Anthraxのご家族の支えがあってこそ、Anthraxがあるのだ。
少し古い映像だが、ヘヴィメタルバンド『Anthrax (アンスラックス、以下アンスラ )』の歴史を紐解くドキュメンタリー、「Anthrax Behind the Music」が興味深い。youtubeの直リンクを貼るのは避けるが、ファンの方々にはぜひご視聴いただきたい内容となっている。
※どうやら2002年制作のようだ。タイトルで検索すれば、すぐにヒットするはず。
全編40分程度であり、インタビューもかなり真面目に進む。PVも織り交ぜながら、バンド発起当時の裏話やメンバーの幼少時代のストーリーなど、様々なエピソードが明らかとなる。冗談抜きの、本気の制作だ。とはいえ、ところどころ禁止ワードが入り、「ピー音」が目立つ。そのあたりはやっぱりアメリカというか、メタルというか。日本のアーティストではなかなか考えられないような話である。まあ、お得意の悪ふざけもふんだんに発揮されている一本である。
なお全編英語のため、非ネイティブの視聴者は英語字幕や文字起こしをフル活用して見ていただくことになる。※筆者の解釈が誤っていたり、ミスがあったりしたら、こそっとコメントで教えていただきたい。
スコット・イアンの語り
写真はご存知、ギターのスコット・イアン。アンスラと言えば、やはりこの男である。スコット・イアンを中心?に進んでいくが、もちろんボーカルのジョーイ・ベラドナも、チャーリーも、フランクも・・・といった、他のバンドメンバーも登場する。その他、ジャーナリストやエンジニア、さらにはメタリカのカーク・ハメットやパブリック・エネミーまでもが出てくるのだから、なかなか豪華なキャスティングである。ちなみにジョン・ブッシュは出てくるのだが、ダン・スピッツは出てこない・・・残念。
そして特筆すべきは、バンドメンバーのご家族も登場するというのが・・・この映像の最大の見所だと感じる。
スコット・イアンの父母。そして、スコットの複雑な幼少時代・・・。
スコットの父である、Herb Rosenfeld 氏と、母 Barbara Chumsky 氏。スコットのフルネームが Scott Ian Rosenfeld であるから、これは父方の姓であることがわかる。Herb 氏は思いの外、淡々と、静かに語る男である。勝手に、ひょうきんな人なのかと思っていたが・・・。(なんせ、あのスコットのオヤジだし・・・。)
在りし日のスコット。抱えているギターは、オヤジが買い与えたものだそうな。曰く、水を得た魚のようだったと。
スコットは高校卒業後バンド活動を始めることとなる。また、大学進学したものの、数学よりメタルを選ぶことになるのであった・・・。調べていると、中退後バンド活動を続けていく中で、しばらくは実家に残っていたようだ。そんな彼を支えていたのが、母であるBarbara 氏である。
母であるBarbara 氏が語るには、どうやら複雑な家庭環境だったようだ。映像内でも、夫妻の姓が違うところから想像は容易い。ちなみにこの母、当然のように禁止ワードをブッこんでくる。この母あっての、スコット・イアン・・・ということだろうか。
チャーリー・ベナンテとフランク・ベロは親戚どうしなのだが・・・
お馴染みリズム隊のチャーリーとフランク。この二人が叔父・甥の関係であることは、ウィキペディアなどで有名な話である。チャーリーのお姉さんの息子にあたるのがフランクだ。
家族とのワンショット。チャーリーはイタリア系の家系であったそうな。こちらもやはり大変な少年時代であったようで、チャーリーが5歳の時に、彼の父親が亡くなっている。フランクはそんな彼を間近で見てきた存在でもあり、そして最大の楽器のパートナーでもあったのだ。アンスラのグルーブというものは、こんなところからも生まれているのかも知れない。
またインタビューによるとKISS(キッス)の影響は相当大きかったようで、フランクの口からは、キッスで育った・・・と語られるほどであった。
※確かに2012年の大阪公演では、フランキーが「Sure know something」の一節を弾いていたのは筆者の記憶にも新しい。
在りし日のチャーリーとフランクを支えてきたのが、母親であり姉でもある、Rose Bello 氏である。
Rose氏の口からも、キッス、キッス、キッス・・・と、兎にも角にもキッスが登場する。おそらく、二人の悪ガキたちは相当なKISS ARMYだったに違いない。※映像内でもキッスのビデオは長尺で用いられており、大いに彼らの愛を感じる・・・。
キッスといえば、当然あのパーティ感である。そしてお姉さんである、Rose 氏からも、かの地特有のド派手でゴージャスなオーラを感じる。こういうパーティ感ひいては陽キャ感というのはアンスラに欠かせない要素であるし、他のBIG4との最大の違いでもあると思っている。こんなところもルーツなのかも知れないですな。
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ところで、ジョーイ・ベラドナの話はなぜか本編でも少なく、彼のルーツ的な部分もほとんど語られていない。まあ、言わずもがなではあるが・・・。ヴォーカリストとてしては、ジョーイはもともとキャリア組であったようで、Anthrax 加入前から実績があったらしい。詳しくはわからないが。
筆者補足(※蛇足)
ところで、筆者の好きなアルバムは2ndと3rdなのだが、おそらく世間的にもそうだと思っている。学生時代、だいたいの(サークルの)部員たちはベラドナ期のアンスラを好んでいた。そもそも、アンスラックスをアンスラと呼ぶのはどの軽音系サークルでもそうなのだろうか? (まあ我々は、重音系サークルであったのだが。。)
最後に、完全に余談だが・・・2010年代初頭、我らが行きつけの京都二郎系ラーメン屋があり・・・(名前は伏せる)。そこの店主のK氏も「やっぱりAmong The Living っすね!」と語っていたのだから、世代を超えてやっぱり、アンスラといえばこのへんだと思っている。