「コロナ太り」が気になるあなたに気をつけてほしい3つのこと
こんにちは。産業保健師の小林智美です。
年明けすぐの1月7日、11都府県に対する2度目の緊急事態宣言が発令されました。2月7日までの1ヵ月という予定が、医療体制の逼迫などを理由にさらに1ヵ月延長…。
ここへ来て、3月7日を待たずに解除される動きが出てきましたが、果たしてその後もどうなることか…。
さて、この緊急事態宣言の影響で、このコロナ禍で市民権を得たものといえば「在宅ワーク」「テレワーク」です。
多くの企業がテレワークを導入するようになって1年。
「移動時間がないので仕事に集中できる」「育児や介護と仕事の両立がしやすく助かる」といった、テレワークの良さを実感する声があがる一方、「コロナ鬱」「コロナ疲れ」といったネガティブな言葉も生まれました。
「コロナ太り」もそのひとつではないでしょうか?
女性の半数以上が「コロナ太り」を自覚
「実は私も…」と告白する人が続々と出てきそうですが、緊急事態宣言中、その後もテレワークへの切り替えなど「太った」「体重が増えた」と実感している人は少なくないと思います。
肩こりや腰痛をやわらげる温膏パッチ等の販売を行うグラフィコが、在宅ワークをしている20~59歳の女性400人に調査を行ったところ、
Q:あなたは在宅ワークをするようになって体重や体型にどのような変化がありましたか?
という質問に対する答えが以下のようになりました。
「とても太った」 ……10.0%
「少し太った」 ……45.8%
つまり、半数以上もの女性が体重増加や体型変化を実感し「太った」ことを自覚しているという結果です。
【出典】グラフィコ「在宅ワーク女子の実態調査」(2020年5月)
また、太った原因を見てみると以下のように。
1位:運動不足 ……85.7%
2位:間食が増えた ……65.9%
3位:食事が不規則 ……23.8%
みなさん、ステイホームで圧倒的な運動不足を自覚しているようですね。
【出典】同上
健診結果には巣ごもり生活の影響がはっきり
運動不足と食生活の乱れのダブルパンチ。これは少々マズい状態です。
昨年(2020年)4月に最初の緊急事態宣言が発令されたとき、実は私が懸念していたのは「今年の健康診断はどうなってしまうんだろう…」ということでした。
毎年多くの企業が行っている健康診断が、延期もしくは中止となることで、どの程度の影響が出てくるのか想像できなかったのです。最初の緊急事態宣言は、対象が全国だったので余計に不安でした。
そして緊急事態宣言が解除後、健康診断が徐々に再開されると、その結果には、巣ごもり生活の影響が予想以上にはっきりと見て取れたのです。
新潟県労働衛生医学協会さんがわかりやすくデータにまとめているので、こちらを引用しながら説明していきましょう。
◆記事中のデータ詳細はリンク先を参照してください
ああ、血圧が、γ-GTPが……😱
このデータでは、就寝直前2時間以内に夕食を取る人が減少し、睡眠時間が増えた人が増加するなど、健康にプラスになる変化が感じられる一方で、1日1時間以上運動する人の減少、毎日飲酒する人の増加も見て取れます。
結果として、「体重が増加した」と答えた人が男女ともに4〜5%の増加。それを裏付けるように、腹囲やBMIの値も増加し、とくに中性脂肪が高値を示しています。
【出典】新潟県労働衛生医学協会(2020年4〜7月期の健診受診者の数値を前年と比較)
細かく数値を見ていくと、まず私が気になったのは肝機能(γ-GTP、ALT、AST)でした。
問診結果でも「毎日飲酒する」と答えた人が増加。その飲酒量がどの程度なのかまではわかりませんが、運動不足+飲酒量増加=体重増加は、肝機能悪化の方程式。
気がつかないうちに、まさかの脂肪肝一歩手前まで来ている人もいらっしゃるかもしれません。
そして、ステイホームではっきりと数値が変わったのが血圧です。グラフを見ても、昨年の4月5月で急激にあがっているのがわかりますよね。
原因としては、食生活の乱れ(飲酒量増加、食べる量の増加、塩分の増加)も考えられますが、慣れない自粛生活のストレスが及ぼす影響も大きかったのではないかと思います。
テレワーク環境でも健康に働く秘訣1・2・3
そして、二度目の緊急事態宣言下の今、同じような血圧の変化、肝機能の悪化がみなさんのカラダの中で起こっている可能性は十分にあり得ます。
肝機能や血圧の変化が病気となってカラダに現れるまでには、少し時間がかかります。ですから、これまでの健康診断で異常がなかった方はとくに、「コロナで太っちゃった、エヘ」で済ませてしまいがち。
でも、テレワークを中心としたワークスタイルが、今後も続く職場は少なくないですよね。
そうなると、食生活が乱れたまま、運動不足が常態化したまま数年が経ち、気がつけば生活習慣病……となってしまう可能性も否定できません。
このあたりで生活を見直し、体重コントロールをする術を身につけていきましょう。
ということで、テレワーク環境下でも健康に働き続けるために、意識してほしいポイントを3つほど提案したいと思います。
ぜひ、取り入れてみてください。
1.運動することに前向きになる
「家から出るのが面倒くさい」と考えるのではなく、
「通勤時間がなくなった分、ウォーキングしよう!」
「作業効率を上げるために家の中をキレイにしよう!掃除でカロリーも消費できて一石二鳥!」
といった具合に、カラダを動かすことに前向きになれるようなマインドセットをしてみましょう。巣ごもり生活自体を楽しむ気持ちも生まれそうです。
【関連記事】
テレワークになって日中の活動量が少なくなり、良い睡眠が得られなくなったという方も増えています。
カラダを動かす習慣を持つことは、体重コントロールができるだけではなく睡眠の質も向上し、まさに一石二鳥なんですよ。
2.間食をおさえる
「家にいると、ついつい家にあるお菓子を食べてしまう」
「食べちゃダメと思うと、よけいに食べたくなる……」
わかりますよ、その気持ち。とってもよくわかります!
間食を我慢することが、さらにストレスになるという方もいらっしゃいますよね?
でも、やっぱり「以前より間食が増えている」と自覚しているのであれば、間食になってしまうお菓子の買いおきはしない、もしくは、1日に食べる量を決めて小分けにしてあらかじめ準備しておくなどすれば、間食をおさえるストレスを少しは軽減できるかもしれません。
3.お酒は工夫した飲み方で楽しむ
先ほどの新潟県労働衛生医学協会さんの調査では、「時々飲酒する人」が2%減り、逆に「毎日飲酒する人」が2%増えたとの結果がありました。
健診データでも肝機能の悪化が認められる中、ストレス解消になるから、楽しい時間だからと、制限なく毎日お酒を飲むことはおすすめできません。
間食と同様に、飲む量や時間、休肝日を決め、健康で楽しく飲めるカラダを維持することが大切です。カレンダーにシールをはるなどして、楽しく健康管理する工夫をしてみてくださいね。
自身の健康管理をすることは、働く上でもとても重要なことです。健康を損なうと、QOL(生活の質)も低下してしまいます。
「新しい生活様式」という言葉も頻繁に耳にするようになりましたが、これまでの生活の良いところはそのままに、工夫すべきところは工夫したり、新しく取り入れられるものは取り入れたりしながら、アフター・コロナも健康でいられる生活を確立していきましょう。
■ 文/小林智美(こばやし・ともみ)
産業保健師、メンタルケア心理士、アンガマネージメントコンサルタント叱り方トレーナー
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担当するのはmezame専任のキャリアコンサルタント。コロナ禍、テレワーク下での従業員のストレスにいち早く気づき、産業保健師との面談へとおつなぎするなど、産業医派遣のパイオニアであるさんぎょうい株式会社ならではのメリットもございます。
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