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帰り道

※今までと少し毛色の違う話を考えてみました!見てくれると嬉しいです😊

高校生の幼馴染の男女が下校しながら話している
優香「はぁー」
裕太「どうしたの?」
優香「だって今日のリスニングのテスト全然できなかったからさ」
裕太「筆記の方は出来たんだ」
優香「聞く方が無理なら書く方も無理でしょ」
裕太「ですよねー」
優香「何それ!分かってて聞いたの?」
裕太「いつから一緒だと思ってんだよ」
優香「裕太がここに引っ越してだからー、、、」
裕太「10年です」
優香「10年かぁーー!早いねー」
裕太「早いねー。ていうか今回のリスニング、、ていうより英語のテスト難しかった?」
優香「それさ私以外に言わない方がいいよ。めちゃくちゃタチの悪い嫌味に聞こえるから」
裕太「そ、、そう?」
優香「そう!そりゃー成績ずっと1位のお前だからなぁ!!って思われるから」
裕太「気をつけます。。」
優香「英語何かなくなればいいのに」
裕太「英語の何がそんなに嫌なの?」
優香「全部!!海のseaと見るのseeとか、右のrightと明かりのlightが同じ発音だったり、文法日本と逆だし、もう挙げるだけキリないよ」
裕太「......」
優香「なにー?」
裕太「いや、日本語の方が実は難しいらしいよ」
優香「え?何で?」
裕太「いま優香が言った海のseaと見るのseeみたいな同音異義語で言ったら、日本語でも青い“うみ”と体にできる“うみ”とか、食べる時に使う“はし”と渡る“はし”だったり実は日本語の方が多いんだよ」
優香「ほう」

数メートル先の歩行者信号の青が点滅する

裕太「あと、一つの漢字で沢山の読み方があるのは凄い難しいって外国の人がテレビで言ってたよ」
優香「へー。じゃあウチらは難しい言語を扱ってるってわけだ」
裕太「そうだよ。だから英語頑張ろうよ」
優香「嫌だ!!」
裕太「えーー?!何でだよ」
優香「えへへ。まー追々。追々頑張るよ」

歩行者信号が赤になる。
横断歩道の手前で2人が歩くのを止める。

優香「あか」
裕太「え?」
優香「どっちの意味の“あか”だと思う?」
裕太「それは色の方の赤でしょ?」
優香「当たり!これはさすがに簡単すぎたか」
裕太「簡単だったね」
優香「出し合いっこしようよ!次、裕太」
裕太「え、俺?えっと、じゃー“はち”」
優香「うわ!ちょっと難しいかも!んーえっとねーぶんぶん言う方の蜂!」
裕太「残念!数字の8でしたー」
優香「うそー!絶対ぶんぶん言う方だったよ!審議だな、審議」
裕太「何で審議なんだよ。出題者俺なのに」
優香「審議だからもう一回出して!はい!」
裕太「え、えっと、じゃー、、、」

歩行者信号の赤信号のゲージが半分になる

裕太「..........(歩行者信号を見て)すき」
優香「え?」
裕太「(優香を見て)は、どっちの意味....でしょう...か」
優香「そこに逃げないでよ」
裕太「.........優香が、好き。」

歩行者信号が青に変わる

優香「(裕太を見て)私も裕太が好きだよ」
優香が裕太の手を握る
優香「ほら!青になったから行くよ!」
裕太「あ、、うん」
優香が裕太を引っ張りながら横断歩道を渡る

手を繋ぎながら歩く2人
しばらく歩いてから
優香「ふふふ」
裕太「な、、何?」
小林優香「だって今日何かいつもよりモゾモゾしてたのはそういう訳かぁーと思ったから」
裕太「え、モゾモゾしてた?」
小林優香「うん。してた!」
裕太「普通のつもりだったのに」
小林優香「ちょっとした変化ぐらい分かるよー。何年一緒だと思ってるのよ」

横断歩道を渡って数十メートル歩いたところの家(優香の家)の前で2人が止まる。

裕太「......俺の家で英語教えてあげるよ」
優香「そういう時は、素直に“もう少し一緒に居たい”って言うんだよ」
裕太「引かない?」
優香「引くわけないじゃん、ばか!」
裕太「ごめん」
優香「今度の宿題ね!」
優香が手を繋いだまま先に歩き出して
優香「ほら裕太ん家行くんでしょ!!」
裕太「(少し笑って)...うん」
2人が歩き出す

おわり


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