コンテンツ帝国主義の現在



(1)動画コンテンツの巨額投資の時代

 アメリカのコンテンツ・プラットフォーマー(情報帝国)が、住民(ユーザー)から集めた巨額の税金(会費)を使って、巨額のコンテンツ制作費を投資している。そのことによって、他の帝国に打ち勝ち、自国の領土を拡大するという、まさに情報大航海時代の覇権戦争がはじまっている。

 2020年度のNetflixのコンテンツ投資額は160億ドル(約1兆7254億円)と言われていて、Netflix、Amazon、Appleの御三家で合計3兆円規模のコンテンツ投資を行っている。

 ここにもうひとつ、巨大な情報帝国である、Disney(Lucasfilm を買収済み)が、日本のアニメ制作会社7社に、スターウォーズのアニメ制作を依頼した。

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▼制作する日本のスタジオとタイトルは以下。
神風動画:『デュエル』/『The Duel(原題)』
キネマシトラス:『村の花嫁』/『The Village Bride(原題)』
サイエンスSARU:『T0-B1』/『T0-B1(原題)』
サイエンスSARU:『赤霧』/『Akakiri (原題)』
ジェノスタジオ:『のらうさロップと緋桜お蝶』/『Lop and Och?(原題)』
スタジオコロリド:『タトゥイーン・ラプソディ』/『Tatooine Rhapsody(原題)』
TRIGGER:『ツインズ』/『The Twins(原題)』
TRIGGER:『エルダー』/『The Elder(原題)』
プロダクションI.G:『九人目のジェダイ』/『The Ninth Jedi(原題)』


 こうした国家レベルのコンテンツ投資の前では、日本のコンテンツ制作規模は、学生の学芸会レベルと言われても仕方ないだろう。

 しかも、これはアメリカだけのことではなく、同規模のコンテンツ投資を行っている国がある。中国である。最近は雲行きが怪しくなってきたが、中国は国家政策として、コンテンツやITビジネスへの国家支援を行ってきた。

 中国は、歴史的に四大奇書と呼ばれた完成度の高い物語文学の歴史がある。
『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』『金瓶梅』である。こうした文化的背景を元にアレンジし、巨額の制作費を使った、長編スペクタル映像を続々と生み出している。それは中国国内だけではなく東南アジア全域に根強いファンを生み出している。

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