見出し画像

独裁者は国を豊かにしない。林立する高層建築、高速道路は豊かさの証ではない。


国が豊かになる二つの流れがある。一つは、人材を育て金融を充実させ産業を起こし、優れた製品を造り生産性を上げて、それらを輸出して外貨を稼ぐ事である。それにより第一次産業も力を得る。

二つ目は、一つ目の流れの中で豊かになって行く人々が、自由に活動し、様々な社会活動を通して、物質的にも精神的にも豊かになる事である。この二つの流れは同時進行して相互作用により、更に豊かさに向けての好循環が生まれる。独裁国家は、これらの一方、あるいは両方を作り出すことができない。

ロシアは天然資源もあるし、ソ連時代から引き継いだ高水準の科学技術もある。しかし、世界に通用する高度な民生品は殆ど無い。純粋なロシアの自動車工場は無い。あっても外国企業傘下にあるか、合弁会社である。ソ連時代にはあったが、西側の消費者が買いたいとは思わない車を造っていた。ウクライナ侵略後は、撤退した外国工場を流用して、車を造っている。

ロシアは天然資源が豊富な国だが、それから得られる利益は政府と癒着した財閥や一部の利益団体に搾取され、一般国民には平等には還元されていない。社会、産業、経済を向上させ、安定した社会を作るには、個人の権利や自由が保障されねばならない。そのためには三権分立による法治が欠かせない。

しかし、ロシアでは民主国家の振りをした、でたらめな法治が行われている。従って、縁故政治や財閥による癒着、マフィアの暗躍などが状態化してる。もし善良な起業家がこれら卑劣な勢力に権利を侵害されても、泣き寝入りするしかない。また、反体制と見なされた企業や個人は著しく弾圧される。これでは国は発展しない。

プーチンは、この様な状態を改善しようとはしない。何故なら、これはプーチンが、自分に都合良くなる様に作り出した社会だからである。個人の権利や自由、特に言論の自由が保障された社会は、プーチンを権力の座から引きずり下ろしてしまうからだ。独裁者が独裁者でいる為には、個人が力を発揮しない、ある程度貧しい状態が望ましのだ。従って、特定の集団だけが豊かになる独裁国家は常に貧国なのである。

余談
世界に広く通用するロシア製の民生品は無いが、軍需品はある。の有名な、カラシニコフ機関銃である。カラシニコフは設計者の名前である。テロリスト御用達の印象がある此の銃は、1億台以上生産され人類史上最も人を殺した兵器として、独裁者とテロリストから栄誉を与えられている。しかし、皮肉なことに、この銃は技術供与され多くの貧国が造っていて、最も多く製造している国は共産党中国である。Made in China カラシニコフ機関銃が、最も多くの人を殺している事になる。共産党中国は、さぞかし鼻が高いだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?