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Maitri マイトリとは自分との友情

Pema Chödrön(ペマ・チョドロン)という84歳のアメリカ人チベット仏教の尼僧がいる。離婚を数回経験したのちに出家したという波乱万丈な人生を歩んできた、アメリカ版寂聴さんのような方だ。彼女は、maitriという「慈」を意味する言葉について説明するとき、それは自分自身と偽りのない真っ直ぐな関係性を築くことだと言う。"Unconditional friendship with oneself"、つまり、無条件の友情を自分自身と築くことの大切さを説いている。

Pemaの本を読むまで、自分自身と友情を築くなんて考えたこともなかったので新鮮に感じられた。とても近しい人と死別して人生最大の喪失感と挫折感と孤独感に苛まれていた私にとって、自分自身と真っ直ぐな関係性、つまり友情を築くことは唯一の希望となった。どんな感情を日々味わおうとも、私は正直にそれを見つめて無条件にそばにいようと自分自身と約束した。毎日関係性を深め続けて14年が経った。この言葉と出会えて幸せだと思っている。

死別の悲嘆に一般論は当てはめられないと思う。それは第一人称でしか語ることはできない。でもそんな個人的なこと、SNSとかそういう場で公開するものでもないし、と思っていた。でも、14年が経った今、もしかすると私の経験も誰かの役に立つかも知れないし、人の役には立たなかったとしても、自分にとって書くという作業は役に立つかも知れないと思い立ったので、あまり深く考えずにやってみようと思った。SNSは苦手だけど、ブログならできるかも。悲嘆も気づいたらちょっと色あせて、喜びと混じり合って、素敵なニュアンスのある色になってきたし。振り返りながら何か新たな発見できたらいいな、とワクワクする気持ちも沸いてきた。

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