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#フレンチグルメ事情#2 海に程近いノルマンディーのミシュラン2つ星レストランにある詩的なコース料理

2025年の年越しは、ノルマンディー地方で過ごしました。長く塩漬けされていたこのブログも、しれーっと久しぶりの記事を書いていますか、すこしずつ更新していきたいです。

今回は、ノルマンディーで知人からオススメとして聞いたミシュラン2つ星のお店が調べてるうちにとても惹かれたので訪問。パリからは電車だと行きづらくレンタカーで行くのがオススメです。

Le coquillage
https://www.maisons-de-bricourt.com/fr/page/le-coquillage

ホテルも併設しているシャトー型レストラン。
テーブル席からは、モン・サン・ミシェルを遠くに望む英仏海峡に繋がる湾が広がる

やや短めのコース料理でしたが、メニューを見ても詩的すぎて何の料理かわからないので説明を受けるフランス語を必死にまとめました。

アミューズブッシュ(Amuse-bouches)


お店に入ると、テーブルではなくアミューズブッシュを食べるウェイティングルームに通され、シャンパンとアミューズブッシュをいただく。

牡蠣に2ヶ月発酵させた唐辛子と野菜のソースが下に敷かれている
スモークされたヒメジ(Rouget)、煮付けとかでよくみる高級魚だがスモークされ、アニスの香りがするスパイスで味付けされている
ビーツ(Betterave)に生姜とマンダリンの葉を使ったビネガーに浸されている


クミンを使った日本カレー(curry japonaise)のせんべい。

コース料理



Eau de Vie
命の水、が直訳だがフランスでは蒸留酒の意味で使わているよう。ただしこの命の水は、アルコールなし。昆布だしとジャスミンが凝縮された感じ。


Pomme d'ici, mers du Sud
りんごの蓋をあけると、ホタテのヴィネグレットとミント。mers du Sud (南太平洋)と呼ぶだけに、上には南アフリカ原産のオキザリスの花が乗っている。
Chemin des douaniers
国境に面したフランスの海岸沿いを表す表現。ノルマンディーの海岸線に横たわるGR34が有名なChemin des douaniers。
私の中で一番美味しかった一品。三層にまたがっており、タラバガニ(araignée de mer)、ボラのカラスミ(poutarde)、シードルのビネガーなどが使われている。一層目はフェンネルやビネガーでさっぱりしているが、奥までスプーンをよこすにつれて、卵黄が現れて段々とカニの味が濃くなっていく
Trésor oublié
隠された財宝の意。ロブスターのタルトに香草が散りばめられ、その上にイクラを燻製し、ジロール茸とじゃがいもとあわせてピュレにして覆う。このピュレがとても美味しく、中から海藻を感じるソースがでてくる。
Regarde le soleil
太陽を見て、の意。地元特産品の牡蠣と軽くバーナーで炙ったクレモンティーヌをあわせている。カスタードクリーム(Crème anglaise)とニンニク、生姜が使われているソースを混ぜて。
Abysse
深海の意。コイ系の白身魚(Barbeau)を薪火で焼く。キャプシーヌのjusをかけて仕上げる。中にはシャキッとしたカリフラワーの細切りが入っていて食感も楽しい。
Pin Maritime
海岸沿いにある松の意。クレープ生地とコーンに、松のムースと地産のキウイが入っている。コーン生地には藻が使われているかも(うまくフランス語聴き取れず)
Laminaria digitata
これの解説は以下引用。調べてみると化粧品メーカーが美容成分として使用している類の昆布の意のよう。
コンフィされて味が凝縮された昆布がバニラアイスの上にかかる。最初はデザートと見分けがつかない。下にある貝殻は、帆立の貝殻を1年間干したもの。削ってこびりついてる藻も食べられる。

「ラミナリアディギタータ」はフランスブルターニュ地方沿岸の岩に密集して育つ大きな褐藻(ブラウンアルゲ)で「コンブ」の一種です。海抜20m以下の比較的浅瀬に育ち、引き潮時によく見られます。何世紀もの間、日本では同種の褐藻が、「コンブ」として食用に、また儀式で神への進物に使われています。ミネラル、ビタミン、アミノ酸が豊富で化粧品の美容成分として活用されています。

https://www.clarins.jp/ingredients/ingredient-laminaria-extract.html
Brume claire
淡い霧の意。ぽんぽん菓子に近い食感のベルガモットとヨーグルトの風味豊かさが美味しい。液体窒素を用いられた分子調理がこれにも藻が使われているとの説明。
液体窒素といえばグランメゾン東京のgakuがやってた化学実験と揶揄されてたアレ。


Ile flottante / Terre en vue
浮島と見えた陸地カスタードクリームとメレンゲできるフレンチデザート定番の一つ。Terre en vueはは、地元で特産のシードルを温めてホット白ワインと香辛料を加えた飲み物。どうやらようやく陸地に帰ってきた!という表現のよう。一つ前の霧から、だんだんと陸地に近づき、陸に戻ってきた表現なのか。

感想

フランスの冬の風物詩である曇天のなかで詩的な表現とともに食べる料理は美味しいだけでなく、想像を巡らせるに十分な落ち着いた雰囲気で居心地がよかった。
こちらのシェフ(Hugo Roellinger)はエピスリーも出店しておりパリにも一軒ある。


今回は長くなりましたが、今年はもう少しテンポ良く更新していきたいです。

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