天使が死んだ夜
あの日、私は自ら天使を殺した。
あれは高校3年生の秋。
何もかもが嫌になった時期でした。
周りの女子高生がイヤに眩しくて、キラキラしていて、なぜ私はああなれないのか、踏み出すことができないのか、足並みを揃えることができないのか、そして、それが出来ないが故に母親を困らせているのではないか、悲しんでいるのではないか、申し訳なかった。
ただ、毎日布団の中で泣きながら母親に謝った。
夜だったし、迷惑だっただろう。
泣きながら普通になれなくてごめんなさいと、何回も何回も謝った。
きっと自分の娘がこうなっているのは、見ていて嫌だろう、でも普通に育たなかったのはもっと嫌だろう。
同じような服を着て、流行りのものを見て、聴いて、取り入れて、同じような人間が好きなんだろう。
でも、私はそうなれなかったから毎日謝った。懺悔した。腹を切る思いで切っていた。
ネットで知り合った人に教えてもらう。
駐輪場はドキドキした、通り行く人がみんな私を見てるんじゃないかと思った。
ネットの人は本当の私を知らない。
こんなに根暗なこと、明るくないこと、ネガティブなこと、知らないから明るく振る舞える。
ここで、もう一人の私が爆誕する。
でもそう上手くもいかない。
朝、親に叩き起されてバレる。
私はとっさに撮影のための小道具だと言う。
こういう時、映像系でよかったと感じる。
でもバレていただろうし、醜かったと思う。
次の日、私は天使を殺した。
そのため、私には悪魔しか残らなかった。
でも、案外殺してみると悪魔の方が空っぽだった。
軽い天使を殺したのに、その分の負担は重かった。
あの天使にもう一度会いたいし、憑依してもらいたい。
目をつぶると、耳に意識が集中される。
目と脳が直接繋がり、フラッシュバックが始まる。
寝そうになった瞬間、フラッシュバックの音がグン!と大きくなる。
天使はもう居ません。あの頃の私の中の天使はいません。ごめんなさい。
ごめんなひ
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