いくつになってもかわらない。
早くも9月も最終日になりました。
一年で一番好きな9月。
他の月と同じくあっという間に過ぎていってしまいました。
6日が誕生日だったので、また一つ歳をとりました。
28歳です。
誕生日が素直に嬉しいのは20歳まで。
歳が増えていくはあんまり嬉しいものじゃない気もしてるけど。
なんとなく、28歳はわくわくというか、ポジティブな印象を持っています。なぜだろう。
フライングで、4月くらいから28の気分で過ごしていて、あんまり今月から!という気がしないです。
なんか、漠然といい年になりそうな気がしている。
と、油断していたら、
太宰治の『女生徒』という短編集のなかに、
「私なんて、もう、28歳のおばあちゃんなのよ」
と、嘆く女のセリフを見つけてしまい。
治ちゃん、今年28になる女にそれはないんじゃないの??
と一人突っ込んでしまいました。
おばさんとおりこして、おばあさんはパンチが強すぎる。
いや、ほんとに平成生まれでよかった。令和ばんざい。
この短編集、表紙のかわいさに惹かれて、今年の6月の梅雨時に買ったんです。時期的にもぴったりだった。
まさかこんなにかわいい表紙で出版されているなんて、書いたご本人様も、びっくりなのではないでしょうか。
ジャケ買い?です。
だけど、調子がのらなくて、いくつか短編を読んで放置。
読破していなかったんですよね~。
ようやく全部読み切れてよかったです。
この短編集の変わっているところは、全編主人公が女性であるというところですね。
太宰治作品は三冊目で、今まで『人間失格』と『斜陽』を読んだことがあります。前者はかなり感動したんだけど、後者はいまいち消化不良でした。
これもそうなるかな、と思ったけれど。
なんとか全部読むと、やっぱりすごい!!
ずばり、太宰治は女心がわかりすぎている…
というのが一番大きな感想です。
「わ、わかる…」がいっぱい。
そして初めて「女にモテる文豪」ということに深く納得したのでした。
というか、もはや女の子なのでは。
それくらい男性が書いているとは思えないところがあります。
女の子の気持ちがわからない、という男性はこれ読んだらいいんじゃないのか、と思ってネットのレビューを見に行ったら、みんな似たような感想が多くて笑った。
付き合っている人たちからネタを集めているのか、
自分の生来の気質なのか、着眼点のするどさか。
あるいはそのすべてか。
とっても、共感する部分がたくさんありました。
特に『きりぎりす』という短編小説の主人公の気持ちが、同じような体験はしたことないにせよ、わかりすぎて。
個人的にはお気に入りです。『貨幣』もすき。
表題作の『女性徒』も良かったです。
ところどころ今もぐさぐさ来るけれど、中学生くらいのころに読めていたら、もっと刺さったんじゃないかなという気がします。
自分から、本を読むということを取ってしまったら、この経験のない私は、泣きべそをかくことだろう。
それほど私は、本に書かれてあることに頼っている。一つの本を読んでは、パッとその本に夢中になり、信頼し、同化し、共鳴し、それに生活をくっつけてみるのだ。
人のものを盗んで来て自分のものにちゃんと作り直す才能は、そのずるさは、これは私の唯一の特技だ。
本当に、このずるさ、いんちきには厭になる。
ほんとうに私は、どれが本当の自分だかわからない。読む本がなくなって、真似するお手本がなんにも見つからなくなったときには、私は、いったいどうするだろう。(中略)何かしなければ、どうにかしなければと思うのだが、どうしたら、自分をはっきり摑めるのか。
本文一節たち。
自分の気持ちが勝手に文章になってしまったんじゃないかというくらい、そのまんま私でした(笑)
昔より自分のことはよくわかるようになったと思うし、私は何者なんだろうって気持ちもだんだんなくなってきたような気がするけど。
学生でも大人でも、何歳になろうと、本質はあんまり変わらないのかもしれません。
読めてよかったです。
ところで、アマゾンプライムに、『太宰治傑作短編集』というのがあるのをご存じでしょうか。
多分、昔NHKで放送されていたものだと思うんですけど、すごく面白いです。短編集がそのまんま、ユニークな映像作品になっています。
演出が結構凝っていて面白いので、読むのがめんどくさいと思う人には、おすすめです。
私のお気に入りは、『トカ・トン・トン』と『畜犬談』と『グッド・バイ』です。全部読んだことないけど。読みたくなりました。
とくにトカトントン。
『女生徒』と『きりぎりす』も一応あるけど。
これは個人的にはあんまり好きじゃなかったな。
読み進めるリズムが自分と違うような気がして、全然違う作品に感じてしまいます。本をおすすめします。
このシリーズ、たしか江戸川乱歩もあるんですよね。
そっちも見られるようにならないかな…。
と、九月の振り返りをしようと思ったら、太宰治語りになってしまった記事でした。
これからも、マイペースにいろいろ書きたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。