深呼吸短歌の会(2022年8月)

深呼吸短歌の会

深呼吸学部では「短歌の会」をはじめます。
橘川幸夫は、19歳から21歳までの、ほんの数年間、短歌を書いていました。
もともといろんな本を読んでいても、心に触れるフレーズばかり集めているような読み方をしていて、その読書遍歴の中で出会ったのが、西行であり寺山修司でした。31文字の枠の中で情念と論理という2つの軸で歌い上げる方法が新鮮でした。

あれから半世紀、橘川が主宰する深呼吸学部で短歌の話をしたら、塾生たちが続々と作品を書きはじめました。文章を書く上で、心に歌を持つことは大切なことだと思います。今後、作品を公開していきます。

●方式

1.オリジナルの短歌を詠む。
2.それを「換骨奪胎」して、自分なりの短歌を詠む。

これを繰り返します。

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●作品

北野 英隆
サングラス視線を隠す効用も視線の先はバイアスだらけ

おこ
サングラス光減じて外界暗転妄想バイアス漏れ入る万華

遠藤 レーコ
網膜に届くそこからバイアスだらけ　他者のメガネはどんな色

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寺本
逃げ道も険しき道も同じかな行き着く先はどこか似た墓

たかみー
逃げ道も険しき道も同じかな行き着く先はどこか似た夢

おこ
険しさを進んで来たのか逃げながら他に上手にやる術知らず

遠藤 レーコ
誰しもが行き着く墓は似ていても　伸びたる道は百花繚乱

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とっくん
生きるため アブない世界へ飛び込んで 人を刺しては 人に刺されて

おこ
出来事の少なき世界にいて鈍く人を刺し事気付かざりけり

遠藤 レーコ
草刈りでハチに刺され死に損ないもんどりうてど命賭けの相手恨めず

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小笠原
窓を撃つ雨の音入れてくれとは願わざりただここにいるぞと教えたる

おこ
窓振るう花火の地響き港より身内も響け無音で振えよ

遠藤 レーコ
濡れもせず窓のこちらで撃つ雨ぼんやりこの瞬間に雀たちはいずこ

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渡辺
メッセージ送った後に思い付く良い表現は大体杞憂

おこ
メッセージ届けと願う直球はストライクゾーン大体外れ

遠藤 レーコ
やり直しまたやり直していつの日か これぞのひと筆夢に見ながら

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深谷桃子
扇風機気づけば一人首を振る誰にもあたらぬ風送り続け

たかみー
扇風機気づけば一人首を振る誰にも当たらぬ自由を送り

おこ
扇風機うるさかったよ昭和のは黙して風生む優しい新人

遠藤 レーコ
気づかねど ほのかにたなびき交わりて やがてあらたな風送り続け

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橘川(２０歳の時の作品)
西瓜持ち歩いてきたる妊産婦赤き内面を誰が喰らう

おこ
死の気配ばかりがよぎる灼熱に西瓜の切り口冷えた羊水

遠藤 レーコ
縁側で種を飛ばす姉妹の口元に西瓜　ほんのしょっぱい母親の汗

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遠藤 レーコ

影すらできぬ真上から刺す日にポツンと身もちぎれ干からびゆく蝉の亡骸

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