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とある医師のYouTube「不登校は無理やり学校に行かせれば解決」を受けて。

最近「無理やり学校へ行かせれば、適応できる子もいるのに」「親が、学校へ行かなくていいよ、と甘やかしているのでその機会が奪われている」との意見を見聞きします。

さてさて、このご意見はどのように考えていけば良いのでしょうか。

ことの発端は?

昔からこの議論はありますよね。
10年前もありました。
(進歩がないことに驚く…)
しかしながら今回は、結構大きなものになっているような気がしています。それを言ったのが有名医師だからですかね。

近年は医師もSNSで発信が可能になったので、いろいろな意見を世間に広めることができます。
それに賛成する方も出てきたり、不登校の親は心がざわついちゃいますよね。

「不登校が増えたのは、親が甘いから」

うーん、よくある意見の1つではありますね。
甘いからかぁ・・・はっはっは。
要は、親が簡単に「学校に行きたくないなら、行かなくていいよ♪」と子どもに言っている、ということなんですよね。
はっはっはっは。


そんなわけあるかいっ!!!!!!!


と思ってしまったのは、私だけではないはず。

もー、困ったねぇ。

要約すると「無理やり行かせれば適応できる子もいるのに、今は寄り添うことが主体になっている」「大人になって引きこもりになってしまう」とのこと。

さらには「本当は具合が悪くないのに、仮病を使う子どももいる」「いじめや脳機能に問題があるなら仕方がない」とのこと。
私はこちらにも違和感を感じました。
それを証明しなくては、学校を休むことを受け入れてもらえないんですよね。

困ったものですねぇ・・・・・

どうすれば不登校が増えないのか

増えないようにするには「無理やりにでも行かせること」らしいです。

おーーーーっと!!!!!!!!

これはある意味、経験のある親が多いのではないでしょうか。
かくいう私も、それはもう優しく優しく


「 行くよね!? 今日は行けるよね!? 」


という圧をかけ続けましたから。
優しくですよ、優しく。
めちゃくちゃ笑顔だったり、寄り添うかのように促したり。

で、行きませんでした。
行かなくなっちゃったんですよ、ホントに。
引きずって連れて行ったとしたら、おそらく暴力沙汰になったと思います。
縄をつけて連れて行けるものでもないんですよね。

影響されていく親たち

こういう持論を展開するのは、まぁ自由なのかな。
ですが私は、持論だとしても問題はあると思っているのです。
何が問題かというと、こういう意見に流されてしまう親が少なからずいるから。
親が影響されてこのような対応をしたら、子どもはさらに疲弊していきます。
それがもとで精神疾患になるリスクもあります。

とはいえ、親が影響されるのは仕方がないのです。

子どもに幸せになってほしいから。

まだまだ「学校へ復帰すること=幸せになれる」と思っている大人は沢山いるからです。

いろいろなことを試しては失敗し、心折れそうになっては立ち上がり、四苦八苦しながら登校してもらおうと頑張っている。
毎日毎日心をすり減らしながら、家族の幸せのために頑張っているんです。
藁にもすがりたい気持ちなんですよ、不登校の子を持つ親って。

なので「もっと力ずくで登校させたら、行けるようになるのかもしれない!もしかしたら…もしかしたら…」と思ってしまうことがあるのです。

「そもそも論」に立ち返ろう

私が「このままでいいのか」と不安になってしまった時に、必ず思い起こしていたことがあります。

それは

「 学校へ行くか行かないかは、子ども自身に決める権利がある 」

ということです。

神奈川県川崎市の「子どもの権利に関する条例」では以下のように明記されています。

(自分で決める権利)
第14条
子どもは,自分に関することを自分で決めることができる。
そのためには,主とし て次に掲げる権利が保障されなければならない。
(1)自分に関することを年齢と成熟に応じて決めること。
(2)自分に関することを決めるときに,適切な支援及び助言が受けられること。
(3)自分に関することを決めるために必要な情報が得られること。

引用:川崎市子どもの権利に関する条例

子どもが自分に関することを自分で決めるために、保障されなければならない権利を定めています。
不登校に直接言及した条例ではありませんが、子どもの居場所は子ども自身で選択できます。
自己決定を尊重しているのですよね。

また、15条には

(参加する権利)
第15条
子どもは,参加することができる。そのためには,主として次に掲げる権利が保障 されなければならない。
(1)自分を表現すること。
(2)自分の意見を表明し,その意見が尊重されること。
(3)仲間をつくり,仲間と集うこと。
(4)参加に際し,適切な支援が受けられること。

引用:川崎市子どもの権利に関する条例

となっています。

これらの権利をふまえると、不登校の子どもに対しては
「その意見や感情を尊重し、適切な支援や居場所を提供することで、子どもたちの最善の利益を確保すること」
を目指しているのです。

「学校へ行かないという権利」も、子どもは持っているということです。

私はこういうルールがあると「守ろ…」と思ってしまうタイプなので、とても気が楽になると同時に、決意新たに!ともなりました。

義務教育の本質

今回のYouTubeでは「義務教育中なのだから、親は子どもに教育を受けさせる義務がある」という内容がありました。
こちらの持論としては、つまり学校教育ですよね。

それは違ーーーーーーーーーーーう!!!!!!

この場合の義務というのは、学校に通わせる義務ではなく「子どもが適切な教育を受けられるようにする義務」ですよね。
もっと言えば「子どもが勉強したいと言ったときには、親はそれを妨げてはいけない」ということです。
嫌がる子どもに勉強や登校を強要しなければならない、ということではありません。
この「義務」を誤解している大人は、世の中でも結構多いと感じています。

そして、家庭教育やフリースクールなどの学びの場を確保することも、義務教育の範囲内ではないでしょうか。

「甘やかし」か「支えか」

このYouTubeを観て「 持論は心のうちに秘めておいた方が良いこともある 」と、正直感じました。

そして不登校の原因を単純化してしまうと、問題の本質が見えづらくなってしまうなと。
不登校が増加している理由は家庭の問題だけではなく、社会的背景も大きく関係していると考えています。
それに「不登校の原因は、コレッッッ!!!!」と特定するのは、なかなか出来ないですよ。

動画内では「子どもは学校へ行きたくないから嘘つく」とありましたが、嘘ではなく「本当のことを言えない」「言語化できない」という言い換えをしてみたらどうでしょうか。
「甘やかしている」のではなく「支えている」と考えてみたらどうでしょう。

そして、学校に適応すること自体がゴールではありません。
むしろ子どもが自分の人生を歩んでいけるよう、選び取る力を育んでいくことが大切ではないでしょうか。
そんな風に私は考えています。


最後までお読み下さって、ありがとうございました(●´ω`●)
「学校に無理やり行かせること」について、良かったらコメント下さると嬉しいです。
それではまた!


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