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女性部下を怒らせた話②今回の教訓は…

こんにちは。キャリアコンサルタントの東公成です。

サラリーマン時代のチームリーダーになったばかりの頃を、思い出すことがよくあります。

私はとにかく仕事が好きで、同僚の目など気にせず個人プレーでガンガンやってきたら、実績を認められてリーダーになりました。

リーダーになると部下ができます。当然、最初は部下をどう管理したら良いかわかりません。
「ま、仕事は自分で覚えるもんだし、部下も好きなように仕事をしたらいいんじゃないかな?」くらいの認識しかありませんでした。

とはいえ、リーダー程度ではあっても部下ができれば管理することを要求されます。しかも、これまであまり一緒に仕事をしたことがなかった女性が部下になりました

デキるリーダーなら組織内人間関係の構築も含めてしっかりやるのでしょうけれど、新任管理職の私にはそれがうまくできませんでした。

一見、“男尊女卑”だった私のマネージメント

私の課には、男性の部下3人と女性の部下が1人いました。

男性の部下には割と好きなことが言えるのですが、女性部下のHさんにはどのように指示を出せばよいのか、そもそも取り扱い方自体がよくわかりませんでした。“取り扱う”という言い方も、考えれば失礼なわけですが。

「女性である」とういことを意識しなければよかったのでしょうが、当時はまだ若かったこともあり、彼女に男性としてどう見られているかをやっぱり意識したんですね。

だから、上司として普通に話ができない。

彼女から男性としてよく見られたいあまり、嫌われたくないあまり、どうもヘラヘラした態度をとってしまう。
嫌われたくないから、よかれと思って楽な仕事を与えてしまう。でも、楽な仕事なんてそんなにあるわけではありません。

結果的に彼女はいつもひまでした。
与えた仕事を手早く片付けると、他のチームの女性とヒソヒソと雑談をしたり、タバコを吸いに行ったり。それがHさんの日常になりました。

毎日、17時になると「お先に失礼します」と帰ってしまいます。

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実は、“男卑女卑”だった私のマネージメント

女性部下のHさんは定時で帰宅し、残された男性メンバーで夜遅くまで仕事をするのが常となった私のチーム。
あるとき男性部下の一人、K君が私のところにきます。

「ちょっといいですか?」

その声色にいつもと違う気配を感じて、私は警戒しました。表向きは平静を装って「なんか用かい?」ととぼけましたが。

「実は、チーム内の仕事の割り振りのことなんですけど」
「はい、それがどうかしたのかな?」
「いつも私たち男が夜遅くまで残業して、Hさんは5時に帰ってますよね。Hさんにもう少し仕事を割り振りしませんか?」
「そう? でもK君、残業代稼げていいじゃない(笑)」
「いえ、そういう話じゃないんです。次回のチーム内ミーティングで話しませんか?」
「……そうだね」

内心「めんどうくさいことになった」と思いながらも、上司らしさを失わないように受け止めました。

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そして、次回のミーティング。
会社の動きなど、当たり障りのない議題を話して終わろうとすると、K君がちょっと怒って声を上げました。

「東さん、チーム内の業務の割り振りの話はしないんですか!?」
「あぁ、そうだった。忘れるところだった」

内心動揺しつつも、とぼけた振りをしてこう続けます。「実は、最近うちのチーム内の業務量を見ていて、偏りがあると感じています」

シーンと静まり返る会議室。

その張り詰めた空気から逃れるために、私は冗談めかしてこんなひと言を放ってしまいました。

「Hさんは、いっつも定時で帰るしな。ははは」

するとHさんが、怒った声で反論しました。

「定時で帰りたくて帰っているわけではありません。いつも他の人に悪いと思いながら帰ってるんですよ。そんな風に言うのなら仕事をください!」

上司の威厳を傷つけられたようなつまらないエゴが働き、私も怒った声で言い返しました。

「仕事はいくらでもある!」
「じゃぁ、くださいよ!!」

言い合いのようになったところで、K君が割って入りました。

「まぁまぁ。じゃぁ、私たちで割り振り案を考えてみますけど、いいですか? それができたら、また会議で話し合いましょう」

「うん、お願いするよ……」

とってもかっこ悪い私。
いたたまれなくなって会議を閉会し、席に戻りました。

この経験は私にとって大変イタい出来事として記憶され、その後数年間、反省し反芻し教訓を得てきました。その教訓とは…。

【教訓】 部下はあなたを「男性」としてみていません

当時はインターネットというものがありませんでしたので、30代の男性向け雑誌などにあった「デキる上司」「モテる上司」に関する記事は、若手管理職にとって一種のバイブルでした。

そういった記事に私も感化されていたのでしょう。
「上司として部下に」ではなく、「男性として女性に」どう見られているかを強く意識していました。

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・女性とは楽しく会話をしたい。
・女性にはきつい仕事を与えてはいけない。
・女性は男性ほど遅くまで仕事をさせてはいけない。
・女性から嫌われたくない。好かれたい。

女性部下を意識しすぎて上手くいっていない男性管理職の皆さん、今回の教訓はもうこれにつきます。

◆女性はあなたのことを「男性」としてみていません。「上司」として(のみ)みています。
◆「上司」として振る舞い、「上司」の仕事をしましょう

ここを勘違いすると、私のようないたたまれない結末が待っていますよ…。

■ 文/東 公成(あずま・きみなり)
国家資格キャリアコンサルタント、DiSC認定トレーナー、プレゼンテーショントレーナー、女性の健康経営アドバイザー


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