避雷針人間
一切の発電が不可能になった20xx年。
一部の人間が、電化製品や必要な電気に関するあらゆる能力を手にすることになった。
人間の新しい進化の形である。
そして、ある男、三代という男が避雷針の能力を手にした。
雷が落ちれば全てこの男に集まる。
まさに、歩く避雷針。
三代の仕事は、自身の体に溜まった少しの電力を、いろいろなところに供給するために、日々歩き回るというものであった。
三代の人気は凄まじく、一部の地域では神と崇められている。
そんなこの男にも悩みはある。
雷が落ちる時に人が近くにいると、その人も感電してしまうのである。
そのため、雷が鳴れば、一人遠くにいなければならない。
しかし、予想もしない雷雨というものもまたあるものである。
三代の今日の仕事は、台風がいる地域に行き、被害を抑えることだ。
移動手段は、歩きか自転車しかないため、走って行く。
しかし、その地域に台風は存在しなかった。
台風は別の地域まで移動していた。
三代は、その地域を守るため物凄い速度で移動しなければならなかった。
その地域は守れたが、三代はもう一人自分が欲しいと思った。
そのため、自分の残っている電力を使い、物としての避雷針を生み出した。
それをあちこちに置いた。
気がつくと、避雷針としての能力は失っていた。
人間ではなく、電力の時代が再び舞い戻った。