ふしぎな言葉:九分九厘
会社の後輩と飲んでいたときだっただろうか、誰かと会話をしていたときに
「それ九分九厘〇〇ですね」
と言われたことがある。
そのときの話の内容は覚えていないが、話の流れからそのときの「九分九厘」という言葉は「ほとんど」のような意味で使わていることは鮮明に覚えている。
慣用句としての「九分九厘」という言葉を知らなかった僕は、
「九分九厘って9.9%ってことだよ。10%以下じゃんw」
と、歩合の単位(「割」を10、「歩」を1、「厘」を0.1としたヤツ。野球の打率表現でよく見る。)の意味でとらえて回答していた。
後日、何かの本を読んでいると、飲みのときに言われたものと同様の「ほとんど」の意味で「九分九厘」という言葉が使われていた。
ここでも僕はもう一度、
「九分九厘って9.9%ってことだから全然じゃんw」
と全く同じことを思ったのだけど、同時にあの時の会話が脳裏によぎって混乱したのだ。
「あれ?九分九厘って、「ほとんど」という意味になる正しい日本語…?」
「でも分は1%で厘は0.1%なのは間違いないぞ…?」
さっそくGoogle先生で検索した僕は、同じ疑問を持った人がいたらしいドンピシャなQ&Aサイトを見つける。
ありがたく先人の知恵を拝借しよう。
「分」は
歩合の単位としては、「割」の下で"1/100"の意味になりますが、
それとは別に"1/10" の意味もあるためです。
これは尺貫法が元になってます。
……?
なるほど、意味わからん。
どうやら「歩」には1%を指す場合と10%を指す場合があるというのだ。
上のリンクにも書かれているが、「五分五分」とか「腹八分目」とか、たしかに「分」で10%単位の割合を表している言葉がいくつかある。
語源が違うために同じ言葉でも意味が変わってくるような言葉は他にも探せばきっといくらでもあるだろう。
それは良いとしても、1%と10%、こんなにも近くて遠いダブりがあるだろうか。
つまり僕は(ある意味では正しかった、という負け惜しみを抱きつつ)、あのときの会話の流れでは間違った方の解釈をしていたのだ。
このことを思い返すたびに僕は、驚きと憤りと感動を混ぜたような、なんともいえない感情が生まれてくる。
調べることでとりあえず理論としては受け入れた(受け入れざるを得ない?)ものの、いまだにどこかで腑に落ちていないところがあって、自分の中では消化不良のままである。(ただ僕が無知だったと言えばそれまでだけど。)
消化不良を昇華させるため、こういう取り留めのない自分なりの発見をつらつらとストックしておき、いつか何かの役に立ててやろうと思っている。
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