映画「ブルーピリオド」 感想!

金髪ピアスの不良っぽい高校生が美術の面白さに出会い、美大の最高峰の東京芸術大学を目指すマンガ、「ブルーピリオド」。
その実写映画版のレビューをする。ネタバレには気をつけていただければ。
なお、筆者はマンガは全15巻、アニメは第6話あたりまで観ている。
今回は原作ファンの視点から、レビューをしていく。


違和感のない実写化

今作の良いところは、実写化にもかかわらず、違和感がなく「ブルーピリオド」の実写の世界に入っていけることだ。
これは「ブルーピリオド」が現代日本を舞台にしていて、さらにファンタジー要素が一切なく、美術と向き合う学生が登場人物であるため、実写との相性が元々良いこともあるだろう。

キャラクターのキャスティングにも大きな違和感がない。
世田介くんはビジュアルも仕草も世田介くんすぎる!
佐伯先生はビジュアルは佐伯先生が出てきたというより、薬師丸ひろ子さんが出てきたという感じがしたが、佐伯先生の母性とやさしさが出ていた。
大葉先生は、大葉先生にしては笑顔が少ない感じはしたが、ビジュアルが大葉先生感がある。
ユカちゃんとか、やっくんママもハマっていると思う。


クールな八虎

マンガの実写化と言えど、別の作品なのだから、単なる原作の再現である必要もないだろう。
マンガの主人公の矢口八虎は笑顔で人を気遣った言葉をかけてくれる人だが、今作の八虎はあまり笑わず、口数も少ないクールな少年だ。
背が高く(原作だと173cmだが、眞栄田 郷敦さんはWikipediaによると180cm)、声が低く、口数が少ないので、少し怖くもある。
序盤では態度が悪い人に見えることも。
だがやっくんママのエピソードに現れているし、世田介くんに鉛筆を貸そうとしたり、原作と同じくやさしい。



2時間の壁

今作では115分で、原作6巻までのお話を描いている。観ている最中には約2時間もあるなら余裕があるのでは?と思ったが、そんなことは全然ない。
コミックス6冊を2時間の映画にする難しさを感じた。
だいたいのエピソードを網羅しているのは良い。
だが、年越しに世田介くんと初詣に行くお話などがないし、八虎が世田介くんをライバル視している描写が少なく、世田介くんの存在感が薄い。
世田介くんよりもむしろユカちゃんの存在感が濃い作品である。
八虎の中での世田介くんへの嫉妬、もやもやは原作ほど強くない。
何回か嫌なことを言われたが、それに対する気持ちも原作ほど強くないし、時々世田介くんに認められて大喜びするようなこともない。(認められるシーンは今作にもあれど、大きな喜びは伝わってこない。)
関わりが薄いので、良くも悪くも関係性が強くない。
それが「ありがとう、高橋くん」というセリフにあらわれている。


最後に

カラーでみんなの絵を見れたのは、映画の良いところである。
八虎の描いた絵がズラーッと登場するシーンは、この映画で一番の名シーンでは!

とにかく原作は構図の素晴らしさが凄いので、そこと比較してしまう。
重要なセリフを言うシーンでは、話者の顔をアップしたほうが良いんじゃないかとか。

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