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世界

前衛的な活路を歩く、戦士のようた眉毛の若者たち、太陽光にゆらぐアスファルトの狂気、肉厚な道路を隔てる分離帯、壊滅的な脳内を蠢くナノマシン、偶像崇拝を続ける主婦たちの戦争や、普遍性の白濁液に飲まれた労働者たち、空間的な猜疑心に苦しむ空虚な詩が降り注ぎ、犠牲的な正義が、体系的な伴侶を生み出し、熱暴走するジレンマや、息継ぎする思い出の過負荷、処刑場に運ばれて行く家畜たちの群れ、この宇宙を創った創造主からすれば、虫けら以下の私たちの処遇、迎合されるほどに生まれる差異や、私から解き放たれた途端に、しあわせになる彼女たち、あらゆる刺激を受け入れるための器としての十数年の孤独を越えて、そのひぐらしの優雅さや、定めもなく這い巡る余韻のスベスベとした肌触りや、絶えず生まれる胸騒ぎをかき消すための多面性や、可能世界と名付けられた猫の轍、過干渉を繰り返す時代的な壊疽、ガイダンスには従わずに、曖昧な亜空間に広がるエモーショナルや、感傷的な夜空が生み出す余罪を踏み台にして、悲観的な永劫を駆逐するための艦隊が迫り、聖骸布に包まれたロンギヌスの槍を探して、数十億光年の旅を終えた宇宙人たちや、避雷針にとまるカラスの予言や、競争を続けるだけの人類の倦怠感や、蠍が徘徊する前頭葉や、ケロイド化した情念、ネズミたちがいじける下水道、僥倖に敷衍するフレキシブルな感情、浄化されるために集う信者たちや、大陸埋め尽くす喪失感、ドラスティックな崖に立つ君の私怨のようなものの靄、来世では会えないから、現在でも離れてしまっただけの事、ただ、別れてしまったのだから、もう、死んだようなものであるし、物陰に迫る弛緩する世界の窮境を裁くケミカルな神のような者であり続けたいなら、この命を引き延ばして来ただけの事、無くしてばかりであるし、与えられてばかりでもあるし、あらがうほどに食い込む、ことごとくの痛みに反比例するだけの孤高。

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