIERIさんを今期は抜けそうですか?」  フラ

商人と海。あと亀とエルフとレールガン #3

【1】 【2】 【3】 大砂海。大陸中央の大部分を占め東西を分断するその地は極めて細かい砂で構成され、迂闊に踏み込めばまともに歩けないばかりか最悪”溺れ”死にかねない。 その大砂海を往くため整備された街道は、間違いなく交易の要だが、唯一ではない。 「い、行くぞ行くぞ!」 「早くしてくださいよ旦那さん」 「う、うるさい。俺は泳げないんだよ」 「大丈夫ですよ。キャノンタートルは本体自体も浮くように出来てるんですから」 その例外が、航路と呼ばれる砂海を突っ切るコースだ。 今回の目

まいこ・ザ・ジャンパー 目次・あとがき

目次【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 あとがきお読みいただきありがとうございます。面白かったですか? ありがとうございます。照れるわね。 宇宙に行くぜ! という所で終わったので誰がなんと言おうとこれはスペオペです。いつか続くかもしれない。いや、続く。俺が続きを読みたいので。 【完全版へ】

まいこ・ザ・ジャンパー【完全版】

【この記事に含まれるコンテンツ】 完全版(全文) あとがき(共通) 解説及び制作メモ 個別版目次へ  新しく誕生したジャンパーチャイルドに伴って現れたアーキタイプにより、K県郊外の街が丸ごと呑み込まれた。との報に、起きたばかりの俺、風切順也は驚きを通り越して間抜けな顔をして対応していた。 「……で、被害は?」 『例によって、この規模でも人的被害はありませんでした。が、街が丸ごとですから、物的には、それは、もう……』  言いづらそうに、据え置き端末の画面の中で区切り区切り

¥200

まいこ・ザ・ジャンパー 6【終】

最初から 前回へ ややあって、正式な警察執行部隊の到着を待ち、一旦はその範囲で拘束したバカ共改めテロリストの身柄を確認するべく、覆面を引き剥がす。 そこにはトカゲ……のような、ではなく……そのものの顔が存在していた。 「……特殊メイクですかね」 「血の色まで置換する技術って、あります?」 「なにか採血か生体サンプルを取る手段を……」 目の前で黄緑色の液体が吹き出した様子を見ていない彼らはそう疑わざるを得ないのだろう。まさかという気持ちが慎重にさせ、そう言葉を言い交わす。

まいこ・ザ・ジャンパー 5

最初から 前回へ 咄嗟に横っ飛びし、玉座が収納された跡の台座の陰に隠れると、追いかけて銃撃が俺を襲う。 「くそがぁ! てめえだけでも!」 等と喚くが、だけもなにも俺を殺すのは憂さ晴らしにしかならんだろう。と言ったところでやめるとは思えないが。 「銃器使用を申請! 理由は正当防衛!」 『申請済みです。許可、出ました!』 マルシャに通信すると反射的な速度でそう返ってきた。優秀なエージェントは助かる! ZBAM!! ZBAM!! ZBAM!! そして、銃撃の切れ間を見計らって俺は