女子御三家を徹底比較
中学受験を考えている女の子、そしてその親にとって一度は耳にしたことがあるかもしれない言葉が“女子御三家”です。実際に女子御三家を目指している人もいれば、何となく興味を持っている人もいることでしょう。また、「男子御三家(開成、麻布、武蔵)は知っているけど、女子御三家は良く分からない」という人もいるのではないでしょうか。 女子御三家は毎年東京大学をはじめとする国公立や私立難関大学に、たくさんの合格者を輩出することで有名な中高一貫の進学校です。今回は女子御三家を徹底比較し、それぞれの特徴や気になる進学実績などについて解説します。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、都内女子御三家とされる【桜蔭・女子学院・雙葉】について解説します。
女子御三家、【桜蔭・女子学院・雙葉】
一般的に女子御三家とは桜蔭中学校・高等学校と女子学院中学校・高等学校、そして雙葉中学校・高等学校の3つを指します。3校すべてが東京に存在していることから、東京の御三家や関東の御三家と呼ばれることも少なくありません。
それぞれの学校で教育方針や校風が大きく異なるものの、共通しているのが高い学力を持った生徒が集まっていることです。日本で最難関といわれている東京大学に、毎年数多くの合格者を輩出しています。将来高いキャリア形成を考えている小学生にとって、女子御三家は中学受験の選択肢の一つになるでしょう。
【関東】女子御三家について解説
それではさっそく女子御三家について徹底解説。それぞれの特徴や東京大学合格者数などを比較していきます。
桜蔭【学校の特色】
桜蔭は東京都文京区本郷一丁目にある、中高一貫教育を行っている学校です。高校からの入学者を募集していないため、中学受験に合格しなければ入学はできません。
礼法教育を重視しており、中学校1年生は週に1回礼法の授業があります。体幹を保つ姿勢や歩き方、食事の作法、そして訪問・来客接待の作法など、目に見えない美しい心を動作で表すことが目的です。
授業ではオリジナル教材を多数活用し、既存の学習項目にとらわれない高度な内容を学びます。大学受験を目標とした勉強ではなく、学問への興味・関心を養うことを目的とした教育を行っているのが特徴です。
英語の授業などは洋楽から言葉のリズムや実際に歌うことを通して、意味や文法理解、リスニング、スピーキングを学んだりもするそうです。
【概要】
<最寄駅>
最寄駅は都営三田線の水道橋駅です。駅から徒歩5分でアクセスできます。利便性の高いエリアに位置しているところも魅力かと思います。またJR総武線の水道橋駅、都営大江戸線と東京メトロ丸の内線の本郷三丁目駅、東京メトロ丸の内線・南北線の後楽園駅からも徒歩圏内です。
<創立年>
1924年に前身となる桜蔭女学校が創立されました。その後1924年に5年制桜蔭高等女学校を設立。1951年に学校法人桜蔭学園を設立し、現在にいたります。現校地には東京女子高等師範学校(現:お茶の水女子大学)桜蔭会(同窓会組織)の寄宿舎が建っていたところになります。
<建学の精神・校風>
建学の精神は「礼と学び」です。創立以来ずっと勉強だけなく、高等学校進学にふさわしい品性と学識を備えた人間形成・自立した女性の育成を目標としています。いつも熱心に勉強に励んでいる生徒が多く、読書や友人との議論、そして各種の実験といった生徒自身が学習を深めていく機会が多いことが特徴です。
偏差値
進学塾やインターネットサイトのデータによって差がありますが、だいたい70~77となっています。かなり高い偏差値で、女子中学校入試では間違いなくトップクラスです。桜蔭の進学実績、特に多くの人が気になると思われる東京大学への進学状況を紹介します。
【東大合格者数】
2020年の桜蔭高校卒業生のうち、85人が東京大学に合格をしました。過去4年間で最も多い合格者数です。直近の進学実績ではなんと東京大学の最難関理Ⅲへの進学では女子14名中7名が桜蔭であったそうです。
医学部進学も非常に多く、名実ともにまさに最強クラスの女子校ですね。
現役合格率
2020年に現役で東京大学に合格したのは71人。現役合格率は31%となっています。
女子学院女子御三家の2校目は女子学院です。
【学校の特色】
女子学院は東京都千代田区一番町にある、中高一貫教育を行っている学校です。高校からの入学者は募集していないため、中学入試に合格をしないと入学ができません。プロテスタントのミッションスクールで、他のハイレベル校の中では珍しく週5日制を導入しています。
学期は前期と後期の2学期制。6年間の一貫教育で、系統的な学習を行います。
また毎朝の礼拝、さらに全学年で聖書の時間を設けられるなど、キリスト教精神をベースとした教育がたくさん見受けられます。
英会話は中学1年生から少人数制で実施。ネイティブ講師による英語だけの授業で、将来にわたって使える実践的な会話力を身に付けられるでしょう。
【概要】
<最寄駅>
最寄駅は東京メトロ有楽町線の麴町駅です。駅から徒歩3分でアクセスできます。また東京メトロ半蔵門線の半蔵門駅、JR中央・総武線と都営新宿線、そして東京メトロ南北線の市ヶ谷駅などからも徒歩圏内です。
<創立年>
1870年に女子学院の前身となるA六番女学校が、築地居留地六番に創立されました。その後1874年にB六番女学校が、1876年に櫻井女学校が設立され、1890年に3校が統合をして現在の女子学院となったのです。
<建学の精神・校風>
キリスト教の精神を土台として豊かな人間性、そして高い理想を持って自立した女性の育成を目指しています。女子御三家の中では校風が自由なことで有名です。制服をはじめとする細かい規則がありません。校則にあたるものは校章バッジを身に付けることや指定の上履きを使用するなど、わずか4つだけです。
あらゆる側面において生徒の自主性が尊重され、明るい校風となっています。
偏差値
塾やインターネットサイトのデータによって差がありますが、おおむね70~76となっています。
【進学実績】
進学実績、特に東京大学合格者数と現役合格率を見ていきましょう。
東大合格者数
2020年の東京大学合格者数は、33名でした。他にも早稲田大学や慶応義塾大学などの難関大学に、多数の合格者を輩出しています。
現役合格率
2020年の東京大学への現役合格者数は26名。現役合格率は11.3%となっています。
女子御三家の最後は雙葉です。
【学校の特色】
雙葉は東京都千代田区六番町にある、中高一貫教育を提供している学校です。高校からの入学者は募集しておらず、中学入試に合格をしないと入学ができません。
カトリック系の学校となっているため週に1回、宗教の時間が設けられています。フランスにあるサンモール修道会の修道女によって設立された経緯から、現在でもフランス語教育を行っているのが特徴。中学3年生になるとフランス語を週1.5時間履修し、高校生以降は英語かフランス語のどちらかを第一外国語として学びます。先取り教育を行っており、中学3年生の2学期からは高校課程の学習項目が入ってきます。
【概要】
<最寄駅>
最寄駅はJR中央・総武線、東京メトロ丸の内線と南北線の四ツ谷駅です。駅から徒歩2分でアクセスできます。
<創立年>
1875年に築地語学校が創立され、現在の雙葉中学校・高等学校の前身となりました。1947年に雙葉中学校、1948年に雙葉高等学校が設立され、現在にいたります。
<建学の精神・校風>
カトリックの精神に基づいた、全人的教育が特徴です。「一人ひとりを大切にすること」を柱として生徒自身、家族、友人、そしてすべての人に対して尊重と思いやりの気持ちを持てるような教育を行っています。
お嬢様学校のイメージがありますが校則は想像しているほど厳しくはなく、温かみにあふれるアットホームな雰囲気です。
【進学実績】
雙葉への進学を考えている人にとって気になるのが、進学実績ではないでしょうか。特に東京大学への合格者数などは気になるところですよね。
東大合格者数
2020年の東京大学合格者数は、10人でした。東京大学以外にも一橋大学や筑波大学、早稲田大学などの難関校へも合格者を輩出しています。
現役合格率
2020年の東京大学への現役合格者数は7名です。現役合格率は4.14%となっています。
中学受験における新女子御三家の台頭
近年では東大合格者、医学部合格者を輩出する中高一貫女子校に変化が見られます。それが、女子の新御三家です。特に豊島岡、鴎友、吉祥女子の3校に注目していきたいです。
女子の新御三家(豊島岡、鴎友、吉祥女子)の各中学校をご紹介します。
※情報は2021年7月時点の情報となります。
豊島岡女子学園中学校
以下、豊島岡女子学園中学校についてです。
【概要】
[所在地]
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1-25-22
<最寄駅>
・JR「池袋駅」徒歩7分
・東京メトロ「池袋駅」徒歩7分
・西武線「池袋駅」徒歩7分
・東上線「池袋駅」徒歩7分
・東京メトロ有楽町線「東池袋駅」徒歩2分
女子新御三家の最初は「豊島岡女子学園中学校」です。
豊島岡は、第一志望校としてはもちろんですが、2月1日入試がないため、女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)をはじめとする超難関校の併願校としても、とても人気がある学校です。
なお、豊島岡は、新御三家の中では唯一、高校からの募集も行なっていますが、2022年度入試から、高校からの募集は停止されます。
また、
豊島岡は、女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)と同様に、女子の新御三家の中では唯一、東大受験指導専門塾で有名な「鉄緑会」の指定校となっており、毎年、東大をはじめとする超難関大学、難関大学への合格者を多く出しています。
<建学の精神・校風>
「勤勉努力」の大切さを経験するために
1948(昭和23)年に同校が池袋に移転し、校名を豊島岡女子学園に変えた際に、のちの校長二木友吉先生が古い卒業生の話をヒントに取り入れたことが始まり。無心になり、基礎の大切さを知り、教育方針のひとつ「勤勉努力」の大切さを生徒に経験してほしいと考えたものだという。
白布に赤糸で縫うスタイルは70年近くずっと変わらず、朝の5分間の運針は豊島岡女子学園生を育てるための貴重な時間として存在し続けており、豊島岡の一能となっている。生徒にも何か一能を見つけて伸ばして欲しいという「一能専念」という教育方針にもつながっているようです。
【運針とは?】
運針とは、表裏同じ針目に縫う手縫いの基本。和裁の基礎で、昔は自分で着る着物を自分で縫っていたので、まっすぐに綺麗な針目で縫っていくための基礎練習だった。
豊島岡女子学園の運針は、1メートルの白布に赤糸を使用。指ぬきを使った正しい針運びに始まり、綺麗な針目(理想は4ミリ~5ミリ)、全体の長さ、スピード、美しい姿勢や立ち居振る舞いなど総合的な完成度を目指す。基礎が大切なため、長さや縫い目に関係なく正しい手つきで縫えていない中学1年生は夏休み前に特訓を受けることも。上級生になるほど針目も整い、手元を見なくても縫えるようになる生徒が増える。
鴎友学園女子中学校
以下、鴎友学園女子中学校についてです。
【概要】
女子新御三家の次は「鴎友学園女子中学校」です。
鴎友の第1回入試における実質倍率は、ここ6年間では1.7倍から2.4倍となっており、第一志望校として人気が上がっています。
また、鴎友も同様に、毎年、東大をはじめとする超難関大学や難関大学への合格者を多く出しています。
鴎友への通学については、小田急線経堂駅より徒歩8分、東急世田谷線宮の坂駅より徒歩4分で、駅近の学校です。
吉祥女子中学校
[所在地]
〒156-8551 東京都世田谷区宮坂1-5-30
[最寄駅]
・小田急線経堂駅より徒歩8分
・東急世田谷線宮の坂駅より徒歩4分
【概要】
女子新御三家の最後は「吉祥女子中学校」です。
吉祥女子も、第一志望校としてはもちろん、女子御三家(桜蔭、女子学院、雙葉)をはじめとする超難関校の併願校としても、とても人気がある学校です。
特に、第3回入試の実質倍率は毎年、すごい倍率になっています。
吉祥女子も同様に東大をはじめとする超難関大学や難関大学への合格者を出しています。
吉祥女子への通学については、JR、地下鉄の西荻窪駅から徒歩8分で、それなりに駅近の学校です。
[所在地]
〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町4-12-20
[最寄駅]
・JR中央線、総武線、地下鉄東西線「西荻窪」駅から徒歩8分
女子御三家へ入学する意味
将来高いキャリア育成を目指しているお子様がいるご家庭にとって、女子御三家は非常に魅力的な学校であることに間違いはありません。しかしたとえば、無理をしてギリギリのラインで女子御三家に入学をするのと、1ランク下げた学校でゆとりを持ちながら勉強をするのとでは、どちらがお子様にとって良いのでしょうか。
結論から述べると、少しでも可能性を感じられるのであれば、御三家入学に向けて積極的にチャレンジしてみると良いでしょう。
もちろん入学直後は勉強で苦労をするかもしれません。しかし女子御三家に入学できたということは、さらに高い学力を身に付けられる可能性が十分にある証拠。いずれの学校も質の高い教育を行っているため、努力次第で将来の可能性が大きく広がるはずです。
ただし、お子様によっては授業に付いていけず、学習意欲を大きく落としてしまうことも考えられます。無理をして女子御三家に入学をしても、学習意欲の低下などが予想されるお子様である場合は、1ランク下げた学校への入学を検討しても良いですね。
まとめ
女子御三家とは桜蔭と女子学院、雙葉の3校を指します。いずれも東京にあり、他の地域にある女子御三家と区別するために、東京の御三家や関東の御三家と呼ばれることも少なくありません。東京大学への合格者数が多いだけでなく、自立した人間になるための教育が提供され、非常に魅力の高い学校です。
偏差値が高いことから中学受験対策を行っている塾利用の必要がありますが、合格をすればお子様の将来の可能性がさらに広がっていくことでしょう。
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