寒波に見舞われた夜。
寒さが厳しい本格的な冬に、とうとう突入した感がある。なんでも巷では、“今季最強の寒波が襲来”などと騒がれているらしい。
由利本荘市の片隅にあるここ限界集落は、一夜にして白銀世界へと早変わりした。朝起きて外に出てみると、あたり一面が真っ白に染め上げられていた。
吐く息は白く、指先がすぐにかじかんでくる。時間は午前5時ころ。分厚い雪雲に覆われた空の下で、近所の人々が雪寄せに精を出している。
みんな80の頃をとうに過ぎているのに、矍鑠(かくしゃく)としている。僕も彼らのように元気に年をとりたいものだ。
はるか遠くのほうでは、明るい光を放つ車がせっせと動いているようだ。おそらく除雪車だろう。除雪車が往来する姿は、北国の風物詩といえるのではないだろうか。
国道に降り積もった雪を除雪車が取り除いてくれないと、僕らはどうにもこうにもできないのだ。この限界集落から抜け出せなくなる。だから、ほんまに、僕らにとって除雪車はライフラインのひとつなんだな。
光を放ちながら黙々と働く除雪車に感謝。
僕は僕で、庭先の雪寄せに励まねば。
あ、そういや“雪寄せ(雪よせ)”って秋田弁なんだってね。
標準語だと“雪掻き(雪かき)”らしい。