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自分で見つけられる「乳がん」。早期発見のチャンスを逃さないために

女性が罹患するがんの第1位は「乳がん」です(2018年:国立がん研究センターがん情報サービス がん登録・統計)。

しかもその罹患確率は、2016年には11人に1人だったところ、最新のデータでは9人に1人と増加。乳がんが原因で亡くなっている人の数は、全国の交通事故死者の約2倍にもなっています。

年代別に見ると、発症のピークは40歳代後半と60歳代前半
とくに40代ですと、幼いお子さん、働き盛りの夫、老齢のご両親なども間接的に乳がんの犠牲となります
ご自身だけではなく周囲の人たちのためにも、早期発見、早期治療で、乳がんが人生に及ぼす影響を最小限にとどめたいものです。

まずは日々のチェックで少しでも早く気づけるように

乳がんには、乳房のしこりや痛み、乳首(乳腺)からの分泌液といった自覚症状が伴います。ときには、皮膚が赤紫色になったり、オレンジの皮のように盛り上がったりくぼみができたりすることもあります。

上記の症状がある人は、今すぐにでも乳がん検査を受けてください!

また乳がんは、自覚症状が伴ううえ、自分で見つけることができる数少ないがんのひとつです。
月経がある人なら月経終了後1週間程度を目安に、閉経した人なら毎月日を決めて定期的にチェックする習慣が持てるといいですね。

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▲各自治体のHPにもわかりやすくセルフチェックの方法が解説されています(イラストは西東京市のHPより抜粋)


これほどまでに罹患者の多い乳がんですが、日本では子宮頸がん同様、定期検診の受診率がかなり低い状態。2019年で47.4%と、ピンクリボンキャンペーンなどの盛り上がりがあっても半数に達していません厚生労働省 国民生活基礎調査)。

しかし、9人に1人という現在の発症率は、他人ごとにはできない高さではないでしょうか?

乳がん検診は、40歳以上の女性に対してクーポン券と検診手帳が配布されています。以降2年に1回の問診とマンモグラフィによる検診が推奨されていますので、機会を生かしてぜひ受診を習慣づけてくださいね。

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▲自治体から配布される「乳がん検診手帳」より一部抜粋。ためになる情報が満載なのでぜひ熟読してください。

マンモグラフィ・超音波 それぞれの検査の特徴

【マンモグラフィ検診】

乳房専用のレントゲン検査です。

胸を露出していただいたうえで、圧迫板という透明な2枚の板で乳房をはさみ、左右の乳房を別々にレントゲン撮影します。
ちょっと痛いですが(痛みが我慢できなければ、遠慮せずレントゲン技師の方に伝えてください)、圧迫板で乳房を薄くすることにより中が良く見えるようになりますし、レントゲンの被曝量も少なくてすむ検査方法です。

マンモグラフィー検診の結果、悪性の可能性がある場合は「異常あり、精密検査が必要です」というお知らせが届きます。

確率的には、1,000人の受診者のうちの50人から100人ほどが精密検査を行い、乳がんと診断されるのは3人程度です。
ですから、精密検査のお知らせが届いたからといって、がんの発症が確定したわけではありませんので、必要以上に心配することはありません。

【超音波検査】

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乳腺用の超音波診断装置で超音波を乳腺に当て、はね返ってくる反射波を画像化したデータを用いておこなう検査です。

産婦人科にある胎児を見る超音波診断装置と仕組みは同じなので、痛みはありません。上半身の衣類を脱いでベッドに寝ていただき、検査に必要な乳房以外はバスタオルを掛けます。乳房にゼリーを塗り超音波を出す機器(プローブ)を胸に当て検査します。

乳房超音波では、乳腺内の小さな腫瘤や乳管内の変化がわかります。

ちなみに、「マンモグラフィと超音波、どちらの検診が良いか?」という質問をよくいただきますが、40代未満の方は乳腺の密度が高いため、マンモグラフィと超音波の併用検診が推奨されています

【関連記事】
乳がん検診は設備を備えた人間ドッグ専門病院などでもおこなっていますが、産婦人科で受診する機会の方がずっと多いと思います。もし「婦人科を訪れることに抵抗がある」という方はこちら▼▼の記事もご覧ください。どのように診察がおこなわれるのか、イメージしやすいと思います。

病気を理由に送りたい人生をあきらめないために

定期検診の受診を習慣化して、がんにかからないこと、あるいは早期発見できる体制を作っておくことは、思い描いたキャリアプランやライフプランを実現する上でも重要です。

近頃は、晩産化の影響で、妊娠判明後に子宮頸がんや乳がんに罹患していることがわかるケースも増えています。
知識不足や情報不足、あるいは自己過信などによってがん検診を受診しないことが、妊孕性(にんようせい=妊娠できる力)温存の可能性を逃すことにつながったり、しかるべきタイミングで適切な治療が受けられないといった結果につながらないように、ぜひ日頃から健康知識を身につけるよう意識し、定期的にがん検診を受診していきましょう。

■ 文/西岡 笑子(にしおか・えみこ)
防衛医科大学校 医学教育部 看護学科母性看護学講座教授。順天堂大学医学部非常勤講師。順天堂大学医学部助教、神戸大学保健学研究科准教授を経て現職。母性看護学・助産学とウィメンズヘルスが専門分野。2児の母でもある。mezame女性研修の監修を行う。

(構成/阿部志穂)

編集部注)この記事は2020年12月28日に公開された記事『「子宮頸がん」「乳がん」を正しく知りましょう』に加筆訂正のうえ、テーマ別に分割し再掲載したものです。


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