ひとり旅でしか得られないことがある|〈新潟・佐渡島編〉
ずいぶんと大切に温めすぎた思い出をここに記そうと思う。
2024年9月20日。
恋に焦がれた場所へ向かうため、わたしはカーフェリーの乗船口をくぐる。『恋焦がれた』とは決して大袈裟な表現ではない。だって毎日、通勤の電車でも仕事の休憩中も帰宅したあとも、四六時中頭から離れないほど楽しみにしていたんだもん。
佐渡島に行くことになったきっかけは、ひょんなことから。遡ること、3ヶ月前。コーヒー好きな私は、趣味のひとつでもあるラテアートの大会が開催される新潟県に来ていた。
初めての新潟県。(新潟県ってお米がおいしいところだよね…)くらいしか前知識がない私は、これを機に新潟県を知りたくなった。もちろん旅の大本命は大会なのだけど、なんたって初めて訪れる未知の場所。新潟県ってどんなところで、そこで暮らす人たちってどんな人なんだろう。特産品や景色も堪能したいなんて、得意な妄想を繰り広げながら調べる中で、1枚の絶景に手が止まった。
新潟県・佐渡島にある『万畳敷(マンジョウジキ)』。まるでボリビアにあるウユニ塩湖のようと書かれていた。
あれは確か数年前。大学生だった私は、図書館で惹きつけられるように手に取った本でウユニ塩湖を知った。それからというもの、ウユニ塩湖に密かに憧れを抱いている。
ピンとくるってきっとこのことだと、勢いに任せて新潟県から佐渡島まで渡るカーフェリーやホテルを躊躇なく予約した。自分で言うのもなんだけど、なかなかの行動力だったに違いない。
1日目は、なんとか小雨でもってくれて良かった。ノスタルジックな空気もサイクリングも全部最高だった。おかげで、前日のラテアート大会で一回戦敗退した私のメンタルをなんとか保てたんだと言っても過言じゃない。
小雨が降ったあとの地面や空気の湿気も、私のメンタルも、みるみると潤って心晴れてく。自然の力は偉大だ。ここに来て良かった。
ちなみに、佐渡島に行く決め手になった万畳敷は見れずに終わった。と言うのも2日目は豪雨で観光どころじゃなかったから、リベンジ決定だな。
今回の旅。新潟県1日目は行きの飛行機に乗れなかったし、2日目の大会では一回戦敗退、佐渡島で1番行きたかった万畳敷は見れなかった。落ち込むには十分だけど、それでも来てよかったと思った。この経験のおかげで、ちょっぴり逞しく、勇敢な私になれたから。
若い時は今よりも経験が浅かったから、まずは行動してみて、その経験から学ぼうとしていた。だけど、歳を重ねてくほど、行動する前に行動しないを選択することが増えていった。
ひとり旅でしか得られないことがある。今回の失敗だらけの旅で得た経験。調べただけで、わかった気になっていた自分を恥じる。そして認める。
知識を得た上で行動して失敗成功を積み重ねる。そうすることで、ようやく私は変わっていく。これからも、ひとり旅を通して自分を少しずつ良くして生きたい。