甘い事件
事件が起きた。4月23日、午後4時半頃、現場は都内のマンション。
犯人は、タイのシンガーPhum Viphurit (プム・ヴィプリット)
20代女性(私)の心臓を その甘いマスクとエモい歌声と耳心地のいいメロディーで鷲掴みした疑いがある。
疑いどころか、もはやすでに事実となっている。
甘い事件だ。
この頃、「おうち時間」を利用して晩御飯やお菓子を作るのに夢中になっているどこにでもいそうな被害者は、その時もせっせと具材を切ったり混ぜたりしていた。被害者は料理中音楽を掛けないとソワソワし余計な事を考え始めるため、パソコンでYouTubeを開きその時の気分で曲をかける習性がある。
YouTubeに提案されたのは洋楽のミックスリストで、よく聴く曲と、初めて聞く曲が含まれていた。
被害者はBGMに耳を傾けながら暢気にも身体をゆらゆら揺らし具材を手に取り丸めていた。加害者であるPhum ViphuritのLover Boyが流れてきた時、頭の中に南国のビーチの風景が浮かんだのである。
なんだこの曲は。ピタヤやバナナ、ココナッツといった南国のありとあらゆる果物をミキサーにかけた後、波の音を上から振りかけ青く透けたビーチサイドのハンモックに乗りながらいただくような、comfortableでrelaxationが想像上にできあがっていた。
手をとめ、この曲と歌い手である彼を調べないと気が収まらなかった。
プム ヴィプリット、24歳、タイのバンコク出身。9歳の時ニュージーランドのハミルトンへ移住。ドラム、ギターを演奏し音楽に触れ、18歳の時タイへ戻り大学へ入学。YouTubeでオリジナルやカバーソングを投稿、その後Rats Recordsと契約。
私が聞いたLover Boyは最強にエモくてチルくて語彙を失うレベルに甘いのだけれど、この曲をきっかけにプムにハマり、虜になった人はおそらく世界中に億単位で存在すると思う。彼は2018年にワールドツアーを行っていて、すでにアジア各国、ヨーロッパ、アメリカでも歌っていた。わお。わおわお。
世界中にプムファンの同志がいるワクワクと、私のように生活のなんでもない時間にたまたま彼に出会って甘い事件が発生しているかも...と妄想し、画面越しにプムに出会えて浮き足立っている私であった。
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