男性にもある更年期。転機が多い時期のミッドライフクライシスにもご注意
男性も心身のバランスを崩しやすくなる中年期
こんにちは。
キャリアコンサルタントの東 公成です。
企業ではたらく男性のみなさんに、“mezame”を通じて女性の健康とキャリアについてお伝えする仕事をするなかで、女性の更年期について私自身も多く学んできました。
最近では、「男性の更年期」の存在にも注目が集まっていますね。
加齢による男性ホルモンの減少で、男性機能の低下、不眠、集中力や記憶力の低下のほか、無気力やうつ症状など、メンタルの不調も症状としてあらわれます。
そんな情報を集めるなかで、「自分に“男性更年期”はあっただろうか?」と振り返ると、思い当たる節がありました。
「ミッドライフクライシス」という言葉を聞いたことがある方はいらっしゃるでしょうか?
40代以降になると、男性にもさまざまな不調が起こることは、古くから経験的に語られてきたようです。実験によってその存在が実証されたのは、1978年のこと。
アメリカの心理学者ダニエル・レヴィンソンが、アメリカ人男性を対象にしたインタビュー調査を元に、『The Seasons of a Man’s Life』という著書を発表しました。
望んだポストが手に入らない…。ちょっとしたつまずきから長期の自信喪失へ
さて、私が経験したミッドライフクライシスはこのようなものでした。
40代前半、外資系企業のIT部門ではたらいていた私は、自分が就きたいポジションを手に入れ、欲しかった肩書きと給料と何よりもやりがいのある仕事ができ、我が世の春を謳歌していました。
アメリカ本社のIT部門のマネジャーとして、アジア太平洋地区のグループ会社40社に対するITアプリ展開・運用を各国にいる部下と共に担当。忙しくも充実感を持って国内外を飛び回っていました。
その仕事について5年ほど経ったころ、本社で大きな組織変更がありました。アジア、アメリカ、ヨーロッパを統合し、30人の大きなチームが誕生するというのです。
「その責任者は誰になるのか?」
私も含めたそれぞれの地域のリーダー3人が上席の面接を受けることになりました。
私は、心のどこかで「自分がそのチームのリーダーになってもおかしくない」と思っていましたが、実際には、ヨーロッパ地域を統括していたマネジャーがリーダーに就任。私はその方の部下になることになりました。
経験、実績、人望。どれをとってもその方がリーダーには適任だと思えましたが、私はそこから長いスランプへと突入してしまったのです。
新しく誕生した大きなチームには、私が好きな仕事も得意な仕事もなく、それまでやりたいようにできたこともできなくなってしまいました。
「こんなことで落ち込んではいけない。もっと気持ちを盛り立てて前向きに取り組まなければ」
けれど、思考と感情のズレは日を追うごとに大きくなり、頭でわかっていても動けない、前向きになろうとしてもネガティブな考えばかりがよぎる。「いっそ転職しようか」とも考えましたが、そんな勇気もなく、やはり動けない。そうこうするうちに、
「そもそも私は何ができるんだろう?」
「私のアイデンティティってなんだったのだろう?」
答えが出ない自問自答を繰り返しては、自信を喪失していく苦しい毎日が続きました。
新たな目標の誕生が症状の緩和に…
ある日、思い切って上司に話をすると、その上司は「それはミッドライフクライシスじゃないかな」と教えてくれました。
私の状況を理解した上司は、その日以来、私の話をよく聞いてくれるようになり、仕事上での辛い気持ちは幾分緩和されました。
しかし、その後2回の異動を経て仕事内容が大きく変わっても、喪失した自信は回復されることがないまま、私のミッドライフクライシスはしばらく悶々と続いていました。
突破口となったのは、友人からのひと言。
「東さんは、キャリアコンサルタントに向いていると思うよ」
そう強く勧められ、資格取得を決意し猛勉強。8ヵ月で晴れて資格を取得することができました。
それから2年後に退職をして起業。
やりがいを持って楽しく過ごしていたある日、自分を苦しめていたミッドライフクライシスから、いつの間にか脱出していることに気づきました。
その間、実に10年。
奇しくも、閉経を境にした前後5年と定義されている、「女性の更年期」と同じだけの長さでした。
医療機関を受診すれば苦しむ時間を短くできる
女性の更年期に比べて認知度が低かった「男性の更年期」。
近年、テレビや新聞などの報道やSNSによって、広く知られるようになりました。最近では、NHKがニュース番組で頻繁に取りあげていますね。
NHKが専門機関と共同で40・50代の男性1万8000人を対象におこなった調査では、更年期の症状を経験した男性は全体の約1割にのぼったそうです。
番組に登場した男性は、専門医を訪れた際、男性ホルモン=テストステロンの減少と診断。不足した男性ホルモンを投与され、現在はイライラや気分の落ち込みは改善したそうです。
専門医の診察を受けなかったため、私自身のミッドライフクライシスが男性の更年期症状だったのかどうかは、今となってはわかりません。
けれど、専門医に相談していたらもっと軽く済んだかもしれません。
10年もの長きにわたって気持ちの落ち込みを引きずらずに済んだかもしれませんし、そうなれば、もっとパフォーマンス高くはたらくことができ、もしかしたら会社勤めを辞めていなかったかもしれませんね。
いま、自分の症状に思い当たる点がある方、すでに気力の減退や自信喪失で苦しんでいる方は、ぜひ一度、専門医の診察を受けてみて下さい。
男性の場合、更年期相談に応じてくれるのは泌尿器科が一般的ですが、最近では、「メンズヘルス外来」「男性更年期外来」を設けるクリニックも増えているそうです。
加齢による変化は誰の心身にも起こりえること
男性にも更年期症状で苦しむことがあること、同じ時期にミッドライフクライシスを経験する人も多いことをお伝えしました。
更年期症状とミッドライフクライシスは、必ずしもイコールではありませんが、人生の後半戦に向かってさまざまな転機も多いこの時期、2つの症状は相互に影響し合って、どちらかがどちらかの発症の引き金になることも多いようです。
「更年期症状は女性だけに起こるもの」と思い込んでいると、自分の変化に気づかず、症状が悪化したり長引いたりしかねないので注意が必要です。
とくに、現在まさに男性更年期に該当する世代のみなさんは、「医者にかかったら負け」といった間違った意地の張り方をしてしまう人もいるのではないしょうか。
上昇志向を持つことや、評価のためにがむしゃらに頑張ること自体は否定しませんが、ポストや立場を意識しすぎると、10年前の私のように、周囲の人すべてがライバルに見えてしまうこともあるでしょう。そうした近視眼的なはたらきかたをしていると、望むキャリアが手に入れられなかったときに、スイッチがオンになってしまうかもしれません。
はたらきかたが多様化している現在、出世至上主義の垂直方向へのキャリア志向だけでなく、水平方向で幅を拡げるという考え方も出てきました。
最近では「シフトチェンジ」ともいうようですが、こうした生き方・はたらきかたは、勝ち負けにこだわらない分ストレスが少なく、気持ちのゆとりもうまれるため、「お互いさま」と配慮し合う職場環境にもつながりやすくなる。これは、私自身の経験からも実感していることです。
ライフステージが大きく変わり、誰の心身にも年を重ねたことによる変化が起こる中年期。
当事者も周囲の人たちもそのことを知り、当事者のみなさんはご自分の状況を受け入れて適切な対応が取れること、周囲の人たちは「いずれは自分も通る道」と理解することで、より自然に「お互いさま」の気持ちを持ってはたらくことができるようになるのではないかと思います。
“mezame”は健康とキャリアの両輪で
はたらく女性を支えるプログラムです
さんぎょうい株式会社が提供する“mezame”は、産業保健師と国家資格キャリアコンサルタントがタッグを組み、
*女性の健康知識とキャリアプランニングの基礎研修
*ライフステージ別・職級別のオーダーメイド研修
*従業員個別のキャリア面談によるモチベーションアップ
をおこなうキャリアサポートプログラムです。
女性特有の周期的なからだの変化、年代やライフステージごとに変わっていく役割、体調、かかりやすい病気…。
ウィメンズ・ヘルスをふまえて“はたらく”を考えれば、女性従業員のパフォーマンスは今以上に向上し、女性自身もなりたい自分、叶えたい人生に近づくことができます。
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