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まいこ・ザ・ジャンパー 5

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咄嗟に横っ飛びし、玉座が収納された跡の台座の陰に隠れると、追いかけて銃撃が俺を襲う。
「くそがぁ! てめえだけでも!」
等と喚くが、だけもなにも俺を殺すのは憂さ晴らしにしかならんだろう。と言ったところでやめるとは思えないが。
「銃器使用を申請! 理由は正当防衛!」
『申請済みです。許可、出ました!』
マルシャに通信すると反射的な速度でそう返ってきた。優秀なエージェントは助かる!
ZBAM!! ZBAM!! ZBAM!!
そして、銃撃の切れ間を見計らって俺は物陰から最低限身を乗り出し、バカどもへ向けて三回射撃する。
『許可内容を伝達。特例により殺傷を含めた全面許可です』
「よかった。既に殺す気で撃ってる」
『報告書ではボカしておきましょう』
ZBAM!! ZBAM!! ZBAM!!
先程焼き付けた位置関係をもとに再び三連射。そして、俺を仕留めるため回り込むように動き始めていた奴に狙いを定めて、最後の弾が銃口から吐き出され、幸運にもそいつの肩口を吹き飛ばす。
ぐあ、だの、ぎゃあ、だの、くぐもった叫びと供にそこから鮮やかな黄緑の液体が飛び散った。

「え?」
『加勢します!』
一瞬呆気にとられかけるが、その通信で再度俺は物陰に引っ込み、アーキタイプの骨組み沿いによじ登ってきたマルシャが入れ替わりに広間へダイレクトエントリーした。
「管理局、マルシャ・グレーンです。保護活動を開始します」
事務的な宣言と同時に仲間の負傷に反応していたバカ共の間に降り立ち、丁寧さを感じるほどの”脚”際の良さで各人の膝を蹴りぬきバランスを崩してゆく。要は高速の膝カックンだ。
そして黄緑血のバカをマルシャは組み伏せ小銃を手放させると、盾のように拘束してそのまま出入口側、すなわちバカどもを挟んで俺と反対側へと後退する。
「動くな」
挟まれた二人が体勢を取り戻したとき、マルシャの空いていた手にはいつの間にか俺と同型の制式拳銃が握られ、俺も台座の陰から二人をポインティングしていた。
バカどもの喉から漏れた唸り声が答えだった。

【続く】

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むつぎはじめ
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